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OMNIBUS a Go Go Vol.42『DUB IN JPN』

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I LOVE 日本ならぬ“I DUB 日本”とシャレたタイトルのジャパニーズ・ダブ・コンピレーションで、リリースは2004年9月ビクターエンタテイメントから。 ジャパニーズダブの始祖とも言えるミュートビートのアルバム『No.0 Virgin Dub』から「DEEJAY STYLE」で幕を開ける。スタジオ録音の強烈な音像で始まりを告げたい気もするが、やはりここはメジャーデビュー前の原宿ピテカントロプスにおけるプリミティヴなライブ録音から。続く小泉今日子の「No No No(Dub Mix)」は藤原ヒロシと屋敷豪太が参加したアルバム『No.17』収録曲のダブミックスで、シングル「丘を越えて」のカップリング曲。藤原と屋敷の2人がミックスもおこなっている。CHIEKO BEAUTY「PERFUME DUB」はRah Bandの「Perfume Garden」のカヴァーダブミックスでヤン富田プロデュース、MAD PROFESSORのダブミックス。 藤原ヒロシとDUB MASTER Xがアレンジした「GODZILLA NO NUKE MIX」は映画『ゴジラ』のテーマ曲にゴジラの鳴き声やセリフを織り交ぜた“反核”プロテストな仕上がりだ。朝本浩文とCMJKと渡辺省二郎のTR49による坂本龍一の「戦場のメリークリスマス(RAM JAM WORLD MIX)」は12cmシングルCDのカップリング曲でこちらも思い切ったダブバージョンに仕上がっている。フィッシュマンズのシングルカップリング曲だった「I DUB FISH」はZAKによるプロデュースとミックス、UA「あめふりヒヤデス」は8cmシングルCDのカップリングからでダブ度は低いか。アナログでダブミックスがあったのでは? DRY & HEAVYはダブアルバム『KING JAMMY meets DRY&HEAVY in the Jaws of the Tiger』から「RADICAL DUBBER」。強烈なダブにリクルマイのヴォーカルがキュート。 KTU(=こだま和文+土生"Tico" 剛+内田直之)の「What's 8appen?」は8分(タイトル通り?)を超える長尺ながらまったく飽きない。こだまのトランペットを含め美しい音の重なり。 他、藤原ヒロシ「Let My Love Shine(One...

OMNIBUS a Go Go Vol.41『PACIFIC UNION』

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CD帯によると“シューゲイザー/ドリーミーポップ/ポストロック/轟音/音響シーンの現在進行形をコンパイル”。リリースは2003年12月。 私の記憶ではRIDEやMy Bloody Valentine等を聴いていた1990年代初頭にはシューゲイザーという呼び名は無くて、 “この轟音を浴びろ!”みたいな表現だった気がする。1980年代のネオサイケデリックの流れが極端に歪んだギターサウンドと 結びつき、刺々しくも甘美なサウンドを作り上げた。“シューゲイザー”という単語を初めて聞いたとき、 新しいエフェクターの名前かと思った覚えがある(フェイザーやフランジャーとか)が、この轟音サウンドを演奏するバンド群が “靴を凝視”しながら(うつむいて)演奏していたという、見た目から付けられた呼び名だ。 このコンピは日本のVinyl Junkie RecordingsとアメリカのClairecordsの共同企画で、両国のバンドの他、イギリスのバンドで元SlowdiveのギタリストによるMonster Movieの「sweet indie rock」(ほぼピアノ弾き語り)や エストニアのバンドPia Frausも収められている。 日本からは、 歌っているのが日本語とは分からないほどの呟きボーカルとノイジー&カラフルなギターの音色が美しいHARTFIELD「the streets(Alternate Mix)」、グルーヴィかつドリーミィなバンドサウンドのcruyff in the bedroom「life is gas」、パンキーなエレクトロニカのAPPLECIDER「any sunny day」、ニューオーダーライクなベースラインも魅力的なSugarcoatの「new disco(Prototype mix)」、John juhl's Cornfield「Effulgence(Demo Version)」はノイジーなギターの洪水に埋もれたポップ、アジアンテイストを感じさせるslow「sai」、ヘヴィなWALRUS「Plastic Butterfly(2nd Mix)」の7バンドを収録。アメリカからはhighspire、airiel、sciflyer、silver screen等が収録されている。

