Eテレ『浦沢直樹の漫勉neo』・大友克洋

3月29日(土)の午後10:00から放送されたEテレ『浦沢直樹の漫勉neo』は大友克洋(!)をゲストに迎えて代表作のひとつ『童夢』(単行本は1983年刊行)を取り上げ、モニターに映した原画を二人で確認しながら革命的な作品『童夢』制作の裏側に迫るものだった。 私が大友克洋の漫画を読み始めたのはたぶん『AKIRA』の連載が始まってからだと思う。友人のH君が連載されていた漫画雑誌を買っていて、遊びに行っては読ませてもらってたけど、なかなか物語が進まない連載にじりじりしてたな。この『童夢』の単行本も最初H君に借りて読んだかも。その後自分でも購入した。大友の他の単行本も買ったし、大友が監督した自主映画『じゆうを我らに』も観に行ったな。 番組『漫勉neo』では普段から会っている(カラオケに行くらしい)浦沢と大友ならではの会話で、映画からの影響(カメラワーク等)を語るところは非常に興味深かったし、聞きたいところもツボを押さえたものになっていた。いろいろと元ネタを聞き出そうとしてたかも。大友自身は映画『エクソシスト』からのインスパイアや大林宣彦監督『HOUSE』を観て“日本でホラーは洋館じゃないな”と団地を舞台にすることを着想したことが語られていた。番組内でも言及があったが“大友以前、大友以後”といわれるほど大友克洋の作品は大きなインパクトがあった。番組内でその影響を語る漫画家のなかには江口寿史、上條淳士も含まれる。 あらためて『童夢』を読んでみたが、容赦ない描写、ストーリー展開、ハードでクールな筆致、凄い!面白い!というしかない。全1巻、SFでホラー、サイコスリラー的な要素もありつつ、結構いろいろサイドストーリーを詰めこんでる感はあるが、マンモス団地が舞台なだけに様々な人物が登場して描かれているし、それぞれの役どころ、キャラクターも面白い。窓ガラスが割れた部屋を調べに入った警官が見つけた小さな指輪が事件の深淵を覗く糸口になるのもよくできていると思う。 どうやら大友克洋は新作漫画に取りかかるらしいが、発表はいつになるやら?