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IAN McCULLOCH「BIRDY」

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2012年9月リイシューのアルバム『MYSTERIO Deluxe 2CD Edition』より。 イアン・マッカロクが1992年にリリースした2枚目のソロ・アルバム『ミステリオ』も前作同様ボーナストラック追加、2CD仕様で再発されている。 このアルバムを聴くのは初めて。『キャンドルランド』は気に入っていたと思うし、来日公演も多分楽しめたと思うのだが、1992年当時はバニーズ関係はもういいかなぁという感じで買わなかったんだろう。1990年にはイアン抜きのバニーズ(ノエル・バークがボーカリスト、デイモン・リースがドラム)のアルバムが出たり(一応聴いた)、イアンと他のバニーズのメンバーの確執もあったりで興味は他に移っていたんだと思う。そんなことで1990年の後購入したバニーズ関係の音源は91年にリリースされたBBCライブ、4枚組コンピ『クリスタル・デイズ』(2001年)、『ライブ・イン・リヴァプール』(2002年)、25周年のエキスパンド・オリジナル・アルバム・シリーズ(2003年)くらい。 前作『キャンドルランド』で強かったジェントルな面は影を潜め、ダンサブルでコンテンポラリーな意識もあり、打ち込みサウンドの使用も継続しつつ、バンドサウンドに戻ったように思えるが、その分かつてのバニーズとの比較をしてしまう曲もあり、焦点が絞りきれていない印象。まぁ全体的に悪くは無いが、これだといえる曲を選ぶのも難しい。 シングルにもなった「Lover Lover Lover」これが一番の気もするけどレナード・コーエンのカバーだし、 コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーがバッキング・ボーカル、ロビン・ガスリーのプロデュース、アズテック・カメラのロディ・フレイムがギターで参加している「Heaven's Gate」、これも少し弱い。 というわけでCDシングル「Lover Lover Lover」のカップリング曲で、このリイシュー盤ではディスク2に収められている「Birdy」という曲を選んだ。この曲のプロデュースはコクトー・ツインズのロビンで、前作にも通じる静謐でジェントリーでメロディアスな曲。イントロのライド・シンバルに絡まるギターの音色、深いイアンのボイス、これがやはりイアン・マッカロクの世界ともいえる。 結局ソロのイアンにはこういう曲を望んでしまうな…。この曲にもエリザベス...

IAN McCULLOCH「CANDLELAND」

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2012年9月リイシューのアルバム『CANDLELAND Deluxe 2CD Edition』より。 下のオムニバス『To The Shores Of Lake Placid』紹介の時にエコー&ザ・バニーメンの情報などをネットで見てたらイアン・マッカロクが1989年にリリースした初のソロ・アルバム『キャンドルランド』が ボーナストラック追加、2CD仕様で再発されているのを発見、早速購入。 エコー&ザ・バニーメンは多分1983年頃にアルバム『ポーキュパイン』を購入して気に入り、他のアルバムやシングルを集め、来日公演も行く当時一番入れ込んでた洋楽のバンドだった。1988年頃にイアンがバンドを離れ、ドラマーのピート・デ・フレイタスがバイクの事故で亡くなった時は、もうこの4人の演奏が聴けないのかと非常に残念に思った事を憶えている。イアンの甘美なボイス、ウィル・サージェントの鋭くも表現力豊かなギター・プレイもさることながら、ピートとベースのレス・パティンソンの鉄壁とも言える強力なリズム隊は非常に魅力的だったから…。 このイアンのソロ作はリリース時に購入、12インチやCDシングルも買ったし、その後1990年の来日公演にも行った(名義はイアン・マッカロク&ザ・プロディガル・サンズ、バニーズの曲も数曲演奏した)。今回のリイシューは『キャンドルランド』とアルバムからの7インチ、12インチ、CDシングルのカップリング曲、別バージョン、リミックス・バージョンを追加したもので、更に1984年にリリースされたイアンとしては初のソロ・シングル「セプテンバー・ソング」2ヴァージョンとカップリング曲も収録された豪華版。 1989年に初めてこのアルバムを聴いた時にはバニーズの5枚目にあたる1987年のセルフ・タイトルのアルバムの延長上にあり、ピートとイアンの父親の他界という悲しい出来事を乗り越えて静謐な中にも伸びやかさがあるという印象を持ったが、今回あらためて聴いて受ける感じは変わらなかったのだけれど、かなり久しぶりに聴いた事もあり、当時のいろいろな(個人的な)事柄が思い出されて感慨に耽ってしまった。 「The Flickering Wall」や「Proud To Fall」、「I Know You Well」、「Start Again」といったジェントルな曲が並び、中には「Fai...