OMNIBUS a Go Go Vol.40『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS』

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“RELAXIN' WITH LOVERS”シリーズのJAPANESE編として2003年にリリースされた、日本のアーティストによるレゲエ(ラヴァーズ・ロック)やダブミックスをコンパイル。 岡崎友紀「ジャマイカン・アフェアー」、南佳孝「Midnight Love Call」は共に1980年リリースのオリジナルからセレクト。キャンディーズ「やさしい悪魔」、郷ひろみ「林檎殺人事件」の共に1978年リリースの楽曲を優れたダブミックスにした楽曲 (前者はJ.Saul Kane、後者は藤原ヒロシによるremix)もあり、懐かしくも新鮮に楽しめる内容だ。 オープニングトラックの中島美嘉によるオリジナル・ラブのカバー「接吻」は、屋敷豪太、松永孝義のMUTE BEATリズム隊と、ギター山本貴志、キーボード(サウンドプロデュースも)森俊也のROCKING TIME組による演奏に中島のしっとりボーカルをのせた好トラックで、The Pop GroupやThe Slits等数多くのプロデュースでも知られるDennis Bovellによるダブミックス“Dennis Bovell Lovers Mix” を収録。同時期にリリースされた中島美嘉のCDシングル(コピーコントロールだ.…)「接吻」にはボーカルトラックもザックリ刻んだ “Dennis Bovell Lovers Mix #2”が収録されていた。 MAD PROFESSORによるダブミックス“Lovers Rock Mix”のBIRD「桜」は、ダブ処理されたギターやリズムトラックに重なる流麗な二胡のフレーズが対照的で美しい。PIZZICATO FIVE「LOVER'S ROCK」は同じくMAD PROFESSORによるリミックス・バージョンを収録。 他、チャラの「Junior Sweet」は大沢伸一による“Sakuragarian Dub Mix”、椎名純平with篠原涼子「Time of Gold」は “Reggae Disco Rockers Golden Mix”、キリンジ「フェイバリット」“Skyscraper Disco Mix”、TICA「Small Town Girl」等を収録。 “RELAXIN' WITH LOVERS”JAPANESEシリーズはVol.4までリリースされているようだ。

OMNIBUS a Go Go Vol.39『TAKE ME AOSIS BRAZILIAN CAFÉ』

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ビクターのaosis recordsから2002年にリリースされたコンピレーション・アルバム。aosis recordsのカタログの中からテーマに沿ってコンパイルされたサンプラー『take me aosis』シリーズは 2001年から始まり10種がリリースされているようだ。今回紹介する『Brazilian Café』は、 “パリ、ニューヨーク、東京、サンパウロの街角で流れていく音楽をカフェで聴く”をコンセプトに作られている。 paris matchを初めて聴いたのは、このCDのラストに収録されている「deep inside-Ananda Project Rimix」 がカップリングとして収録されているシングル「deep inside」だった。何かの雑誌で読んだ、グループ名がスタイル・カウンシルの曲名に由来する事や、元SALLY(「バージンブルー」がヒットしたポップなバンドだった)の杉山洋介が新たに組んだ女性ボーカル・ユニットということで、スタカンのファースト収録トレーシーソーンが歌う「The Paris Match」な感じを期待したが、またそれとは別物で、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテン、ハウスなど(そしてポールウェラーと同じようにどこかにロックスピリットを隠しているのだろう)多種多様な音楽からの影響を搾り出したモダンなトラックと、透明感があって洗練されたミズノマリのボーカル(かつての石川セリを思わせる)はとても魅力的に感じられる。 収録されている「deep inside-Ananda Project Rimix」は「deep inside」のサビ部分シークエンスを使用しつつ 、4つ打ちのバスドラ・リズムトラックを加えたハウスチューンに生まれ変わって、クール&ミッドナイトなイメージ。そしてparis matchのもう一曲は日本語詞のスピーディでスムースなダンスチューン「COFFEE MACHINE」(アルバム『PM2』から)を収録。 杉山の別プロジェクトjazoulsterはスライの「Family Affair」のカバーを収録。ボーカルはメイザ・リークで素晴らしいカバーに出来上がった。jazoulsterのもう一曲はスリリングなブラジルテイスト「landscape from the higher lounge」(いずれもアルバム『play it cool V...

