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浅川マキ『SINGLE COLLECTION』

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2020年9月30日、ユニバーサルからリリースのコンピレーション・アルバム。 配信限定でリリースされていた『シングル・コレクション』が、浅川マキ没後10年となる2020年に初CD化された。 浅川マキというと下山淳と池畑潤二、奈良敏博 が参加した曲を含むライヴ・アルバム『夜のカーニバル』や 『Stranger's Touch』、『black』といったアルバム、ビクター・ニューロック・シングル集『からのベッドのブルース』に収録された浅川マキのデビュー・シングル「東京挽歌 c/w アーメン・ジロー」を聴いたことはあった(ビクター・ニューロック・シングル集には頭脳警察のシングル曲が収録されていたので購入)。 上記の他には通販用と思われるベスト『夜が明けたら』(The CD Club)をどこかの古本屋で安く買ったくらいだった。 再デビューといってもいい1969年7月リリースの「夜が明けたら」から1988年12月リリースの「見えないカメラ」まで、東芝からリリースされた全11枚のシングルAB面の楽曲が年代順に収録されており、そのなかには初CD化のシングル・ヴァージョンを含み、CD2枚組で2,500円(+税)という価格でリリースされるというのだから、浅川マキ入門編として良いのではないかと思い購入。このシングル集で再デビューから約20年の浅川マキの変遷を(わずかな楽曲ではあるが)辿ることができる。 オリジナル・アルバムを持っていないので聴き比べは出来ないが、ライナーノーツ(藤脇邦夫による・読み応えあり!) より引用すると、 シングル・ヴァージョンを収録しているのは、 「夜が明けたら」:蠍座でのライヴ・ヴァージョン 「ちっちゃな時から」:ヴォーカルの音量を上げたシングル用ミックス 「ふしあわせという名の猫」:ストリングス入りの別テイク 「港の彼岸花」:アルバムとは別テイク 「赤い橋」:シングル・ヴァージョンと記載があるが違いの記載はなし 「こんな風に過ぎて行くのなら」:アルバムとは別テイク 「さかみち」:シングル・ヴァージョンと記載があるが違いの記載はなし 「翔べないカラス」:明大前キッド・アイラック・アート・ホールでのライヴ・ヴァージョン 「マイ・マン」:アルバムとは別テイク 「こころ隠して」:シングル用のエディット・ヴァージョン 「アメリカの夜」:1986年のアルバム『アメ...

水上はるこ「アインシュテュルツェンデ・ノイバウンテン、そして石井岳龍監督の『半分人間』」

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MUSIC LIFE CLUBに連載されている、水上はるこ「最低で最高のロックンロール・ライフ」 第4回 に「アインシュテュルツェンデ・ノイバウンテン、そして石井岳龍(当時は石井聰亙)監督の『半分人間』」が掲載されている。 ハンブルグ~西ベルリン~ロンドン~ローマ~東京。 水上はるこの足跡をたどり、東京で交差した若き才能の融合を書き下ろしで掲載している。なかでも石井聰亙が朝飯前と廃工場(鉄工所の廃墟)を探し出し、ゲリラ的に道路上の撮影を実行する記述には、ニヤリとしてしまう。 『半分人間』のヴィデオは日本では未DVD化だと思う。チェリーレッド・レコードでDVD化されていたけど(右上のジャケ写)これも廃盤になっているようだ。挿入されるスクラップヤードのカット、廃工場で炎をバックに演奏するノイバウンテン。舞踏集団・白虎社の起用もイマジネイティヴだし、電気ドリルやサンダーなど“楽器”が紹介されているのもユニーク。水上はるこはコーディネイターとしてクレジットされていた。 余談だけどレコーディング・ディレクターでクレジットされているのは柏木省三。たしかブリクサは『逆噴射家族』がドイツで上映された時に観てとても気に入り、石井聰亙にバンドのフィルムを撮ってほしいとアプローチしたとどこかで読んだ。

追悼・筒美京平

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作曲家・筒美京平逝く。 1970年代、1980年代の歌謡曲・アイドルのヒット曲は、歌唱が男でも女でも覚えようとしなくても覚えてる曲もあるし、今でも歌えるものもある。まぁ女性アイドルはシングル盤を持ってる曲もある。作曲リストを見ると「ブルーライトヨコハマ」かなぁ。最初にリアルタイムで聴いたのは。男性が歌った曲だと「また逢う日まで」だなぁ、子ども心に印象に残ったのは。思い出とともにある数えきれない曲たち。 やはり「強い気持ち・強い愛」かな。 50年以上におよぶ作曲家生活、お世話になりました。 