OMNIBUS a Go Go Vol.74『TO THE SHORES OF LAKE PLACID』

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イギリスのインディ、ZOOレコードから1982年3月にリリースされたコンピレーション。ZOOはビル・ドラモンド、デビッド・バルフによって1978年に創立され、 2人が関わっていたビッグ・イン・ジャパンを皮切りに、ティアドロップ・エクスプローズ、エコー&ザ・バニーメン、ロリ&ザ・カメレオンズ、ゾーズ・ノーティ・ランプス等リバプール周辺のバンドのレコードをリリースしていた。 このコンピレーションはZOOがリリースした楽曲やビル・ドラモンド&デビッド・バルフ達が制作に関わっていた楽曲(当時の未発表曲を含む)を集めたもので、個人的には1980年代に入れ込んでいたエコー&ザ・バニーメンの曲を目当てに、確か雑誌DOLLかなにかに載っていたバニーズのディスコグラフィ(それも1ページにまとめたもの)にこのコンピがあると知って、探して中古で購入。このままでのCD化はされていないと思う。アナログのフロント・ジャケットの“ZOO”の文字はエンボス加工されていた。 バニーズはまだイアンとウィル、レスの3人とドラムマシーン“エコー”を使用している最初期の録音で、ZOOレコードからリリースしたバニーズの1stシングル「The Pictures On My Wall c/w Read It In Books」の両面を収録している。このシングル・バージョンは今では再発もされてるし、4枚組『Crystal Days 1979-1999』でも聴けるけど、当時なかなか目にしたことは無く、あっても結構な値段していたので、ドラムレスでイアン達の青白い炎が揺らめくような演奏の「The Pictures~」と素朴なドラムマシーンの音色の「Read It~」が聴けた時はうれしかった。バニーズは他に「Villiers Terrace」のBBC“John Peel Session”のためのライブバージョンが収録されている。このBBCライブも3人と“エコー”のバージョンでデビッド・バルフがピアノで参加している。 ここに収録されているバニーズの「Read It In Books」はティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープとの共作曲だが(エクスプローズも録音している)、そのエクスプローズはシングルB面曲「Camera, Camera」と当時未発表だった「Take A Chance」、おそらく準備されながらZOOか...

OMNIBUS a Go Go Vol.73『CONCERT FOR THE PEOPLE OF KAMPUCHEA』

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1979年12月26日~29日にロンドンのハマースミス・オデオンでおこなわれた、カンボジア難民を救済するためのチャリティ・コンサートの模様を収録したライブ・アルバムで1981年3月にアトランティックからアナログ2枚組でリリースされた。2012年11月現在でCD化はされていない。 このコンサートの出演者は、 12月26日:クイーン 12月27日:イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ、マトゥンビ、クラッシュ 12月28日:プリテンダーズ、スペシャルズ、ザ・フー 12月29日:エルビス・コステロ&ジ・アトラクションズ、ロックパイル、ウィングス、ロッケストラ だったが、マトゥンビの演奏はアルバムに収録されていない。他は各組1~4曲を収録。 最終日のロックパイルにはロバート・プラントが、ロッケストラにはプラントの他、ジョン・ボーナムとジョン・ポール・ジョーンズがゼップから参加した。 パンク/ニュー・ウェーブに嵌っていた当時は、オールド・ウェイブ勢のクイーンやウイングス、フーといった音源には全然興味なし(とはいうもののパンクを聴く前はクイーンもフーも聴いてた)、最初クラッシュ目当てでこのアルバムを手に取って(誰かから借りたと思う)「Armagideon Time」1曲のみというのは寂しかったものの、その選曲や演奏には満足した覚えがある。トッパーの繊細なドラム・ワーク、ミッキー・ギャラガーのキーボードも素晴らしい。 他にはオリジナル・メンバーでのプリテンダーズの3曲 「The Wait」、「Precious」、「Tattooed Love Boys」がどれも勢いがあって気に入ってたかな。その頃あまりなじみの無かったイアン・デューリー「Hit Me With Your Rhythem Stick」や、コステロ「The Imposter」、スペシャルズ「Monkey Man」なんかに興味を持って聴いたような気がする。ロックパイルは「Crawling From The Wreckage」と、もう1曲ロバート・プラントをゲスト・ボーカルに迎えた「Little Sister」を収録。プラントがエンディングをトチったのはご愛嬌。 自分であらためて購入したのはザ・フーに入れ込んでた頃(1990年代の中頃と思うんだけど)で、アナログA面全部を占めていたのが気になり中古で購入。「Baba O...

OMNIBUS a Go Go Vol.72『DANCE CRAZE THE BEST OF BRITISH SKA…LIVE!』

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1981年2月に2トーン・レコードからリリースされたライブ・オムニバスで、イギリスのネオ・スカ・シーンを追った同名ドキュメンタリー映画のサウンド・トラック・アルバム。 パンク後のイギリスでは様々なシーンが現れたがネオ・スカ(スカ・リヴァイヴァル)もそのひとつ。スピードは速く、オリジナル・スカよりもエッジーなアレンジ、メッセージ性もありつつ、ユーモラスでエンターテイメント性もある。もちろんこのアルバムのタイトルどおりダンス音楽でもある。 2トーン生みの親、ジェリー・ダマーズ率いるスペシャルズはパンキーな「Concrete Jungle」、 スリリングな「Man At C&A」、「Nite Club」の3曲。スリムでシャープな演奏を聴かせてくれる。バーミンガムからのザ・ビート(アメリカに同名のバンドがあることからイングリッシュ・ビートとも記載される)は、「Mirror In The Bathroom」、「Big Shot」、「Ranking Full Stop」の3曲。デイヴ・ウェイクリングとランキン・ロジャーのツイン・ボーカル、コーラスが魅力。演奏力も高い。スキン・ヘッドで巨漢のボーカリスト、ブラッド・ヴェッセルがフロントマンのバッド・マナーズは「Lip Up Fatty」、「Inner London Violence」のエネルギッシュながら軽快なダンス・ナンバー2曲。 女性ボーカリストのポーリン・ブラック擁するセレクターは「Three Minute Hero」、「Missing Words」、「Too Much Pressure」。 スペシャルズにも通じるシャープなサウンドとポーリンの響きの良いボーカルが魅力だ。女性7人組のボディ・スナッチャーズは映画では数曲フューチャーされていたと思うが、「Easy Life」1曲のみ。コーラスもキュートなナンバー。2枚のシングルリリースで解散してしまうが、ボーカリストのローダ・デイカーはスペシャルAKAへ、他のメンバーはベル・スターズを結成する。 ポップでタイトな演奏を聴かせてくれるマッドネスは「Razor Blade Alley」、「One Step Beyond」、「Night Boat To Cairo」が収録されていたが、1990年のCD化の際(右上のジャケ写はCD版)には契約の関係で収録されず、替わりにスペシャ...