OMNIBUS a Go Go Vol.38『ARE YOU JAP?!』

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アナーキー~THE ROCK BANDのギタリスト藤沼伸一がオーガナイズ、多彩なゲストを迎えたコラボレーション・アルバム。藤沼は全作曲(「国旗はためく下に」を除く)を担当、及び全曲でギターを弾いている。リリースは2002年5月。 前年2001年9月のアメリカ同時多発テロをきっかけとして同年10月にはアメリカがアフガニスタンでタリバンと戦争を始め、日本の海上自衛隊も米軍艦船などへ給油活動をするなかでのリリースとなった。その為か、もともとのコンセプトとしてあったのか、参加したアーティスト達の作詞には戦争・日本といったモチーフが根底にあるようで、それは藤沼がボーカルをとり、カバーしている泉谷しげるの「国旗はためく下に」から放射されたメッセージを拡大したものと言える。 NIRVANA「Smells Like Teen Spirit」を思わせるアレンジの泉谷しげる作詞・ボーカル「ワイルドピース」、レゲエ・ダブ~爆音チューンで、後半の “新宿に現身のマリアありて~” の語りが面白い町田康作詞・ボーカルの「花はどこに咲くの?」、柴山俊之作詞・ボーカルの「ありがたや節」といったところが興味深いが、なんといっても忌野清志郎が作詞・ボーカルを担当した「ジライヤ」だ。 曲名は忍者の“自来也”というより歌詞に出てくる“地雷やミサイル”からだろう。RC時代に清志郎がカバーした「明日なき世界」(高石ともや版)に匹敵するプロテストソングだと思う。正直でユニークなバンドマンとしての物言い。 リビングルームで独りテレビ画面を見ながら思う事、もしくはファミレス、居酒屋や職場で、友人や同僚と話しているような内容の歌詞で歌は始まる。 “この戦争はいつまで続くんだろう  多少の犠牲はやむをえないが  俺は犠牲者にはなりたくない” そしてこの現状に対して“音楽や歌は力を失くし、メッセージソングは誰にも歌えない”と嘆いたあと、 こう歌う。 “だから歌おう甘ったるいラブ・ソングを  世界の平和の夢と錯覚しながら  今夜歌おう甘ったるいラブ・ソングを  地雷やミサイルの音をかき消すほどに” 清志郎自身もそれこそ数多くのラブソングがあるが、ラブソング(=歌・音楽)の非力さと潜在的な対抗力の可能性についてあらためて世に問うた曲だ。さらにアフガニスタンの戦争ではピンポイント爆撃の誤爆による犠牲も多く報道されていた事にも思...

OMNIBUS a Go Go Vol.37『TRIAD ROCK OF AGES CELEBRATE THE 15th ANNIVERSARY』

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日本コロムビアのトライアド・レーベル15周年を記念して2002年にリリースされた2枚組オムニバス。それまで聴いていなかったバンドが収められていたので興味深かった覚えがある。清志郎のLove Jetsや元ミッシェルのチバが組んだROSSO、メジャーデビューアルバムがリリースされたばかりのSyrup 16gといったバンドはこのオムニバスで初めて聴いたし、ホフディランはラジオで聴いた事があったが、あらためて良い曲だなと思ったり。 in the soupは2001年6月頭脳警察を観に行った野音の“We Are The Brain Police”でライブを観ていた。収録曲「檸檬-レモン-」はその時演奏したのか憶えていないが、この曲は梶井基次郎の「檸檬」を思いおこす、なかなか刺激的な曲だ。2001年8月リリースのシングル曲で、ジャケットが手榴弾を模したレモンっていうのも面白い。 15周年だからTRIADレーベルの始まりは1987年と思うが収録曲で一番古いのはNEW ROTEeKAの1992年8月リリース「こんなもんじゃねえだろうⅡ」。次がコレクターズの1993年1月リリースの名曲「世界を止めて」、1990年代の曲では他に、ウィラードやTHE RYDERS、ピチカートファイブなど。CD1枚目の最後にTHE YELOW MONKEYの1996年2月リリースのシングル「JAM」が収録されている。 「JAM」はリリース当時ラジオでかかっていたのを途中まで聴いて、凄く良い曲だと思ったが、 “外国で飛行機が~” の歌詞のところで随分ナイーブな事を歌うんだな、とも思った。今回あらためて「JAM」を聴いてやはりその部分に居心地の悪さはあるものの、YouTubeで見たライブバージョンではエンディングに“I'm a dreamer”、“Are you dreamer?”という歌詞(というかセリフ)が 追加されているので、表現したかったのはジョン・レノンの「イマジン」に近いのかな、という気もした。  “暗い部屋” や歌の主人公が住む “街” や “日本人” という言葉を聴いて受ける印象はなんだか狭い感じを受けるのだけれど、 “この世界に真っ赤なジャムを~” の部分の “世界” という言葉は全世界・世界中という広さを持っているのではないか、と思えるからだ。 リリース前年の1995年に起こった一...

