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MIKE OLDFIELD「MOONLIGHT SHADOW」

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1983年5月リリースのアルバム『Crises』より。 NHKのEテレで時々放送されている「ミュージック・ポートレート」(シーズン3が9月で終わった)は、これまでの人生で影響を受けた音楽10曲を2人の出演者が持ち寄って対談するという内容の番組だが、見ていると時々 “これ聴いてみたいな” という曲が紹介される。 この「Moonlight Shadow」は今年の5月に放送された“よしもとばなな×サンディー”の回で、よしもとばななが4曲目に作家デビューのきっかけ、として選んでいた曲。これを見たとき(聴いたとき)、“あーマイク・オールドフィールドってボーカル入りのポップな曲があるんだ”と思った。マイク・オールドフィールドといえば一部が映画『エクソシスト』で使われた『チューブラー・ベルズ』しか持っていなかったので、プログレ系インストの人、というイメージがあった。余談だけどこの『チューブラー・ベルズ』を購入したのも『エクソシスト』を観てすぐじゃなく(公開年に観た)、1990年代に車の中で聴いた小林武史のFMラジオ番組でアナログ1面分(約20分)がかかっていたのを聴いて面白いなと思って購入したものだ。 良い曲だ、とは思ったものの「Moonlight Shadow」はその後、どのアルバムに収録されているのか調べることもせず、CDを購入することもなく忘れていたのだが、先日友人から譲ってもらったCDの中にアルバム『Crises』が含まれていたという非常にうれしい出来事がありこの名曲が聴けることとなった。調べてみればアルバムと同じ時期に、この曲はシングル・リリースされてイギリスではトップテンヒットになっていることから、当時どこかでこの曲を耳にしていたのかもしれないが、その頃の私の興味ではなかったのだろう。 エイトビートをしっかり刻むサイモン・フィリップスのドラムにエコーのかかったマギー・ライリーの澄んだ歌声、歯切れの良いマイク・オールドフィールドのギター、それにフェアライトCMIの響き。幻想的なムードにつつまれた3分半の非の打ち所がない完璧なポップ・ソングとも思える。 だけど歌われている内容は、銃撃により突然亡くなった彼を想い、彼に会いたい、という歌詞で、曲の(一聴して)爽やかな感じと裏腹に悲しく切ないものだ。この歌詞については1980年のジョン・レノン殺害に影響を受け作られたとも言われ...

SEX PISTOLS「SOUNDCHECK at WINTERLAND, Jan. 1978」

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セックス・ピストルズ最後のライブとなった1978年1月14日サンフランシスコ・ウィンターランド公演だが、そのサウンドチェックの模様という音源がYouTubeにアップされている。 ウィンターランドは5千人の収容数というから声の響き方が気になったのだろうか、ジョニー・ロットンは“ハロー!”を連発。いつもこうやってサウンド・チェックしていたのかな。バンドは「Belsen Was A Gas」を演奏し始めるが、まるでチューニングが合っていないシドとスティーヴは演奏を中断、お互いのチューニングを合わせる(だけどいまいち合ってないし、「Pretty Vacant」の後では弾けてないシドにギターがチューニングを合わせてる気がする)。演奏が聴けるのは4曲で、 Belsen Was A Gas Pretty Vacant Problems(未完奏) Feelings(未完奏) ウィンターランドも今は無く1985年に取り壊され、跡地にはマンションが建っている。

『CROSSBEAT Special Edition THE CLASH』

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2012年12月に『THE DIG Special Edition THE CLASH featuring Joe Strummer』が出版されて間もないのだが、同じくシンコーミュージックからまたもやクラッシュのムックが2013年9月9日に出版された。 “月刊誌としては一旦休刊する”という発表が先月あった雑誌“クロスビート”のスペシャル・エディションで、9月10日に発売となる12枚組ボックスセット『サウンド・システム』のリリース直前というタイミングだ。そのボックス(結局国内盤は出なかった)は値段の割に初出の音源が少ないのと、そのうち幾つかはブートで聴いてしまっていることもあり、私は今のところ購入を見送っているのだけれど…。 まずは、そのボックスの内容解説とポール・シムノン最新インタビュー(勿論ボックスについても言及している)。その他インタビューは雑誌『ジャム』、『ミュージック・ライフ』、 『クロスビート』で過去に掲載されたクラッシュのメンバーに対するインタビューを再掲載しているが、いくつかは以前にシンコーミュージックから発売されたムックに掲載されていたものとダブりあり。 『動乱』発表後しばらくしてのインタビューだったジャム1979年7月号の水上はるこによるもの、『ロンドン・コーリング』リリース後のミュージック・ライフ1980年4月の東郷かおる子によるものの一部、ポーグス加入時のクロスビート1992年3月号の大谷英之によるもの、は2002年にジョーが亡くなってすぐに出版された『THE DIG Tribute Edition JOE STRUMMER 1952-2002』 に再掲されたものと同じ。 トッパーのインタビューはミュージック・ライフ1982年3月号の森田敏文による1982年のクラッシュ来日時のもので、2006年にシングル・ボックスがリリースされたときに出版された『THE DIG Special Edition THE CLASH』に再掲されたものと同じ。 また、ジャム1979年2月号の水上はるこによるジョー・ストラマー日本初インタビューは、2002年雑誌THE DIG No.30に再掲載されていた。 他の10本のインタビューは再掲載とはいえ、まとめて読めるのは有り難い。特にミックのBADもからめた1993年と2011年、クラッシュの思い出を語った2004年のイ...