OMNIBUS a Go Go Vol.71『THEE LONDON R&B SESSIONS LIVE AT THE HOPE & ANCHOR』

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ロンドンのパブ、ホープ&アンカーでライブ録音されたオムニバスの第二弾といってもよいだろう。『フロント・ロウ・フェスティバル』と同じアルビオンから1980年にリリースされた(録音は1979年11月~12月)。 やはりなんといってもルー・ルイス。ルイスのハープとリック・テイラーのギターがブルース・フィーリングもたっぷりのロックンロールになったリトル・ウォルターのカバー「You'd Better Watch Yourself」と、元はホーン主体のアレンジをギターに置き換えゴリゴリのロックンロールになったジュニア・ウォーカーのカバー「Shake And Finger Pop」の2曲。ルー・ルイスは他のアルバムやシングルの音源も良いがこのオムニバスの2曲は特に好き。 ボギー・ボーイズはアイルランドのバンド。個人的にはジョージ・サラグッドで馴染みのあるエルモア・ジェイムスのカバー「Madison Blues」だが、弾きまくりのスライド・ギターはこちらも負けてない。かっこいい。もう1曲はこちらもスライドで攻めまくるチャック・ベリーの「You Can't Catch Me」。 ウィルコ・ジョンソンズ・ソリッド・センダースはスクリーミン・ジェイ・ホーキンスのカバー「The Whammy」で もともとストレンジな曲だが、更にマッドなボーカルとエキセントリックなブルース・ギタープレイが楽しめる。最高。レッド・ビーンズ・アンド・ライスは「Finger In My Eye」、「Pucker Up Buttercup」の2曲。サックスも効いたパブ・ロック。 アンタッチャブルズは有名なスカ系バンドとは別で、マディ・ウォーターズ「I Can't Be Satisfied」カバーを軽快にキメてくれる。カウント・ビショップスの初代シンガー、マイク・スペンサー率いるカンニバルズはストーンズ・ライクな「Just For Fun」、ボーカルがデイヴ・タイスに代わったビショップズは「Taste And Try」でサヴォイ・ブラウンのカバー。ジョニー・ギターの弾きまくりソロも聴きものだ。 『フロント・ロウ・フェスティバル』にも参加していたパイレーツはジョニー・バーネット「Tear It Up」のドライヴィン・カバーとオーディエンスと1体になった演奏の「All In It Together...

OMNIBUS a Go Go Vol.70『MODS MAYDAY '79 (re-released 2002)』

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2002年にキャスル/サンクチュアリからリリースされ2枚組みになった'79年5月・ブリッジ・ハウス “モッズ・メイデイ” の続々編。 1979年リリース版では3曲のみ(もちろん最強モッド・ナンバー3曲だった訳だが)、1996年リリース続編では収録されていなかったシークレット・アフェアのライブが追加収録されている。注目はテンプテーションズのカバー「Get Ready」で、タイトなリズムにギターのカッティングとペイジのボーカルがクールでかっこいい。スタジオ録音としては残されていない曲だ。 ファースト・アルバムにも収録されるスモーキー・ロビンソン&ミラクルズのカバー「Going To A Go Go」のライブバージョンもエキサイティングで、マートン・パーカスの「Tears of A Clown」と並ぶ名ネオ・モッド・カバーと思う。 ファースト・アルバム収録となる「Days of Change」、「Glory Boys」、「Shake And Shout」、「Don't Look Down」や、セカンド・シングルのB面曲になる「Sorry Wrong Number」、セカンド・アルバムからのシングル・カットとなる「My World」が次々と演奏される。もちろんスタジオ・バージョンのリリースは後の事だ。「Time For Action」と「Let Your Heart Dance」の2曲はアンコール演奏分も追加されてシークレット・アフェアは13曲となり、他のバンドは前2枚に収録済みの楽曲だが、バンドごとに並べ替えられ6グループ全39曲入りとなった。