OMNIBUS a Go Go Vol.36『KILLERMONT STREET 2001』

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LD&Kレコードから2001年リリース。飛田薫のライナーによると“姿や形を進化させた21世紀の「ジャパニーズ・ネオアコ」をコンパイルした” アルバム。アルバム名はAztec Cameraの曲名に由来か。CD帯にも書いてあるが注目はCymbalsとadvantage lucy。 Cymbalsは新録カバー「(Love is Like)A Heat Wave」を収録。ロウ・ガレージ・スピーディ・キュート&クールな仕上がりで最高。 advantage lucy「地球」はリミックスヴァージョンで“far away ver.”。シングル「杏の季節」カップリング曲だが、元曲のシンプルなアレンジから子供の声やモールス信号風のSE、ギターのフレーズを加え、ドラム(打ち込みか)は差し替えられているようだ。元曲にあったスペイシーな部分を増幅した印象で、7分の長尺ナンバーになった。 もちろんその他にも魅力的な曲は収録されている。 CITROBALはシナトラやフォーフレッシュメン等で有名な「Day By Day」のカバーでラテン&クラブなアレンジ。3人組みガールズポップ・Sylvia 55の「Molly」にはゲストでCymbalsの矢野がドラムで参加。坂本和賀子と橋本由香利のユニットMaybelle「かげぼうしの頃」は伸びやかなボーカル、瑞々しくサニーサイドな演奏で正統的ジャパニーズ・ネオアコ曲。 フォーキーでありながら手数の多いドラムやオルガンも魅力的なRaymonds「Pages」、グッドメロディでピアノも印象的に使われているRunt Starは「落陽とファンファーレ」、 Apila(竹元悠子/ex. Honey Skoolmates)の「Goodbye Daydream」、Sunny Side Super Star(平野航)の「夢は終った(And there's no one around me)」はディラン・テイストのグッドフォーキーナンバー。 他、スピーディなエレクトロポップのSonic Coaster Pop、Color Filterによるリミックスバージョン「Floater」を収録したJet Ragや、cigarett、polyABC、パトラッシュ(諏訪好洋)、our hourの 全15アーティストを収録。 ルーシーとシンバルズのリリース当時の...

OMNIBUS a Go Go Vol.35『MO'DOWN BEAT』

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モッズ系Lovin' Circle・File Recordsから2000年12月リリース。プロデュースはBlue Beat PlayersのTAIKI. Nと共に黒田マナブ。スカ・パンク系と区別する為か、CD帯には“極東初のオーセンティック・スカ・コンピレイション”とある。2トーン・ネオスカからの影響も受けたバンドもあると思うが、オリジナル・スカへの敬愛が伺える好コンピだ。 このアルバムのプレゼンター、Blue Beat Playersは「Tea Hushed China」を収録。YMOの「中国女」のフレーズもとびだすチャイニーズフレーバーのスカナンバー。The Silver SonicsはLee Hazlewood作でナンシー・シナトラやシュープリームス等で知られる「These Boots Are Made For Walkin'」(クレジットは「Boots」)のスカ・カバー。 Cool Wise Menはクールなインスト曲「Margie」、ヤスコのボーカルが魅力的な9 Milesのロックステディナンバー「Everything You Want」、速いビートで陽気なナンバーのLA-SKALS「Ghost House」、千葉のROLLINGSは軽快な「Train To SKA-Building」。 大阪のDOBERMANはヴァイオリン(赤犬のマル)をフューチャーしたユニークなスカ・ワルツ曲「左利きのワルツ」、Goo-Goo Eyesは女性ボーカルのヒヨリが歌う「恋するSong」、The Rude Pressuresの「Be Alright」は穏やかで気だるくドリーミーなナンバー。 ラストはBlue Beat Playersのメンバーが参加、Oi-SKALL MATESのWataruがボーカルのSubstitute Steppers。全10バンドを収録。