荒井由実「ひこうき雲」

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1973年11月リリースのアルバム『ひこうき雲』より。 宮崎駿の作品を観るようになったのはいつ頃からだろうか。思い返してみると、友人の下宿で読んだ宮崎駿・作のコミック『風の谷のナウシカ』が最初じゃないかな。たぶん2巻くらいは出ていたころじゃないだろうか、まとめて読んだ覚えがある。後に映画として観られる綺麗な線描とは違う、ややグロテスクにも思える画風で描かれ、登場人物達の活躍やストーリーも魅力のあるものだが、はるか過去の戦争によって汚染された世界と、汚染を浄化するために毒を吐き出す自然の治癒・再生能力(それが人間にとって脅威となった)という ベースにあるテーマに強く惹かれたものだった。または『カリオストロの城』をテレビで観たか、のどちらかだと思う。あ、『未来少年コナン』も時々見てたかな…。 アニメーション映画監督の宮崎駿が『風立ちぬ』(2013年公開)を最後に長編監督から引退すると記者会見を行った。 その『風立ちぬ』のエンディングで流れるのがユーミンの「ひこうき雲」。 ユーミンの1983年に出版された語りおろし本『ルージュの伝言』には「ひこうき雲」 を筋ジストロフィーを患った小学校の同級生が亡くなったときの事をモチーフにして作った、ということが書いてある。掃除の時に“机を持てない”と言うその男の子に“足の悪いふりをしないで”と言っていたというユーミン。その言葉は“優しさ”だと思っていたという。小学校以来会うこともなく、高校1年のときにその子は亡くなり、お葬式に呼ばれて見た成長した故人の写真、集まった同級生たちとの再会、そこで小学生のまま止まっている時間の感覚を強く意識したという。高校3年の時に近くで起きた心中事件をきっかけにこのお葬式の時の事を思い出し「ひこうき雲」が作られた。曲が作られた時期は高校3年の終わり~大学1年の初め、1年の終わりにはアルバムの録音が始まるが、キャラメル・ママのアレンジ/演奏があるにしても18歳にしてこの完成度は凄い。 もちろん出来上がった歌に具体的な病名や年齢や性別等は描かれていない。バロック/プロコル・ハルム調のアレンジにのせ、同級生の早逝という出来事を振り返り、普遍的な言葉を選び、イノセントな情景にして儚い“あの子の命”を描く。少女ならではの死への憧憬を含みつつ、現実に発した冷徹ともいえる視線と厳しい言葉は、 “何もおそれない”、“けれ...

湯浅学監修・選『日本ロック&ポップス・アルバム名鑑1966-1978』

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ミュージック・マガジン社発行、レコード・コレクターズ増刊、2013年8月31日発売。 湯浅学監修・選による893枚のアルバムがほぼ発売順に掲載されている。以前やはりミュージック・マガジン社から発売された『日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100 1960-1989』のようなランキング本ではない。 序文で湯浅学いわく“生来の年表好き”なので“世の中に出た順番に見たい”、“音盤年表”ということだが、これはわかる。世の中に出た順番や年代は私も非常に気になる。ガイド本もわりかし見てきたので少々値も張るし、どうしようかなと購入をためらっていたのだが、この湯浅の序文を読み、こういう基準で選んでいるなら、と購入したのだが、なかなか面白い。 1966年(その前に前史として24枚が選ばれている)を起点として1978年まで、ジャケットは全てカラーで掲載されており壮観だ。ジャケの下にはオリジナル発売時のレーベルと番号が記載されているが、このあたりもCD化、未CD化といった事や、現行CD番号を掲載して入手の可否といった事にとらわれない、単純に年表的な並べ方を目指している事が徹底されていて良い。 それに200字程度の解説が掲載されている。盤によっては2枚分を使って解説。ロック・フォークに限らずポップス、というか歌謡曲・演歌系からも選盤されている。読み進めていくと“園まり”、”森進一”、“黛ジュン”、“伊東ゆかり”、“藤圭子”、“トワエモワ”、“野坂昭如”なんかのアルバムに興味が湧いてしまう今の気分。そうかと思えば、見た事も(勿論聴いたこともない)自主制作盤も載っていたり、とにかく幅広い。 1976年は英米でパンク・ムーブメントが勃興し、1977年には次々にパンク・アルバムがリリースされたが、こうして見ると日本では1978年までにアルバム単位でのパンクの出現は無かったんだなと改めて思う(もちろん影響はあったが)。むしろニュー・ウェイヴのとっかかりは見て取れる。巻末には“発掘盤”の括りがあり、そこにはガセネタのボックスやゴジラ・レコードのコンピ『ゴジラ・スペシャル・ディナー』が選出されている。 この本に紹介されている音盤で我が家にある最古の音盤はフォークルの『ハレンチ』(1967年)だった。CDだけど。2013年11月発売予定の続巻『1979-1989』も楽しみだ。