OMNIBUS a Go Go Vol.69『MODS MAYDAY 2 MODNIGHT AT THE BRIDGE』

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1996年にレシーバーからリリースされた'79年5月・ブリッジ・ハウス“モッズ・メイデイ”の続編。ベガーズ・バンケットとの契約により前作には収録が見送られたマートン・パーカスが収録されている。 後にポール・ウェラーとスタイル・カウンシルを結成するキーボード・プレーヤーのミック・タルボットが在籍していたマートン・パーカス。ボーカリストでギタリストのダニー・タルボットはミックの兄弟だ。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの名モッド・カバー「Tears of A Clown」ではじまり、たたみかけるように続く「When Will It Be」、セカンド・シングルの「Plastic Smile」、ファースト・シングルB面曲「I Don't Want To Know You」、“オイ!”の掛け声で始まる「Silent People」、途中で“David Watts”も飛びだす「Tell Me What I Say」で盛り上がりの全6曲収録。 マートン・パーカスの他は前作にも収録されていたスクワイア、スモール・アワーズ、ベガーの3バンドで、スクワイアはジャム度が高い「It's A Mod Mod World」、コーラスが気持ちいい「The Face of Youth Today」、フー・ライクな「I've Got You On My Mind」の3曲。スモール・アワーズは「Underground」、「The Mess」の2曲のビート・ナンバーと哀愁のソウル・ナンバー「Can't Do Without You」(名曲!)、 続く「By The Light」は前作収録の「End of The Night」のタイトルを変えただけで、この曲のみが前作とダブり。ベガーはパワフルな「Friday Night」と、唐突に演奏が終る「Doing Alright As I Am」。このアルバムの終り方もなにか短い期間を駆け抜けた当時のモッズ・シーンを象徴しているような…。 イギリスの1990年代中頃にはブラーやオーシャン・カラー・シーンといったバンドが活躍、スモール・フェイセスの再評価も高まって新たなモッド・リバイバルといわれていた頃で、モッズ・メイデイ続編アルバムもそのあたりの時流を理由にリリースされたのだろうが、シングルやアルバムのリリースがそれほど多く...

OMNIBUS a Go Go Vol.68『MODS MAYDAY '79』

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1979年にリリースされたモッド・リバイバル(ネオ・モッズ)バンドのライブ・コンピレーション。録音はロンドンのパブ、ブリッジ・ハウスで1979年5月7日(MAYDAY)におこなわれたイベントの模様を収録している。 イギリスに於ける1970年代末のモッド・リバイバルには、ザ・ジャムが大きく影響しているといってよいだろう。セックス・ピストルズ、クラッシュといった極初期のパンク・バンドに影響を受けたジャム(というかポール・ウェラー)は、1960年代のビートグループやモータウン/R&B/ソウルにパンクの加速力を加えた、そのビート・モダニズムをアルバム『ALL MOD CONS』(1978年)で完成させ、続く『SETTING SONS』(1979年)で更なる高みに到達した。 ジャムはその後、ややサイケデリックに寄り、ファンクやソウル色を強めていくのだが、このライブ・オムニバスに収められているバンド群は当然時期的にジャムのデビューから79年頃までの特徴である 性急なビート、手数の多いドラムス、掻きむしりギター、ポップなメロディ・ラインにハーモニーまたはダブルボーカルというサウンドから強い影響を受けていると思う。 パワーポップ・バンド、ニュー・ハーツからモッド・リバイバリストとなったイアン・ペイジ率いるシークレット・アフェアは、後にスタジオ録音され自らのレーベル、I-Spyからシングルとしてリリースされるモッド・アンセム「Time For Action」、これもシングル曲となるブギ・ナンバー「Let Your Heart Dance」、アレンジは全然違うがニュー・ハーツ時代に作られていた「I'm Not Free(But Cheap)」の3曲。どれもシークレット・アフェアの代表曲で引き締まったサウンドが魅力だ。 ベガーはウィルコ・ジョンソンばりのカッティングギターの「Broadway Show」やハープが活躍する「All Night」、ネオ・モッド・サウンド全開の「Don't Throw Your Life Away」の3曲。スモール・アワーズはキャロル・アイザックスのオルガンが特徴で「Hanging In The Balance」、後にEPに収録される「Midnight To Six」と名曲「End of The Night」の3曲。 後にI-Spyから...

初音ミク『ミク★パンク創世編』クロスフェード

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   初音ミクというのは以前NHKの土曜の番組『週刊ニュース深読み』で特集されていたのを見たくらいで縁遠いのだが、これはどうなんだろうか。2012年10月24日にリリースされる初音ミク『ミク★パンク創世編』。発売はビクターより。 収録されているのは、サンハウス、ルースターズ、モッズ、INU、スターリン、じゃがたら、ARB、シナロケ、ゼルダ、ブルーハーツ、ラフィンノーズ、フリクション、頭脳警察、ボルシーという吉田豪により選ばれた強力なバンド達のカバー・バージョン。 選曲に関してはいろいろ意見もあろうかと思うけど、無機質な女性ボーカロイドの声で歌われると妙な哀愁感(?) があるような気がする。じゃがたら「裸の王様」、フリクション「Crazy Dream」、INU「気い狂て」、ARB「魂こがして」なんかは面白そう。一番の目玉は菊とのデュエット「レモンティー」か。ボルシー「ノスタルジック・ボーイ」やアナーキー「タレント・ロボット」の選曲もよい。