OMNIBUS a Go Go Vol.34 『極東最前線』

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“極東最前線”はイースタンユース主催で1994年11月から現在まで続くシリーズギグ。 このアルバムはシリーズ30回目のライブ(2000年8月渋谷クアトロで3日間行われた)を記念して2000年7月にリリースされた。 収録バンドはいずれも“極東最前線”出演歴のあるバンドで、かつイースタンユースと同郷(札幌)のバンドも多い。シリーズギグ主催者のイースタンユースは「曇天と面影」を収録。バンド結成当時のOi、スキンズ系の強面なサウンド・表現から日本的なわびさび・叙情的な表現をエモーショナルなサウンドにのせたものに変化し、より多くの人々へ浸透した。この「曇天と面影」もふさぎこむ感情にそっと、だけど少し力強くノックする名曲。 “極東最前線”には第1回目から参加している怒髪天も感情を掘り起こす歌を聴かせてくれるバンドだ。個人的にはARB(田中一郎在籍時)を継ぐバンドと言いたい。このアルバムには「サムライブルー」を収録。孤独の魂をこがす歌がここにもある。DMBQは探偵物か刑事物のテレビドラマのテーマ曲のような「極東最前線のテーマ」。 DMBQが“極東最前線”というテーマをインストゥルメンタルで表現したのなら、NUMBER GIRLの「TOKYO FREEZE」は“極東最前線”という言葉にがっぷり四つに取り組んだ重要なナンバーといえる。DUBのサウンドにラップをつぶやく。そこにはギター1本つかみとり、最前線で冷凍都市=TOKYOと対峙し重音楽を鳴らす姿が描かれる。 “キックとベースが生みだすフレイズ 8ビートのスキマに広がるスペース  1弦から6弦へ 1フレットから24フレットへ  この広大な思索の荒野を着流しで練り歩くオレ  6本の狂ったハガネの振動 R・O・C・Kでお前を扇情  戦場 いってみればこの街あたりもそう  戦場 果てることのない暴力衝動  諸行無常 武装した夕暮れが行き着くところ  極東最前線” 他にはいきなり“ケツから...”で始まるfOUL「wax&wane」、変幻自在なあぶらだこ「横隔膜節」、NAHTの美しい「as karma goes」、メロコア系のMOGA THE ¥5、それまでの英詞メロコアから日本語の太いロックを鳴らすバンドに変わっていったHUSKING BEE、素朴な演奏のピジョンズ、 ベース×2にドラムという珍しい編成のバンドのsquashed...

OMNIBUS a Go Go Vol.33『SUSHI 3003』

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ドイツのバンガローレコードから1996年にリリースされたコンピレーションで、副題は「a spectacular collection of japanese clubpop」。スシ三千三とジャケットに書いてあるが、スシミナミかと思った。 クラブポップという事で海外でも人気の出ていたピチカートファイブをはじめ、小西康陽やテイ・トウワ関連(プロデュース含め)の楽曲が多い。ほとんどのトラックは既にリリースされていたものから集められているようだ。 小西関連では、 ピチカート・ファイブの「Nata Di Marzo」、 夏木マリがディープな語りと歌を聴かせる「My favorite things」、 Tokyo's Coolest Comboはフランソワーズ・アルディのインストカバー「Comment te dire adieu」(さよならを教えて)、 Havana Exotica「Surfin' on M.O.O.G.」、 岩本千春「Kiss」。 テイトウワ関連は、 テイトウワ、森俊彦のユニット、SP 1200 Productions「My Super Lover」、 立花ハジメはヒューゴ・モンテネグロのカバー「Moog Power」、 高野寛「あいかわらずさ」。 他、コモエスタ八重樫の5th GardenはPP&Mの“Pa Pa Pa”カバー「I dig Rock and Roll Music」、元ピチカートの高浪敬太郎=K-taroはイタリアサントラ曲ピエロ・ウミリアーニ「Sweden, Heaven & Hell」のカバーで “Mah Na Mah”コーラスは細野晴臣。ファンタスティック・プラスティック・マシーンとCalinの「ともだちのサンバ」はアルバム『TEEN TONIC』からでCo-Produceは福富幸宏。 サリー久保田のレ・ファイブ「Bond Street」はバカラックのカバー、さらにコーネリアス、カヒミ・カリィと当時のクラブ・渋谷系の重要アーティストをコンパイル。 目当てのデイトオブバース「Aim at El Paso」は、EP『荒野のデイトオブバース』収録「エルパソを目指せ」と同じもの。彼らも渋谷系にカテゴライズされるのか?DOB名義になってから音はクラブよりになったけど。1998年には『sushi 4004』もリリースさ...