WILKO JOHNSON『TOKYO SESSION 2013 at REDSHOES』

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2013年8月3日 socketTVよりリリースのDVD。 2013年1月13日に南青山のレッドシューズで行われたウィルコ・ジョンソンを囲んだセッションの模様を収録したDVDで、当日の収益と同じようにDVDも全ての収益金を「BENEFIT FOR NIPPON」を通して福島県の震災被災者に寄付する「チャリティDVD」として販売された。リリース記念としてチャリティーTシャツもDVDとのセットで販売され、その収益金についても同様寄付されるということだ。 ウィルコの親友というベンジャミン・テホヴァルが器用に複数の楽器を操りながら歌う「San Francisco Bay Blues」が1曲めに収録されている。2曲めの「I Can Tell」からウィルコ登場。そこからは怒涛のロックン・ロール・セッション。バンドは鮎川誠、奈良敏博、川嶋一秀、シーナのシナロケ組に数曲で花田、チバ、浅井健一などが参加した。 演壇も客席との区切りもなく、観客の押し寄せる激狭のステージで演奏する姿は、見ているこちらがもっとやりやすい会場はなかったのか、と思うほどだが、レッドシューズはウィルコが指定した場所らしい。会場のスタッフは常に観客を押しとどめているため、もはやほぼ出演者となり映像にもその姿が常に映っている状態だ。 セッションだからぶっつけ本番みたいな、あるのはただロックンロールのルールだけ。 「Sneakin' Suspicion」、「Dr. Dupree」、鮎川が歌う「Roxette」などウィルコの持ち歌でキレた演奏を見せてくれる。観客をかき分け花田登場。「Little Queenie」を歌い、ウィルコのカッティングに花田がソロを決める場面も。ゲストも次々登場し、チバの歌う「Do The Boogie」は違う曲になりカオス状態、「Walking The Dog」、「Route 66」、「King Bee」等のロック・クラシックをゲストと共に爆奏。 再びフィールグッズの「Back In The Night」を聴かせ、「She Does It Right」をバッチリ決め、一旦退場。アンコールは「Bye Bye Johnny」。途中でスローダウンして“俺は俺のギターを弾く”と、ギターを掻き鳴らし、 “遠くの列車の音を聞け”と日本のミュージシャンと観客達にロックンロールとブルースのスピリットを...

追悼・山口冨士夫「ひとつ」

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山口冨士夫。私が音楽にのめり込んでいった1980年代の初め、既に伝説のギタリストだった。リリース数が少ないこともあるが、どうにか耳に出来るのは『ライブ村八分』だけ。だけど山口冨士夫は80年代徐々に伝説から現実の音楽シーンへと姿を現していく。 1983年テレグラフ・レコードからEP「RIDE ON!」がリリースされ、この頃にはタンブリングス等でライブ活動も再開。1984年には『ライブ村八分』がVIVIDから再発、1986年には長らく入手困難だったソロ・アルバム『ひまつぶし』がやはりVIVIDから再発。この年シーナ&ザ・ロケッツへのレコーディングとライブ参加も話題となった。 1974年にエレックからリリースされたオリジナル『ひまつぶし』のジャケットは、その頃付き合っていた彼女が当時の山口冨士夫を描いたと言う可愛らしいとも言えるイラストだったが、 1986年の再発に際しては、そのイラストを冨士夫の希望で使用せず、サイケデリックな、風景というか、心象風景というか、イメージを全面に描いたもの(龍や河童が塗り込められている)に変更されている。個人的には初めて手にしたこちらのジャケットの方が馴染み深いかも。 ダイナマイツのローディをしていた高沢光夫が多くの作詞を手掛け、高沢の友人の高橋清がドラムを担当。1986年に聴いたときには、既にロック・クラシックという感もありつつ、ポップな面もあり聴きやすいが、勿論毒気も充分感じられ、手応えのある曲の揃ったこのアルバムは、カセットテープに録音して随分愛聴したものだ。   『東京ニューウェイヴ'79』で自殺がカヴァーしていた「ひとつ」のオリジナルを聴けたのがうれしかったなぁ。花田裕之の1995年カヴァー・アルバム『レンタソング』に、2曲も冨士夫のカヴァー(『ひまつぶし』から「ひとつ」と「おさらば」)を収録していたのも当時は意外だった。2000年代のヤサグレ・バンド、日本脳炎も2004年のアルバム『狂い咲きサタデーナイト』でこのアルバムから「からかわないで」をカヴァーしていた。冨士夫のロックンロールはいつの時代にも継承されていた。 山口冨士夫が亡くなった。8月14日のことだ。そのひと月前に暴行を受け意識不明となり、いったんは意識が回復したということだが、14日9時30分に死去。警察が司法解剖を行った結果の死因は肺炎という。8月15日に新...

OMNIBUS a Go Go Vol.100『GUITAR POP JAMBOREE STEPPING (MORE)~レア・トラックス Warner Music Editon』