OMNIBUS a Go Go Vol.67『SUBTERRANEAN MODERN』

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ラルフ・レコードより1979年8月にリリースされたオムニバス。1979年当時、地下における最新の蠢き(New Wave/Post Punk)を記録したタイトルでもある。 クローム、MX-80サウンド、タキシードムーン、そしてラルフの創始者でもあるレジデンツというサンフランシスコゆかりの4バンドが参加している。その為か「I Left My Heart In San Francisco」(邦題:想い出のサンフランシスコ/霧のサンフランシスコともいう) が各バンド共通課題のカバー曲として収録されているのだが、クロームは実にあっさり、バッサリ渦巻く電子音と共に30秒程で片付け、MX-80サウンドは前衛的なリズムに“サンフランシスコ”のメロディをのせたギター・インストに調理、レジデンツは不気味なバックトラックに“I left my heart in San Francisco!”が繰り返されるストレンジな仕上がり、タキシードムーンは電話の会話にハーモニカ(?)による“サンフランシスコ”のメロディが物悲しく被さる、という工夫されたトラックに加工、とそれぞれ一筋縄ではいかない出来上がりだ。 クローム目当てで手に取ったのだが、目玉・シルクハット・燕尾服のルックスは知っていてもなかなか聴く機会の無かったレジデンツの エレクトロニックでアヴァンギャルドでユニークな楽曲(オリジナル曲の2曲ではギターでフレッド・フリスがゲスト参加している)や、サイケデリック・ロックとニュー・ウェイヴの合体したようなMX-80サウンドはこのオムニバスで初めて聴いたし、タキシードムーンもエレクトロニックかつノイジーかつダークで魅力ある演奏を聴かせてくれる。クロームは特に性急なビート感に満ちた「Meet You In The Subway」が素晴らしい。もう1曲は「Antifade」。 ジャケットはゲイリー・パンターによるもので、このイラストも購入欲をそそられた。CD化はされていないようだが、このジャケはアナログを薦めたい。

OMNIBUS a Go Go Vol.66『A FACTORY SAMPLE』

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設立されたばかりのファクトリー・レコードから1978年12月(1979年1月という説もあり)にリリースされた。33回転のアナログ・7インチ2枚組でプレス数は5,000枚だった。 ジャケット・デザインはピーター・サヴィルでヒート・シール・プラスチック(薄いビニール・コーティングのような)仕様の見開きジャケット。 5枚のステッカーが付属していた。 4組のアーティストが1面ずつに収録されている。 マンチェスターのグラナダ・テレビで音楽番組のホスト等をしていたトニー・ウィルソン、 DJで後にジョイ・ディヴィジョンのマネージャーとなるロブ・グレットン、 ア・サーティン・レシオのマネージャーのアラン・エラスマス、 バズコックスやスローター・アンド・ザ・ドッグス等のシングルをプロデュースしていた、マーティン“ゼロ”ハネット、 デザインをさせて欲しいとウィルソンを訪ねてきた若きデザイナー、ピーター・サヴィル、 この5人によってマンチェスターのラッセル・クラブに“ファクトリー”を1978年5月にオープン。 ウィルソンとエラスムスが共同マネージャとなっていたドゥルッティ・コラムが最初にギグをおこなった。 エニグマからシングルをリリース(1978年6月)後、地元マンチェスターのファクトリーと契約したジョイ・ディヴィジョンは 後のニュー・ウェイブ・サウンドのベーシックとなるようなサウンドを持った「Digital」と、より音響的な「Glass」の2曲を収録。 ワルシャワ時代の直線的なイメージから奥行き/陰影を持ったサウンドへの変化が感じ取れる。 スペイン内戦時にカタロニア出身のアナキストが率いた小隊の名前からグループ名をとったドゥルッティ・コラムは、 まだバンドスタイルでヴィニ・ライリーのギターの他、コリン・シャープ(Vo)、フィル・レインフォード(Vo)、 スティーブン・ホプキンス(Key)、デイヴ・ロウボザム(G)、 後にシンプリー・レッドに参加するクリス・ジョイス(Dr)とトニー・バウワース(B)がクレジットされている。 レゲエ・スタイルのリズムとヴィニの様々なサウンドを奏でるエッジーなギターのマッチングが素晴らしい「No Communication」、 語り調のボーカルとディレイ・ギターが断片的なリズムにのる「Thin Ice(Detail)」の2曲を収録。 コメディアンでもあるジョ...