OMNIBUS a Go Go Vol.32『PASSED DAYS』

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副題を “ZK records pre-released songs compilation 1992-1997” という、ZKレコードのサンプラーで1998年のリリース。 ヘヴィ・ミクスチャーのWRENCH、BACKBONE、ATOMIC FIREBALLや、最速コアCOWPERS、ノイズの肉自動車、打ち込みハードコアなHAMMER BROS.、ファンキーなTHE マニラ帰り、ニューウェイブな音像ながらコーラスが印象的なCONVEX LEVEL等が収録されているが、個人的にはこのサンプラーで初めて聴いたCOALTAR OF THE DEEPERSの「CELL」。 激しいギターサウンドに繊細なアレンジ、コントラスト際立つ線の細いボーカル。浮遊するスピード感ともいうべき疾走感&表現力が素晴らしい。この「CELL」は1997年、2回目にリリースされた『CAT EP』(ZIKS-047)、俗に言う “CAT EP2” からの収録だが、カタログ番号で2つ前の『CAT EP』(ZIKS-045)のまとまったサウンドとはひとつひとつの音の激しさが(音粒の激しさが)違う仕上がりになっている。 他、そのDEEPERSに後に参加するイチカワマキコが在籍したBPの「カウント」、ストイックな演奏にクールな女性ボーカルのGAJI「hoop loop」、芯の太いサウンドを聴かせるRUFFIANS「FOR LIFE」、痛郎のそれぞれの楽器が良く鳴っているサウンドに切ない歌が重なる「春夏秋冬」等々、17バンド18曲を収録。

OMNIBUS a Go Go Vol.31『HIT RADIO 802』

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大阪のFM放送局“FM802”がプロデュース、コンパイルしたオムニバスで1997年のリリース。スピッツ、中村一義、スガシカオ、コーネリアス、山崎まさよし等の1997年当時のヘビーローテーションナンバー(スピッツのみ1993年)やフィッシュマンズ、ハイロウズ、ヒートウェイブ、加地秀基等の当時のシングル曲が大半を占める収録曲だが、注目はサニーデイ・サービス「都会(Version #2)」とTHE GROOVERS「春だったね'97~FOLKIE 802 MIX」の2曲。 サニーデイ・サービスの「都会」は1997年2月リリースのシングル「白い恋人」のカップリング曲だったが、ここではこのオムニバス用に 再録音されたバージョンが収録されている。サックスや打ち込み風のドラムが目立つ少しエキゾチックなムードのシングルカップリングバージョンとは違って、「Version #2」はシンプルながらもエモーショナルなバンドサウンド。ファズギターが唸るこちらはGS/ガレージ的ニュアンス。後半には「黒くぬれ」のギターフレーズがチラリ。どちらのバージョンも甲乙付け難く良い。 THE GROOVERSの「春だったね'97」は1997年9月リリースのシングル曲で、吉田拓郎のカバー曲(オリジナルは1972年)。藤井のギターとダイナミックなリズム隊により新たな躍動感を生み出している好カバー。「FOLKIE 802 MIX」は、ギターソロ部分に豪快なハーモニカソロをフューチャーしたこのオムニバス用の別ミックスで、ソロ後のピアノもエレピからアコースティックな音色に差し替えられているようだ。