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“ギター・ポップ・ジャンボリー”シリーズは1999年~2000年にかけてソニー、ワーナー、BMG、東芝EMIの各社からリリースされたコンピレーション。もとはミュージック・マガジン社の増刊“CD BEST 100”シリーズ『ギター・ポップ・ジャンボリー』として刊行されたディスク・ガイド本を発展させた企画、といえるもので、各社あわせて計6枚のCDがリリースされた。1999年7月にリリースされた『Guitar Pop Jamboree Stepping (more)』は副題に『~レア・トラックス Warner Music Editon』とあるように、ワーナーが所有するレア音源を集めたものだ。 このコンピを購入したきっかけはただ一つ、ストロベリー・スウィッチブレイドによるヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー「Sunday Morning」が収められていることだ。ジルとローズの女性二人組ストロベリー・スウィッチブレイドはエコー&ザ・バニーメンのギタリスト、ウィル・サージェントの個人レーベル、92ハッピー・カスタマーズから1983年デビューシングルをリリースした後、1984年にワーナー傘下のコロヴァからシングル「Since Yesterday c/w By The Sea」をリリースし全英5位のヒット、人気は日本へも波及して日本のみのミニ・アルバムやシングルもリリース、1986年には来日もしている。 そのヒット・シングル「Since Yesterday」の12インチのみカップリングに追加収録されていたのが「Sunday Morning」だった。まぁ12インチも友人に譲ってもらって持ってるんだけど…。 ヴェルヴェッツのファースト・アルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』の1曲目に収められている「Sunday Morning」は、ジョン・ケイルのチェレスタのキラキラとした音色と、次第に霧がたちこめるように表れるさまざまな楽器、エコーが深くなってゆくルー・リードのヴォーカルが幻想的な曲。 ストロベリー・スウィッチブレイドのヴァージョンは、ギターとオルガンの演奏に、ジルとローズのヴォーカルとハーモニーのみのシンプルなものだが、土曜の夜を眠らずに迎えた日曜の朝の気分を歌ったというヴェルヴェッツのフィーリングを損なうことなく表現している。ストロベリー・スウィッチブレイド...

OMNIBUS a Go Go Vol.99『NORTH OF NO SOUTH COMPILATION ONE』

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日本でスウェディッシュ・ポップ・ブームが起こる少し前、1992年にスウェーデンのジャカランダ・レコードからリリースされたコンピレーションCD『ノース・オブ・ノー・サウス・コンピレーション・ワン』。 タイトルはチャールズ・ブコウスキーの短編集『South of No North』をもじったものらしいが、いい音楽を南のストックホルムからではなく北のウメオ(Umea)から、という意味合いでつけられたのだという。その名の通り、多くの曲がウメオのトーンテクニックというレコーディング・スタジオで録られたもの、一部がウメオよりもっと北のルレオのゲイトウェイ・スタジオで録音されたものだ。カタログNo.はNONSCD-01で、ノース・オブ・ノー・サウス(NONS)の第一弾リリースとされている。 このコンピには日本でカーディガンズと人気を2分したバンド、クラウドベリー・ジャムが初期にレコーディングした楽曲が2曲収録されている。「Are You Happy?」はこれがあのジェニー嬢か?と思ってしまう、やけっぱち&やさぐれた感のあるボーカルが聴けるストレートでパンキーなナンバー。もう1曲の「Love Song」はアコースティックながらニューウェイヴィーな曲調。クラウドベリー・ジャムといえばジャズ・テイストのコード感があるギター・ポップ・バンドだったが、この頃というかこの2曲はポップというより、ややダークな面が強調されている感じの曲。クラウドベリー・ジャムは1992年この2曲を含むCDシングルをリリース(もう少しポップな曲もあった)、1994年トーレ・ヨハンソン・プロデュースのミニアルバム『アート・オブ・ビーイング・クール』で変貌と遂げる。 ジャカランダからシングルをリリースしていたハネムーンズは「You Never Say」と「Tell Me Why」の2曲。どちらもギターの響きを大切にしたポップ・ナンバー。オルガンの使い方も良い。武骨なギター・バンドといった感じのサテライト・サーカスは「Carmine Sky」と「Gallery of Ghosts」の2曲。後のNONSを代表するバンドのひとつとなるコメダは「Magnifying Glass」と「Mellow Song」でどちらもストレンジな魅力がある。 このコンピを購入したのはシーシェルズの初期録音が2曲収録されていたからだった。シーシ...

OMNIBUS a Go Go Vol.98『THE COOLEST FROM THE COLDEST Super Swedish Compilation』

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1990年代中頃は先に紹介したソープ・レコードのコンピも含め、色々なスウェディッシュ・ポップのコンピレーション・アルバムが日本でリリースされていた。 例えばウェスト・サイド・ファブリケーションのアーティストを集めた『コーヒー・カップとアップル・ソース』(1995年)、日本の江戸屋レコードのレーベルとしてリリースされた『スウェディッシュ・スウィーツ』(1995年)、同じく江戸屋の『ウィンター・ギフト』(1995年)、トーレ・ヨハンソン・プロデュースでタンバリン・スタジオ録音を集めた『タンバリン・スタジオスVol.1』(1995年)、同様の趣向ながら日本のボニー・ピンクやカジヒデキ、イギリスのセイント・エティエンヌも参加している『タンバリン・スタジオスVol.2』(1997年)、ノース・オブ・ノーサウスのアーティストをカジヒデキがセレクトした『ブースカ』(1997年)などなど。有名無名、ベテラン組から新人まで組み合わせて多数リリースされていた。 この『ザ・クーレスト・フロム・ザ・コールデスト』は日本のポリドールが独自企画したコンピレーションで1996年3月にリリースされた。まぁ改めて紹介するコンピでもないのだが、カーディガンズの「カーニヴァル」が入っているということで。 日本でのスウェディッシュ・ポップ・ブームの火付けとなり大ヒットした「カーニヴァル」。1995年当時FMラジオでは超ヘヴィー・ローテーションだった。当時の日本のロック・クリティックからは無視されていたような気がするが、スウェディッシュ・ポップの扉を大きく開いた超名曲。今聴いてもまるで色褪せていないエヴァーグリーンな曲だ。 もちろんメロディやキュートなニーナの歌声も好きだし、アコースティックなフィーリングを感じさせつつ、ギターやオルガン、ハンドクラップのグルーヴィなアレンジも好きなのだが、 虜になったのはドラムだった。軽やかで手数が多いけれどメロディの邪魔にならないドラミング。躍動感があるけど非常にクールなドラムのフレーズが記憶に残る、忘れ難い楽曲だ。もっともこの軽妙さと楽曲を覆う洒落たムードは多分にトーレ・ヨハンソンのプロデュース・ワークによるものだろう。ドラムのベングトのプレイも含め、ライブではもっとワイルドなパフォーマンスだった。 このコンピレーションの1曲目に収録されているのは、イントロに17秒程の...