映画『BLADE RUNNER』FIVE-DISC ULTIMATE COLLECTOR'S EDITON DVD

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 『ブレードランナー』のブルーレイ(3ヴァージョン収録版)を買ったり、『ブレードランナー2049』をレンタルで見たり、町山智浩著『映画の見方がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』や『ブレードランナー究極読本』を買ったりして自分の中でブレードランナーがちょっとブームだったのは去年の2月頃だったが、ようやく“2つで充分ですよ”の謎の答えを目撃できた。 ワークプリントを収録している、2007年にリリースされた『25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション』を購入。まぁブルーレイ版もあるけど、中古で安かったのでDVDボックスにした。“2つで充分ですよ”の謎の答えとなる映像はワークプリント版とこのボックスに収録されている未公開シーン集にも登場する。その2つの物はワークプリントと未公開シーン集では違って見えるのだが、わたしは未公開シーン集に映っているのが好み。あーすっきりした。 ワークプリント目当てでこのボックスを購入したのだが、ディスク4に収録されている未公開シーン集も劣らずというかそれ以上に興味深い内容で、ホールデンの入院シーンやデッカードとレイチェルの濃厚なラヴシーン、ブライアンとガフのオフィスでのデッカードに関する謎めいた会話など、劇場公開版では見ることができない知られざる『ブレードランナー』の奥深さを見ることができる。 同じようにディスク2に収録されている『デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー』も非常に面白い。あの“2つで充分ですよ”の屋台は“ホワイト・ドラゴン”という名前の店だった。『ファイナル・カット』も初めて見た。鳩の飛び去るシーンはこれまでのものが私は好きだ。たとえ状況と矛盾していても、青空に飛び去る鳩はロイとデッカードの死闘の後には相応しい。

JAJOUKA『ASADACARIBU』

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2020年9月16日、LABORATORY RECORDSよりリリースのアルバム。 前作リリースから約3年半ぶりのJAJOUKAの新作。 ほぼ日本脳炎のメンバーが揃い2016年にバンド名がひらがな表記になり、前作『じゃじゅうか』を2017年にリリース、さらにバンド名は日本脳炎じゃじゅうかに変更。2018年初頭にはバンドHPのブログに日本脳炎のヴォーカルだったキイチをバンドに誘っていたという逸話が掲載されていた。数度バンドに誘うもキイチは ”このバンドで俺に何が出来るか自信がない” と固辞した、とある。日本脳炎再生は実現しなかった。2019年にはバンド名がじゃじゅうかに戻り、ベースの130が去り、ヒノ(=松)は弾き語りライヴを始め、2020年早々にはギターのパティ脱退の報告が。 Vo/G ヒノ& D マルは、2人でユニットとして活動していくことを確認、バンドスタイルの音源(つまり前作)は、じゃじゅうかのファーストアルバムにはしたくないってことで今回、全てを自身(Vo/G ヒノ& D マル)の力で製作しようとPCやソフトを一新し自らが納得のいく音源をDIY作成したのがこのアルバム。バンド結成10周年記念盤。 収録曲は、 1. DRY 2. WHY 3. FRUSTRATION ARMY 4. 真夜中のシークレット 5. 100%の退屈 6. 流線形 7. 紛れ込んでブルー 1はJajoukaの3rdシングル「ERECTROCK」収録曲の再録。 2は前作『じゃじゅうか』に「Why...!?」として収録されていた曲の再録。 3も前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 4はJajoukaの3rdシングルや前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 5は日本脳炎のアルバム『香港カフェ』やTHE BACILLUS BRAINSのアルバム『電撃都市通信』、前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 6は日本脳炎の代表曲で『狂い咲きサタデーナイト』収録曲の再録。 7はJajoukaの1stシングルやJajoukaの3rdシングル、前作『じゃじゅうか』収録されていた「僕と悪魔のブルーズ」を改題して再録。 こうしてみると前作『じゃじゅうか』収録曲をプラスして、エレクトリッック/テクノ路線を追求した3rdシングルを発展させたものといえるか。 現体制での最初の音源ということで、前作収録曲を再録音...