OMNIBUS a Go Go Vol.30『THE LAND OF THE RISING NOISE』

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サンフランシスコのCharnel House Productionsから1993年(か1994年)にリリースされた、日本のガレージ・パンクと並んで海外で評価されている“ジャパノイズ”をコンパイルしたオムニバス。 シリーズとして3枚出ているようだが、これは1作目。ジャケットの人形と写真は吉田良一(現・吉田良)によるもので、訳題『雑なる音出づる処の国』を上手くイメージしていると思う。 想い出波止場の「IN」はサイケデリックでプログレッシブ、エクスペリメンタル。最初のギターカッティングとドラムで“IN”だ。カルトムービー『ピノキオ√964』にも音楽で参加していた長嶌寛幸のTokyo Dowser「Suimin Party Edit」はクールで刺激的なトラック。 エンジェリン・ヘヴィ・シロップ「My Dream」は想いを深く、そして高めようとする意識が感じられる曲だ。静謐でありながら熱を持った演奏が素晴らしい。このコンピのみに収録されていたが、2002年になり『Very Best of Angel'in Heavy Syrup』 に収録された。非常階段の「Sound of Bay Area」は強烈な瓦礫の音塊が迫る、圧倒的に暴力的で破壊的なトラック。 他には、幻想的でスペイシーな空間の広がりを感じさせるDMV「Outer Mind」、マシナリーでインダストリアルな演奏に咆哮が重なるDissecting Table「Dead Gods」、モダンチョキチョキズのメンバーも参加しているChildren Coup d'Etat「Saigo no Hoknoh」、ミュージックというより物音といったほうがいいかもAgencement「Tegmen」や、C.C.C.C.「Monde Bizarre」、Aube「Amniotic Fluid」、メルツバウ「Moon Over The Bwana A」、灰野敬二「The Man Who Wring Under The Name of Gratification」を収録。

OMNIBUS a Go Go Vol.29『TOKYO TRASHVILLE!』

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オーストラリアのAu Go Go Recordsから1994年にリリースされた日本のガレージ・パンクをコンパイルしたオムニバス。Au Go GoはBig Black、Sonic Youth等のアメリカのバンドや日本のthe 5.6.7.8'sのシングルやアルバムもリリースしている。 1990年代になり日本ではガレージ・パンク・バンド達が精力的に活動、このCDがリリースされた頃には、このアルバムに収録されているバンドの多くが積極的に海外ツアーをおこなっていた。 SupersnazzはLAのバンドXの「Year 1」、Guinny VampsはThe Sonicsの「He's Waitin'」、 TeengenerateはオーストリアのバンドEastern Darkの「Johnny & Dee Dee」、Great MongooseはThe Excelsの「Let's Dance」、Jackie & The CedricsはThe Belairsの「Squad Car」、MAD3は中東メロディのサーフ・インスト「Ali Baba」(というか「Baha-ree-ba!」?)、the 5.6.7.8'sはスリーキャッツ「キーキャーシャウト」とカバーバージョンが多いながら、選曲の妙と各バンドの味付けが楽しめる。 そんな中Gutitar Wolf、Texaco Leatherman、Mutant Monster Beach Party、Muddy Frankensteinがオリジナル曲を収録。こちらも各バンドそれぞれ魅力的なガレージ・パンクチューンだが、Muddy Frankensteinの「Chocolate」はギターのカッティングがザクザク刻むカッコイイ・ガレージナンバー。でも途中でフェイドアウト?短くて残念。 ロッキン・ジェリービーンによる、東京タワーに絡むイラストのジャケットもセクシーだ。

OMNIBUS a Go Go Vol.28『CINDERELLA V.A I HATE DANCE ...WHY?』

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bloodthirsty butchers、eastern youth、D.M.B.Q、God's Guts、Naht、foul等、北海道ゆかりのアーティストが多数参加したオムニバスで1996年のリリース。プロデュースはブッチャーズの吉村秀樹とコーパスグラインダーズのゼロ。イラストレーター寺田克也のオリジナルストーリーをブックレットに掲載。まぁ内容はシンデレラ復讐劇の他愛ないものだが、描写はそれなりに過激。ジャケットにずらり並んでいる首は参加しているバンドメンバーらしい…。 Supersnazz(ココのギタリストもfrom札幌だった)の軽快な「Let Me Know」で始まり、D.M.B.Qのヘヴィ・サイキック・ナンバー「V-neck sweater」、繊細ながらもハードな音を紡ぐGod's Guts「Mud Boat」、Nahtの捻れながらもポップな「Nature」、ポストパンクなfoul「dark on you」、 ロウなサウンドのU.G.MAN「I Spy」、哀愁を感じさせるpaume「won't roam」、凶暴な音塊のCopass Grinderz「Bitch! Bitch! Bitch!」、eastern youthはアルバム『孤立無援の花』に再録される「扉」、など聴き所は多い。 ブッチャーズの『kocorono・完全盤』がリリースされるまでは、このオムニバスでしか聴けなかった「january」。イントロのギターストロークはジョン・レノンの「マザー」のイントロの鐘をイメージしたという。取り返しのつかない喪失感はレノンの曲と共通しているか。