OMNIBUS a Go Go Vol.97『HOLIDAY IN THE SUN A Soap Record's Compilation』

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ソープ・レコードのスウェーデン・ポップを集めた日本企画コンピレーションの第2弾で1996年に日本コロムビアからリリースされた。今回もLars Sundhによるアートワーク(傘がモチーフ)が素晴らしい。このコンピは本国ではリリースされなかったようだ。 1曲目ワナダイズの「You And Me Song」でノックアウト。ギター・ポップの最高傑作のひとつ、と言っても良い超名曲。素朴で微笑ましい歌詞を含め、この曲に詰め込まれている全てが素晴らしい。いつ聴いても晴れやかな気持ちになる。ワナダイズは爽快ポップ・チューンをもう一曲「Might Be Stars」を収録。どちらも1994年のアルバム『Be A Girl』から。そしてあと1曲はイギー・ポップのノイジーなカヴァー「I Got A Right」も収録されている。これは1993年のシングル・カップリング曲だった。 ディス・パーフェクト・ディはハード・ポップな「Simply Irresistible」と、この曲のシングル・カップリング「Never Again(acoustic)」 (彼らの3枚目のアルバムに収録されている同曲のアコースティック・ヴァージョン)。エッグストーンはセカンド・アルバムから「The Dog」と1992年の『In Lemon Grove EP』からドリーミーでシニカルな雰囲気「Diesel Smoke」の2曲、シナモンは後にアイランドからリリースされるアルバムに収録される「Heavenly Option」とファースト・アルバムから「Moments」。どちらもフリーダのキュートなボーカルが魅力。 このコンピではワナダイズに負けず気持ちのいいギター・ポップ・チューンを聴かせてくれるポプシクル「Hey Princess」は彼らの1992年テレグラム・レコードからもリリースされていたファーストアルバムから。北欧の老舗レーベル、ウエスト・ファイブ・ファブリケーションからも楽曲をリリースしていたマフロン5はアーシーな雰囲気の「Freewheeling」、ゼップ+ジミヘンといった感じのヘヴィ・チューンのホイップド・クリーム「You And I」、CAMはこの時点の未発表曲で後に彼女のファースト・アルバムに収録される幻想的な「Possible Honey」と1994年のEPから「Pity Me」、デビューしたてだったメ...

中西俊夫著『プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力・中西俊夫自伝』

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K&Bパブリッシャーズより、2013年7月出版。 1956年生まれ57歳、プラスチックス、メロンの中心メンバーであり、メジャー・フォース・レーベルの設立者でもある中西俊夫の自伝が出版された。英題 " THE RISE AND FALL OF PLASTICS AND MELON, MAJOR FORCE BE WITH YOU " はデヴィッド・ボウイのもじりか。 これを読むと、プラスチックスが佐久間正英を除き素人というかイラストレーター、デザイナー等のクリエイターが遊び半分で結成云々…というものではなく、中西自身かなりの音楽マニアであり、中西に関してはもともとミュージシャン志向だったのだろう。なにしろ中3でグランドファンクの来日公演に行き、エレキ・ギター(グヤトーン製)とアンプとファズを手に入れ、翌年ゼップの来日公演に行き、高校の修学旅行を欠席してデヴィッド・ボウイの来日公演に行くくらいだ。高校卒業後にはセツ・モードセミナーに通いつつ原宿キディ・ランドでメロディ・メーカー、NMEなどの音楽紙や洋書の音楽雑誌を手に入れてたと書いてある。 1976年にはプラスチックスを結成、パーティ・バンドとしてボウイやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ロキシー・ミュージックなどのカヴァーを演奏していたが、決定的だったのは取材に行ったボウイから「オリジナル曲を作れ」という助言を受けたこととセックス・ピストルズの登場。もちろん色々なところから影響は受けたと思うが、中西はこれからはクラフトワーク+ピストルズという考えになったらしい。 1977年には日本コロムビアのスタジオでデモを録音している。録音されたのは5曲で、この自伝の付属CDに収録されている(今回が初リリース)。収録曲は以下の通り。 「Anti Christmas」 「Digital Watch」 「I Am Plastic」 「Tokyo Banzai」 「Hate」 このデモのプロデューサーは何故か本文中では「山***」と伏字になっているが、2005年のタワーレコード・オンラインの記事 『中西俊夫のニューウェイヴな世界』 で中西は別に隠さず「山下達郎がプロデュースしてる」とコメントしている。 ヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムス、コーラス×3の計8人という初期のバンドサウンドが録音され...