OMNIBUS a Go Go Vol.65『NO NEW YORK』

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ノーウェイブと呼ばれたニューヨークの音楽シーンからピックアップされた4つのバンドを収録したオムニバス・アルバム。1978年アンティルス・レコードからリリースされた。 1978年4月の終わり、ブライアン・イーノはトーキング・ヘッズのセカンドアルバムをマスターする為ニューヨークを訪れていた。そこでDNAのアート・リンゼイと知り合っている。“キッチン” でセオレティカル・ガールズのライブを見たり、5月2日から5月6日迄 “アーティスト・スペース” でおこなわれたイベントに顔を出していた。 そのイベントには下記の各日2バンドずつが出演している。 5月2日...コミュニスツ、ターミナル 5月3日...ガイナコロジスツ、セオレティカル・ガールズ 5月4日...デイリー・ライフ、トーン・デス 5月5日...コントーションズ、DNA 5月6日...マーズ、ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス イーノはこれらのバンドを見て “イギリスのパンクとは違ってアートを意識していて、ファイン・アートの伝統とつながる素晴らしいシーンだ” と思い、しかしそれは “短い間にパーッと明るく燃えて消えていく火のように思えた” ことからドキュメントとして記録したいと考えた。 コントーションズ、DNA、マーズ、ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークスのメンバーが集められ、MUDD CLUBの創設者スティーヴ・マスのアパートでミーティングが開かれた。セオレティカル・ガールズも招待されていたが参加していない。そこで話されたのは4バンド4枚では無く、4バンドで1枚のアルバム、今ニューヨークで “何がおこっているか、のある種のカタログを作る” という計画だった。計画は動き出し1978年6月ビッグ・アップル・スタジオでレコーディングは予算の関係もあり1バンド1晩というハイペースで進められた。時間の制約もありイーノはあくまでドキュメントという側面に重きを置いたプロデュースで、それぞれのバンドの音に関与、サゼッションはほとんどおこなわなかったという。バンド側にはそれが安易な制作とも思われ不満に感じる面もあったようだ。 アルバムのトップはジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ。ジェームスの怒気を孕んだボーカルにフリーキーなサックス、バックに鳴り続けるオルガン、それに独特の響きを生むパット・プ...

OMNIBUS a Go Go Vol.64『HOPE & ANCHOR FRONT ROW FESTIVAL』

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ロンドンのパブ・ホープ&アンカーにて1977年11月22日から12月15日の間におこなわれた “フロント・ロウ・フェスティバル”の模様を収録したライブ・オムニバス。アナログ盤は2枚組みで1978年3月にリリースされた。 収録されたバンド・アーティストは17組。Dr.フィールグッドを脱退したばかりのウィルコ・ジョンソン、パイレーツ等のパブ系、ストラングラーズ、Xレイ・スペックスや999、オンリーワンズのパンク系、ブリティッシュ・レゲエのステール・パルス、オーストラリアからセインツも参加。 ウィルコ・ジョンソン・バンドはアメリカのブルース・ピアニスト、ウィリー・ペリーマンがDr.FEELGOOD AND THE INTERNS名義で発表した「Doctor Feel-Good」のパブロックカバー (というかJOHNNY KIDD & THE PIRATESのバージョンがお手本)とDr.フィールグッド時代(ファースト収録曲)の「Twenty Yards Behind」。ここではハープに変わりピアノが活躍している。 怒気に満ちたボーカルとハガネの様なベースライン、それに重なる華麗なキーボードワークを聴かせるストラングラーズはリリースしたばかり(1977年9月)のシングル曲「Straighten Out」とファーストアルバム収録曲「Hanging Around」の2曲。個人的にはストラングラーズはパンクを聴き始めたとき良く聴いたバンドで、このライブオムニバスを手に取ったのもこの2曲目当てだった。 ダックス・デラックス解散後にシーン・タイラが結成したタイラ・ギャングは、スティッフ・レコードからリリースしたシングル曲でファンキーな「Styrofoam」 とややルー・リードを思わせる「On The Street」の2曲を収録。 ウィルコのギター師匠・ミック・グリーンのパイレーツは、3ピースバンドとして再編後の初シングル(1977年9月リリース)にも入っていた「Don't Munchen It」とパイレーツのファーストアルバム収録曲の軽快なロックンロール「Gibson Martin Fender」の2曲。タイトなリズム隊、ベースのジョニー・スペンスの渋い声とキレ味鋭いミックのギターはいつ聴いてもヒートアップする。 ブルージーかつ流麗なギターを聴かせるスティーブ・ギボンズ...

OMNIBUS a Go Go Vol.63『LIVE STIFFS LIVE』

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スティッフ・レコーズはレコーディングスタジオも備えたパブ、ホープ&アンカーを経営していたデイヴ・ロビンソンと、Dr.フィールグッドのロードマネージャ等をしていたジェイク・リヴィエラによって1976年に設立されたインディペンデントレーベルで、最初のリリースは1976年8月ニック・ロウのシングルだった。 その後エルビス・コステロ、パブ系のレックレス・エリック、ルー・ルイス、イアン・デューリーらに加え、ダムドやアドヴァーツといったパンクバンド、リーナ・ラヴィッチ、カースティ・マッコール、プラズマティックス、トレイシー・ウルマン、マッドネス、ポーグス、アメリカのディーヴォやNYパンクのリチャード・ヘルのシングル等、様々な音源をリリースした。 この『LIVE STIFFS LIVE』はスティッフ黎明期、ニック・ロウ、エルビス・コステロ、イアン・デューリー、レックレス・エリック、ラリー・ウォリスの5アーティストが参加して1977年10月~11月におこなわれたレーベル・パッケージツアーの模様を収録したコンピレーションで1978年2月にリリースされた。ジャケット裏にはイースト・アングリア大学、レスター大学、ロンドン・ライシアムが録音場所として記載されている。 コズモ・ヴィニールによるMCでニック・ロウが紹介されてアルバムは始まる。ニック・ロウはデイヴ・エドモンズやラリー・ウォリス等と共に“Nick Lowe's Last Chicken In The Shop”名義で デイヴとのダブル・ボーカルも気持ちいい軽快なナンバー「I Knew The Bride」(80年代に入ってアルバム『The Rose Of England』でスタジオ録音が発表された)と、こちらもグッドロッキンナンバー「Let's Eat」の2曲。ダブル・ドラムの迫力も堪能。 元ピンク・フェアリーズのラリー・ウォリスのセットになると同メンバーで名義を “Larry Wallis' Psychedelic Rowdies”と替えて演奏し、ここではデンジャラス&マイナーコードの「Police Car」を収録。レックレス・エリックはドラムになんとイアン・デューリーを迎え“Wreckless Eric & The New Rockets”名義でヘヴィなトーンの「Semaphore Signal...