OMNIBUS a Go Go Vol.27『RETURN OF GUITAR LIGHTNIN' HORROR SMILIN'』

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Vol.24で紹介したオムニバス『Guitar Lightnin' Horror Smilin'』の第二弾で1996年のリリース。 個人的にはLucy Van Pelt。「Red Bycycle」と「彼と彼女の事情」の2曲を収録。 ルーシーを初めて聴いたのは10インチのアナログ盤だった。キュートなジャケと10インチというフォーマットに惹かれて手に取ったのだが、これがズバリだった(5曲入EPだが良い曲ばかり)。その10インチ『advantage lucy』にも再録収録されている「Red Bycicle」は、このオムニバスではベースレスで、エレキ、アコギ、ドラムとアイコの歌声による素朴なバージョン。でもルーシーのやりたい事、伝えたい事が詰まっている気がする 初期の代表作。 「彼と彼女の事情」はテンションコードを使用したコード感や、ギターの石坂とアイコのかけ合いボーカルが楽しめる曲。ベースを入れたバンド・バージョンで再録はしていないのかな。クラウドベリー・ジャムみたいなカッコいい曲に仕上がると思うけど。 他にはアコーディオンとエレクトリック・ビートの融合が気持ちいい「289」を収録したblueberry, very blue(後にGOD'S POPから出たアルバムもよかった)や、 “ギターライトニン”というよりはエレクトロニカなYoung Brian's Group、ファンキーかつヴァイオレントなズボンズ、 ギターポップなペンギンノイズ、キャッチーな「GOING OUT」を収録したWINO、ラウドだが浮遊感のあるギターロックを聴かせるTHE PRIMROSEの全7バンド、各2曲が収録されている。

ROUTE66「時間」

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2011年6月6日発表のアルバム『BREAKING GENERATION』より。 OMNIBUS a Go Go Vol.5で紹介した『OUTSIDER』に収録されていたバンド、ROUTE66の単独CDがリリースされた。快挙だ。『OUTSIDER』収録の1982年8月17日渋谷EGGMANのライブ2曲の他、同年7月7日新宿ACBのライブを6曲、同年3月渋谷EGGMANのライブが7曲の全15曲。プロモ用(?)のライブ演奏映像が4曲収録されたDVD付き。 カセット録音と思われる7月7日のライブはあまり音質が良くないが、3月のエッグマンのライブはバランスも良く非常に聴き易い(たぶんライン録音なのでは)。スカビートでドライブする「エゴイズム」や泣きのメロディ「ラスト・ヒロイン」など、ポップでメロディアスだが甘ったるくない、シャープでパンキッシュな演奏が満載だ。 スピーディなロックンロール中心の収録曲の中でも異色ともいえるミディアムナンバー「時間」は、ライブならではの荒さはあるものの、練られた構成/展開やコーラスワークが良い出来だ。“時間の中で生きている自分達を見つめ直していこう...” と訴える、これまで過ごした時、今を生きる時、という“時間”をテーマに取り上げた意欲作ともいえる。 2011年6月22日にROUTE66のラストライブ(1982年9月29日新宿JAM)を収録したCD『LAST GIG』がリリース、2011年7月30日には下北沢SHELTERで復活GIGがおこなわれる。 このCDをリリースした(株)YOUTHの社長のブログはこちら。 渋谷ではたらくパンク社長の告白

THE TIMERS「原発賛成音頭」

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観客を巻き込んでいく居心地の悪さはさすが...。 “お前らよくやるよな、ほんとにな” 

遠藤ミチロウ「原発ブルース」

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 “菅首相は自身と、原発の再稼働を図る海江田万里経済産業相との立場は異なるのではないかとの質問に、 「安全性が確認された原発を順次再稼働させてほしいというのは、全く同じ思いだ」と応じた” …安全神話ふたたび。

斉藤和義「ずっとウソだった」

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“海江田経産相は18日記者会見し、原子力発電の重要性を強調するとともに、今後、 定期検査などで停止している原発の再稼動を立地自治体に要請していく意志を明らかにした。” …まだ終ってないだろ。