OMNIBUS a Go Go Vol.96『NOW I'M HOME The Soap Record's Guide For Young Japanese』

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北欧の音楽といえばアバ、ノルウェーのA-HA、または北欧メタル、それにスカンジナビア・ハードコアなんかが思い浮かぶが、1995年にカーディガンズの「Carnival」がヒットし日本でも大きくブレイクしたのがスウェーデン・ポップ・シーンだった。カーディガンズはストックホルム/トランポリン・レコード、日本で人気のあったもう一つのバンド、クラウドベリー・ジャムはノース・オブ・ノー・サウス、他にもウエスト・サイド・ファブリケーションなどのレーベルがあるが、スウェディッシュ・ポップは多彩でなかなか奥が深いな、と知ったコンピレーションがソープ・レコード(Soap Records)の名曲を集めた傑作コンピ『NOW I'M HOME』だった。日本企画で日本コロムビアから1995年にリリースされた。コンパイルは伊藤英嗣で、本国ソープ・レコードからもリリースされている。 ハード・ドライヴィンなギターとアコースティック・ギターのカッティング、目眩くメロディとアレンジを持ったエッグストーン「Against The Sun』に始まり、ややハードなパワー・ポップのディス・パーフェクト・デイ「I'm In Love」、ビートリッシュでこのコンピで聴いて凄く気に入ったグループのワナダイズの最高にドリーミーな「Things That I Would Love To Have Undone」、キュートな女性ボーカルのシナモンのアコースティックなナンバー「Me As Helen of Troy」(この2曲のつなぎ最高)、UKギター・ポップのフレイバーを感じるセンツの「Your Favourite Records」、スウェディッシュ・ポップを代表する名曲でソープ(当時はスナップ)レコードの最初期のリリースだったエッグストーンの「My Trumpets」、ワナダイズのシングル・カップリング曲でゴー・ビトウィーンズのカバー「Lee Remick」、イージーの「Listen To The Bells」はニュー・オーダー・ライクな哀愁のユーロー・ビート・ナンバー。 エッグストーンの1994年シングル・カップリング曲でガレージな「Anaesthesia」、ディス・パーフェクト・デイのシングル・カップリング曲でレックレス・エリックのカバー「Whole Wide World」、シネイド・オコナーを思わす...

OMNIBUS a Go Go Vol.95『BURNING AMBITIONS (Japanese Edition) 』

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『バーニング・アンビションズ』は1984年にイギリスのチェリー・レッドがリリースしたアナログ2枚組のパンク・コンピレーションだが、権利関係により、そのままのリリースが日本では出来ない事がわかり、元のコンピをベースに新たなバンドを加え、日本独自編集盤としてパンク10周年の1986年にリリースされた。コンパイルしたのは雑誌DOLLで編集をしていた黒田義之(ライナーノーツも)。リリースしたVAPの5周年記念ということもあり、アナログ盤は低価格な1,500円での発売だった。 チェリー・レッド盤(アナログ)は全38バンドが収録されていたが、そこからセレクトしたバズコックス、アドヴァーツ、ヴァイブレーターズ、イーター、キリング・ジョーク、コックニー・リジェクツ、UKサブス、ダムド、デッド・ケネディーズ、エクスプロイテッドの作品を収録し、GBHは曲を「Sick Baby』に変更、それにオリジナルに収められていなかったセックス・ピストルズ「Pretty Vacant」(デイブ・グッドマンのデモで『ミニ・アルバム』アナログ盤の日本リリース初回特典ソノシートだった)、ディスチャージ「Never Again」、カオスUK「No Cecurity」(1982年リリースの7インチ「Loud, Political And Uncompromising」収録曲)、トイ・ドールズ「Shoe Goes To Finos」、アディクツ「Viva La Revolution」が追加され全16バンドが1枚のディスクに収められた。 ジャケットもオリジナルのビートルズ “サージェント・ペパー”風なものから、日本独自のコラージュ・デザイン(あまりカッコよくない)に変えられている。このあたりの苦労話(?)はライナーノーツに詳しく書かれていて面白い。なおライナーにはチェリー・レッドのオリジナル盤に掲載されていたイアン・マクネイによるパンク論の和訳も載せられている。 個人的にはヴァイブレーターズを初めて聴いたのがこのコンピに収録されている「Baby,Baby」だったと思う。これ聴いてアルバム『ピュア・マニア』買った。やっぱり名曲。トイ・ドールズは一時期よく聴いてたけど今は全部売ってしまった。久しぶりに「She Goes To Finos」聴いたけど、タイトでカッコいいな。 今はいろんなパンク・コンピがあるけど、オリジ...

OMNIBUS a Go Go Vol.94『3×20 (colours) Music from British Independent Record Companies 1980-1990』