OMNIBUS a Go Go Vol.62『RAW DEAL!』

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RAWレコーズのコンピレーションで1977年12月にリリースされた。オリジナルリリース時は12曲入りで、ユーザーズの「I'm In Love With Today」の他は未発表トラックだった。 ユーザーズはRAWレコーズのリリース第一弾でもある1stシングルのB面曲で破壊力抜群の「I'm In Love With Today」、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズのケビン・ローランドがいたキルジョイズはスピーディなロックンロール「At Night」、アクメ・スエイジは「I Don't Need You」と「I Can See You」の2曲。ストゥージズにも通じるヴァイオレントでパンキーなバンドだ。 The G.T.'sは「Millionaire」と「Move On」の2曲。どちらもパワーポップな魅力がある。ブラッドクロッツは凶暴で最高なカバーバージョン「Louie Louie」。キャットウーマンみたいなルックスのボーカルが歌うシック・シングスはキュートでパワフルな「Bondage Boy」、「Kids On The Street」の2曲。ギターもキレてる。 他にはサイコス「Soul Train」と「Young British & White」の2曲とZHAINの「Get Ready」。順不同となったが、ここまでがオリジナルリリース時の8バンド12曲。 右上のジャケ写は2000年にDamaged GoodsからリリースされたCDで、4曲を加え16曲入りとなっている。またジャケのデザインも若干変更されている。追加されたのはキルジョイズ「Recognition」、シック・シングス「Anti Social Desease」と「Sleeping With The Dead」、ユーザーズの未発表曲でノイジーな魅力爆発「Message」の4曲。

OMNIBUS a Go Go Vol.61『SHORT CIRCUIT Live At The Electric Circus』

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マンチェスターにあったライブハウス “エレクトリック・サーカス” で1977年10月におこなわれた閉店ライブを 録音したオムニバスアルバム。Virginレコードから1978年6月にアナログ10インチというフォーマットでリリースされた。 地元マンチェスターに馴染み深いバズコックス、ジョイ・ディヴィジョン、ドローンズ、フォール、ジョン・クーパー・クラークの他に、レゲエバンドのスティール・パルスが収録されている。 まだワルシャワと名乗っていた頃のジョイ・ディヴィジョンはパワフルで激しいパンクロックナンバー「At A Later Date」を収録。1978年初めにグループ名を改めた為、クレジットはジョイ・ディヴィジョンとなっている。 パブロックバンドからパンクバンドへと変化したドローンズは、ファーストアルバム(1977年11月リリース)にも収録されていたエナジー全開ハイテンションの「Persecution Complex」。 ベースが唸りをあげ、吐き捨てるように歌うマーク・E・スミスのフォールは「Stepping Out」、「Last Orders」の2曲。 バズコックスはEP『Spiral Scratch』にも収録されていた「Time's Up」。ブリティッシュ・レゲエ・バンドのスティール・パルスはハイでスモーキーなナンバー「Makka Splaff (The Colly Man)」を収録。パフォーマー/詩人のジョン・クーパー・クラークは「(You Never See A Nipple In The) Daily Express」、「I Married A Monster From Outer Space」のポエトリー・リーディング(軽快なラップの様だ)を収録。 6アーティスト、全8曲と短いながらもパンクのファーストインパクト後のマンチェスターシーンを捉えた好オムニバス。

OMNIBUS a Go Go Vol.60『LIVE AT THE VORTEX』

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ロンドンのウエストエンドにあったVortexクラブでライブ録音されたオムニバスアルバムで、 1977年12月NEMSレコードからリリースされた。 Vortexクラブは1977年7月4日オープン。オープニングギグはマンチェスター勢のバズコックス、フォール、ジョン・クーパー・クラークに、ゲストがジョニー・サンダーズ&ハートブレイカーズだった。翌1978年3月に閉店するまで、スージー&ザ・バンシーズやスリッツ、シャム69、ジェネレーションX、アドヴァーツ、999、オンリーワンズ等、数多くのパンクバンドが出演した。 このライブオムニバスは1977年10月10日と10月11日に録音されたもので、10日の出演者は、 The Wasps Bernie Tormé Maniacs Neo Mean Street Raped 11日の出演者は、 Johnny Curious Art Attacks The Suspects だったが、The Raped、Johnny Curiousは収録されていない。 ワスプスの「Can't Wait Til'78」とミーンストリート「Bunch of Stiffs」はこのアルバムからシングルカットされた。ワスプスはもう1曲ヴェルヴェッツの「Waiting For My Man」のシャープなカバーを収録。骨太な演奏かつニューウェイヴィーなギターフレーズもとびだすネオは「Small Lives」と「Tell Me Please」の2曲。ギタリストは後にUltravoxに参加するRobin Simon。 個人的にはバーニー・トーメが聴きたくてこのアルバムを随分探したものだ。元ディープ・パープルのイアン・ギランはバーニーをギタリストに迎え、バンド名をGILLANと変えてNWOBHM旋風吹き荒れる1979年末から1980年のイギリスのハードロックシーンに名乗りをあげ成功を収める。バーニーもその名を知られていったが、このオムニバスアルバムに録音された演奏は、バーニーのソロ(というかBernie Torme Band)の1stシングル(1978年)リリース前の最初期のプレイが聴ける。 収録されているのはそのへんのパンクバンドよりスピード感に溢れた「Living For Kicks」とラフなロックンロール「Streetfighter」の2曲。もちろ...