佐野元春&ザ・コヨーテバンド「エンターテイメント!」

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  NHK「SONGS」佐野元春を見る。 インタビューした武田真一アナは熱心な元春ファンだそう。ライヴはコヨーテバンドと、 「約束の橋」 「ニューエイジ」 「エンタテイメント!」 の3曲を演奏した。 「約束の橋」 いつの間にか佐野元春の代表曲になったな。この曲を聴くと牧瀬里穂とゴローちゃんを思い出す。“くるおしくミツバチの群をすり抜けながら”って歌詞が好き。 「ニューエイジ」 革新的アルバム『VISITORS』収録曲。“昔のピンナップはみんな壁からはがして捨ててしまった”って繰り返すところが好き。アズテック・カメラ「Walk Out Winter」の一節を思い起こさせる。 「エンタテイメント!」 新曲。YouTubeにこの曲のヴィデオがアップされた時に聴いた。その時は、苦しい時をエンタテイメントが癒すっていうアップテンポでポップな曲だな、と思ったのだが、今回「SONGS」で初めて歌詞を読んで、これはエンタテイメント業界に向け痛烈に異議申し立てたシリアスな歌詞だな、と思った。佐野自身もRolling Stone Japanのインタビューで “エンタテイメントへの愛と皮肉の背中合わせって感じ ”と語っている。爽やかなアレンジの演奏にのせて、 It's just entertainment 束の間でいい イヤなことを忘れる夢のような世界 と歌い、あたかもエンタテイメント讃歌のように聴こえてしまうが、転調部分ではこう歌われている。 落ちてゆく星を見ていた夜 It's just Entertainment 誰もが落ちてゆくあの人を見ていた夜 It's just Entertainment この曲は去年(2019年)に書かれたというが、最近輝きを消してしまった幾つかの星を思うと、またせつなく響く。

モリッシー著・上村彰子訳 『モリッシー自伝』

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2020年7月17日 イースト・プレスより出版。 モリッシーの自伝がついに邦訳刊行。原書はPenguin Classicsから2013年10月に出されていた。 ジョニー・マーの自伝(邦訳は2017年)を読んだ時、モリッシーの自伝は無いのかな?と調べたことがあったが、その時はモリッシーの自伝の邦訳は認められなかった、みたいなことをどこかで読んだ。なので邦訳が出版されることを知った時は、モリッシーの言葉でザ・スミス結成〜解散の真実を知ることができるんだろなーと、非常に期待は高まったのだが…。 もちろんそんな簡単な単純なお気楽な事柄ではなかった…。 邦訳はハードカヴァー、448ページ、章立ては無し、重い…。 自伝はモリッシーの幼年期から始まるが、関わり合う人間への、学校への、先生への、友人への、地域への、家族への延々と続く恨み節。小学校生活は “ 人を不幸にさせる力を持っており、その力だけがこの小学校が発するメッセージだった ” と記されている。公立小学校を11歳で卒業すると、当時のイギリスでおこなわれていた11歳にして学力により進む道を選別する「イレブン・プラス」という試験を受ける。このモリッシー自伝では、 成績上位25%が大学進学を前提とした中等教育機関「グラマースクール」へ進学、 その下の成績の子供は技術学校の「テクニカルスクール」へ、 さらに下位の成績の子供は「セカンダリーモダンスクール」という手に職をつけることを目指す学校に入る、と説明がある。 イギリスのミュージシャンの生い立ちを読んでいるとよく目にするこの「イレブン・プラス」試験。ジョニー・マーの自伝にも「イレブン・プラス」についての記述がある。マーはイレブン・プラスに合格、グラマースクールへ進学しており、ザ・スミスのベーシスト、アンディ・ルークもマーと同じ学校だった。マーは入学時のことを “ 中流者階級や上流者階級の子と一緒になるのは生まれて初めてだ ”と記している。 モリッシーはこの「イレブン・プラス」試験に通らなかった。 “ 将来は不安定。未来は運命づけられ (中略)より暗い場所に行かなくてはならなくなった” と絶望し、中等教育卒業に際しては “ セント・メリーズ(モリッシーの通った中等校)での日々は、私に永遠にダメージを与えた” と記している。 モリッシーの音楽の興味はT-REXからデヴィッド・ボウイ...