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1990年に新星堂が企画・販売、イギリスで制作というかたちでリリースされたイギリスのインディ・コンピレーション。ラフ・トレード、チェリー・レッド、クリエイション、ミュート、レイジー、ファクトリーなどのインディーズから選曲された楽曲を赤、青、黄色と名付けられた各CD1枚に20曲、CD3枚組みボックスで60曲(60グループ/アーティスト)を収録している。イギリスの、と言ってもイギリスのインディからリリースされていると言う意味で(クレプスキュールはベルギーのレーベルだがファクトリーやオペレーション・トワイライトと関係が深い)、アメリカ出身のアーティストやオーストラリア出身のゴー・ビトウィーンズなんかも収録されている。ジャンル的にはニュー・ウェイブ、ポスト・パンク、オルタナティヴ中心。 CD-1にはスミスの記念すべきデビュー・シングル「Hand In Glove」、ストーン・ローゼズの「Sally Cynamon」(1987年FMリボルヴァーからリリースのセカンドシングル)、シュガーキューブスの「Birthday」(1987年ワン・リトル・インディアンからリリースのセカンド・シングル)、クリエイション移籍の第一弾シングルのマイブラ「You Made Me Realise」、エレヴェイションからクリエイションに戻って骨太ロックに変した第一弾シングルのプライマル・スクリーム「Ivy Ivy Ivy」、ピーター・フックのバンド、リヴェンジのデビューシングルのカップリング「Jesus, I Love You」(12インチ買ったな)、アメリカのギャラクシー500「Blue Thunder」、 今回聴きなおして良いなと思ったハート・スローブス「I Wonder Why」等。 CD-2にはヤング・マーブル・ジャイアンツ「Colossal Youth」、YMG解散後アリソン・スタットンらにより結成されたウィークエンドの名曲「A View From Her Room」、フェルトのチェリー・レッドからの1枚目「Something Send Me To Sleep」(1981年リリース、セカンド・シングル)、パステルズのセカンド・シングル「Somethings Going On」、エブリシング・バット・ザ・ガール関連ではマリン・ガールズ「Lazy Ways」、EBTG「Night and Day...

THE STALIN「負け犬」

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ザ・スターリンのメジャーデビューアルバム『STOP JAP』より。 先日再放送があったのだけれどNHKで放送されたテレビドラマ「ラジオ」は東日本大震災後の宮城県女川が舞台。仮設住宅で引きこもる刈谷友衣子演じる女子高生“某ちゃん”が、女川さいがいFM(実在する)に参加するようになり、徐々に周囲やリスナーとの関係を築きつつ、自分の道を歩み始める…というドラマ。 ドラマが始まって少しして、ラジオ放送中に何も喋れなかった某ちゃんは自分でスターリンの「負け犬」をリクエストする(“今の気分だ”と言って)。これがかかった瞬間、ラジオの前の大人たちは唖然とするが、このCDをくれた父親は海で漁をしながら大笑い、震災後に女川から遠く東京へ働きに出たリリー・フランキー(ネットリスナーという設定)は昔のバンド仲間を思い出し某ちゃんに感謝のメールを送る。 ここから某ちゃんが少しずつ心を開いていくのだが、津波にのまれた瓦礫の中から拾い上げたスターリンのCDが映るシーンは、陽光に光るプラスチックケースが擦り傷だらけで砂まみれだけど、本当に宝物に見えた。 この一連のスターリンのCDにまつわるシーンは、優しい言葉も暖かい慰めも穏やかな音も要らない、突き刺さる、尖った、激しい言葉と音を通して理解が出来るんじゃないかと思う、そんな人間がいることを、そんな時があることを表現したテレビドラマでは稀有な、そして傑出した場面だと思う。 ドラマではルースターズ「レッツ・ロック(日本語バージョン)」もチラリとかかる。 

岡崎友紀「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」

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2013年5月29日にリイシューされたアルバム『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』(オリジナルは1980年11月リリース)より。 数年前に気になって欲しいなと思って探すと中古CDが高値で取引されていたので、再リリースを待っていたのだが、ようやくリマスタリング、紙ジャケ、ボーナス・トラック3曲入り、SHM-CDで復刻された。 シングル・カットもされた「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」はサウンド的にはロネッツの「Be My Baby」を意識したというが、初めて聴いた時にはトレイシー・ウルマンの楽曲と同様のドライヴィング感覚と爽やかさ、甘酸っぱさを感じたものだ。曲を引っぱるベースライン、重ねられた幾つものキーボード、気持ちのいいギターのストローク、タンバリンやハンドクラップなどに彩られた豊かな音像は魅惑的だ。ギターソロでのロー・ポジションのフレーズやサックスソロも効果的。このあたりは今回のリリースでボーナス追加となった同曲のインスト・バージョン(2001年リリースの4曲入CDから)でも充分堪能できる。もちろんほぼヴィブラートのないキュートなヴォイスで歌われるメロディも最高な、安井かずみ/加藤和彦作のジャパニーズ・ポップスの至宝。 このアルバム、オリジナル・アナログでは10曲中、6曲を加藤和彦がプロデュースをしているが、安井かずみ/加藤和彦作は「ドゥー・ユー~」の他、ロカビリー風味「ウォッカ・ツイスト」、「ドゥー・ユー~」に似た雰囲気を持つ「You Make Me Happy」、加藤のソロに通じる味わい「メランコリー・キャフェ」の4曲。あと2曲がカバーで安井が日本語詞をつけたシルヴィ・バルタンの「アイドルを探せ」、幾重にも重なったギターが印象的なストーンズの「As Tears Go By」。こちらは英詞のままで歌われている。 残り4曲は牧村憲一と清水信之のプロデュースによるものでオーケストレイションを主体にしたアレンジ。大貫妙子/竹内まりやによる「雨の街」、大貫妙子作「恋のジャック&クイーン」、岡崎友紀が作詞「さよなら・for you」、岡崎作詞作曲の「タキオン」で、加藤プロデュースとは違う触感。なかでも「タキオン」はアルバムの他収録曲とは異なる壮大なイメージの歌詞で、聴き応えある6分半の曲だ。 ボーナストラックには先の「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」のインストバージョンの...