OMNIBUS a Go Go Vol.59『REVOLUTION ROCK -A Clash Jukebox-』

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クラッシュのベーシスト、ポール・シムノンがセレクトした、クラッシュが影響を受けた/カバーした曲の“オリジナル曲”を集めたコンピレーション。リリースは2006年。 このコンピに収録されていてクラッシュがカバー・バージョンを発表しているのは、 ジュニア・マーヴィン「Police And Thieves」 メイタルズ「Pressure Drop」 ボビー・フラー・フォー「I Fought The Law」(オリジナルはソニー・カーティスでカントリー色が強い) ヴィンス・テイラー「Brand New Cadillac」 ロイド・プライス「Stagger Lee」(「Wrong 'Em Boyo」のイントロとして) ルーラーズ「Wrong 'Em Boyo」 ダニー・レイ「Revolution Rock」 ウィリー・ウィリアムス「Armagideon Time」 ブッカーT & MGs「Time Is Tight」 ジェイムス・ブッカー「Junco Partner」(ジョー・ストラマーはThe 101'ersでも演奏していた) モーズ・アリスン「Look Here」 この他は、クラッシュがリハーサルやライブのウォームアップ、サウンドチェックなんかで演奏していた曲。その中で3曲はブートレグでカバー・バージョンを聴いた事があった。 デスモンド・デッカー・アンド・ザ・エーシズのレゲエ「Israelites」(随分パワフルなロックンロールで演奏されていた) ボ・ディドリー「You Can't Judge A Book By It's Cover」(個人的にはヤードバーズのカバーで馴染みがある曲) アメリカのカントリーシンガー、ロジャー・ミラー「King of The Road」(オリジナルに近い感じで演奏していた)。 他に、 ジョナサン・リッチマン「Roadrunner」 トロッグス「I Can't Control Myself」 キンクス「Dead End Street」 ラモーンズ「Blitzkrieg Bop」 アンソニー・ニューリー「Pop Goes The Weasel」 アルトン・エリス「Dance Crasher」(マイキー・ドレッドにカバーを薦められたそうだがレコーディングはされなかった)が収録されている。 サン...

平野悠 著『ライブハウス「ロフト」青春記』

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2012年6月出版。 ロフトの創始者平野悠が1号店“烏山ロフト”出店(1971年)から新宿ロフト移転(1999年)までを綴った本が出版された。 15人も入れば満杯の山小屋風スナック烏山ロフトから始まり、ライブも出来る西荻窪ロフト開店(1973年)、騒音問題やキャパの狭さを解消する為 荻窪ロフト開店(1974年)、音楽シーンの動向を敏感に読み取り下北沢ロフト開店(1975年)、渋谷屋根裏や新宿ルイードに刺激を受け日本のロックシーンの最前線で走り続けたいという希望を持って新宿ロフト開店(1976年) という怒涛のロフト拡大のスピードは無謀ともいえるし驚嘆すべき事だ。その間様々なエピソードがあったろうし、実際書かれてもいる。例えば、 烏山の坂本龍一、 西荻窪の山下洋輔や森田童子、 荻窪のティンパンアレーセッション、 下北沢のタモリやサザンオールスターズ、 についてのエピソード、各店舗の出店に関してや客との関わり、苦労話なども書かれているが、話しの展開が早く、妙にあっさりしていて深く掘り下げて書かれていない印象を受けてしまうのが残念だなとも思った。ここまでで全体の半分くらい。 後半は新宿ロフトだ。 1976年に開店し、お店と平行して“新人発掘”や“ロフト・レコード”も企画したがこちらはうまくいかなかったようだ。周囲の影響もあり1979年3月には金土日祝日に限定していたライブを毎日おこなうようになっていく。時代はパンク・ニューウェイブ期。1979年夏のイベント“Drive to 80's”に関してや その企画者・地引雄一との短いインタビューもある。ロフト・ニューウェイブ御三家と題されて、ARB、ルースターズ、アナーキーの3バンドが短いながらも独立して取り上げられている(各2ページほど)。 興味深いところでは柏木省三に関するエピソードもちらり。 その他、タコ(山崎春美)、スターリン、非常階段、じゃがたら、ハードコア勢、東西ヘヴィメタル勢が取り上げられている。BOOWYには最も多い7ページほどをつかってエピソードが書かれている。私も通った西新宿の輸入レコード盤店・海賊盤店についても(短いが)言及があるのも面白い。 1980年に平野の息抜き場所ともいえる自由が丘ロフトを開店するも、1984年頃には平野にとってロフトの経営が苦痛になっており、1984年10月には無期限世界放浪...