OMNIBUS a Go Go Vol.93『PERMANENT RECORD Original Motion Picture Sound Track』

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OMNIBUS a Go Goで紹介するものはサントラも外していたのだけれど、1988年にエピックからリリースされたサウンド・トラック盤『パーマネント・レコード』を紹介。 映画はマリサ・シルヴァー監督、キアヌ・リーヴス主演で、高校の卒業ミュージカル制作とキアヌがギターを弾くバンドの活動を織り交ぜながら繰り広げられる青春ドラマ。まぁミュージカルの編曲者およびバンドのボーカル役のアンディ・ボイスが重要な役割ではあるんだけど。 1988年公開作品だが、日本では劇場未公開でビデオが出ていた。 サウンド・トラック盤にはジョー・ストラマー名義のインスト曲「Theme From Permanent Record」と、ジョー・ストラマー&ザ・ラティーノ・ロカビリー・ウォー名義でシングル・カットもされた「Trash City」、軽快でスピード感のある「Baby The Trans」、コンガ等のパーカションが印象的な「Nefertiti Rock」、タイトなロック・ナンバー「Nothin''Bout Nothin'」とジョーが計5曲を提供(アナログではA面分)している。インストは緊張感と気だるい感じを内包した曲だし、ラティーノ~によるナンバーも、ややドラムが弱い面があるもののどれもジョーらしい曲が並んでいる。 他には、キアヌ達が忍び込む録音スタジオのシーンでちらりと出演もしているルー・リードの「Something Happend」、パーティの場面でかかるストラングラーズによるキンクスのカヴァー「All Day And All of The Night」、ストーリーの中でも重要な位置を占める曲で、この映画のテーマ・ソングともいえるJ.D.サウザー「Wishing On Another Lucky Star」、硬派なバンド(『Birth,School,Work,Death』なんてタイトルのアルバム聴いたなぁ)のゴッドファーザーズ「'Cause I Said So」、ボディーンズ(The BoDeans)「Waiting On Love」を収録。 ラティーノ・ロカビリー・ウォーのザンダー・シュロス(ギター)とウィリー・マクニール(ドラム)は、後のジョーのソロ・アルバム『アースクエイク・ウェザー』にも参加しているので、このサントラ提供曲や、ソロ・アルバムからの1...

THE CLASH「SOUND SYSTEM AND HITS BACK TRAILER」

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クラッシュの未発表曲、未発表テイク、未発表バージョン等を含む、大型ラジカセ型ボックスセット『SOUND SYSTEM』がリリースされる。去年の秋頃だったかネットのHMVにタイトルが載っているのを見て“ なんだろうな?” と思っていたのだが(そのうち無くなった)、2013年9月9日リリースが決まった。 オリジナル5作品(8CD、最新リマスター)、レア音源(3CD)、レア映像ボーナスDVD、オマケ(バッジ・ステッカー等)という内容。上の動画はそのトレイラーだが、トレイラーも数種あり。 アナログとCDで持ってるから1st~コンバット・ロックまでのオリジナル・アルバム(CD8枚分)は最新リマスターとはいえ、あまり欲しくないなぁ。シングル・ボックスや『スーパー・ブラック・マーケット』も持ってるとレア音源も少なくなる(13曲、これとDVDだけ欲しい)。それにまたもや『カット・ザ・クラップ』は無い事に。『カット~』のレア音源は無視か。ポリドール・デモは全曲オフィシャルに。「Walk Evil Talk」は? パッケージ版も欲しいけどレア音源だけダウンロードって訳にはいかないのか。 詳しくはここへ HIGH-HOPES管理人のひとりごと THE CLASH一生もんの究極ボックス『SOUND SYSTEM』収録内容まとめ ソニーのHPで紹介してるけど国内盤は出るのか? ベスト盤『ザ・クラッシュ・ヒッツ・バック』も同時リリース。

追悼・RAY MANZAREK「 PLAYS "WEIRD AL " YANKOVIC'S "CRAIGSLIST"」

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ドアーズのキーボーディスト、レイ・マンザレクが5月20日亡くなった。74歳だった。 法政大の学園祭にルースターズを見に行ったときのこと、井上富雄が左手をポケットに入れ、右手で開放弦をピッキングして演奏している、そのドライヴした曲を当時は知らなかった。 一緒にいた友人にこの曲はなんていう曲だと聴いてドアーズの「L.A. Woman」だと教えてもらった。こんなかっこいい曲をカヴァーするルースターズに感動しつつ、さっそくドアーズのアルバム『L.A.ウーマン』をその友人に借りて聴いたのだった。 それまでドアーズのファーストは聴いていたと思うが、『L.A.ウーマン』も愛聴盤になった。 疾走感のあるタイトル曲、ブルージィな数曲に混じって、ポップな「Love Her Madly」、リリカルな「Hyacinth House(ヒアシンスの家)」、それに「Riders On The Storm」が特に好きだ。雨粒がガラスを滑るようなキーボード・プレイが素晴らしく、その冷たい感触は暑い夜にこの曲を聴きたくなる(ドアーズのスタジオ・アルバムはどれも好き、デモを収録したボックスも良かった)。 先に紹介したオムニバス『Under The Covers』に収録されていたエコー&ザ・バニーメンの「People Are Strange」にキーボードで参加、変わらぬプレイとバニーズとの共演には非常に喜んだものだ。 上の動画はアル・ヤンコヴィックが公開したマンザレクの演奏映像で、2009年にヤンコヴィックのドアーズ・パロディ曲「Craigslist」(「Twentieth Century Fox」似)にキーボード演奏で参加したマンザレクのレコーディング風景を撮影したもの。軽~く録音に参加している、といった感じがさすが。