イヌイジュン著『中央線は今日もまっすぐか? オレと遠藤ミチロウのザ・スターリン生活40年』

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2020年6月26日 シンコーミュージック・エンタテイメントより出版。 ザ・スターリンのアルバム『trash』再発とほぼ同じタイミングで刊行されたイヌイジュンによるザ・スターリンと遠藤ミチロウ回顧録。 この本は、東京・国立市にあったぶどう園のアパートのシーンから始まる。 国立にあったぶどう園アパートについては、これまでに読んだことがあった。たとえば、元ミュートビートでDUBトランペッターのこだま和文は、 “ 国立市の西、当時「ぶどう園」と呼ばれていた一画があった。ぶどう畑を囲むように百軒ほどのバラック風のアパートがあった。売れないミュージシャンや画学生、ヒッピー風の若者たちが住んでいた、ぼくも、その中の一人だった。忌野さん縁の地でもある。” (こだま和文著『空にあおいで』K&Bパブリッシャーズ刊より) また、ガセネタのベーシストだった大里俊晴は、 “ 一橋大学の裏手にある、ブドー畑とか、ミュージシャン長屋、というと、知る人は知っているが、何十何百と知れぬミュージシャン、ミュージシャンの卵、自称ミュージシャン、その他モロモロの巣窟だ。 この、年間家賃滞納額が数百万とも噂される大集合住宅地に(中略)くだんのドラマー、乾の部屋を探し続けていた。”(大里俊晴著「ガセネタの荒野」月曜社刊より) ここでガセネタのメンバー(大里、浜野純、山崎春美)3人が訪ねて行ったのがイヌイジュン(乾純)だった。 イヌイはガセネタのドラマーになり、1度だけガセネタとしてライヴをおこなう。イヌイが遠藤ミチロウと出会う以前1978年のことだ。そして1979年春、イヌイは同じくぶどう園に住む遠藤ミチロウに声をかけた 。「パンク、好きなん?」 イヌイジュンはドラマーとして、ザ・スターリン以前のコケシドール〜バラシ〜自閉体から遠藤ミチロウと音楽活動を共にしていた。 コケシドール(1979年4月〜6月)〜バラシ(1979年7月〜10月):Vo&G・遠藤ミチロウ、D・イヌイジュン、B・辻村信也 自閉体(1979年10月〜1980年2月):Vo・遠藤ミチロウ、D・イヌイジュン、G・尾形テルヤ、B・立山ヒロキ 尾形と立山が脱退した1980年初頭、ミラーズ のヒゴ・ヒロシがミチロウとイヌイの写真を撮りたいと連絡があり、吉祥寺マイナーがあったビルの屋上で撮影。この本の巻頭にこの時撮影された7枚の写真が...

デボラ・ハリー著・浅倉卓弥訳『フェィス・イット:デボラ・ハリー自伝』

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2020年7月29日 ele-king booksより出版。 ブロンディのヴォーカリスト、デビー・ハリーの自伝の邦訳が刊行された。原書はDey Street Booksから2019年10月に出されていたようだ。 邦訳出版元はele-king books、訳者は浅倉卓弥と少し前に読んだ2冊のトレイシー・ソーン自伝と同様。ちなみにトレイシー・ソーンは自伝の中で、“ 自分が真にパンクの子供であった ” と書いていたが、1945年生まれのデビー・ハリーは、この自伝の5章めのタイトルを、“ 生まれつきパンク(Born To Be Punk) ” としている。 デビーは1945年7月1日フロリダに生まれてすぐニュージャージーへ転居、短大卒業後にニューヨークへ渡り、1960年代の中頃にチャーリー・ナッシングのバンド、ファースト・ナショナル・ユニフレニック・チャーチ・アンド・ザ・バンク(The First Uniphrenic Church and Bank Band)に参加し音楽活動を開始したが、アルバムをリリースする前にデビーは脱退している。 その後ポール・クラインに誘われザ・ウィンド・イン・ザ・ウィロウズにコーラスで参加、1968年に同名アルバムをリリースするがデビーはグループを脱退している。 この後レストラン/ナイトクラブのマックス・カンザス・シティでウェイトレスとして働いたり、プレイボーイ・クラブに勤めるが、ニューヨークに来て5年になる頃、一度ニュージャージーに戻り美容室の仕事についている。しかしニューヨークへは、ニューヨーク・ドールズなどのライヴに通っていて、そのドールズをマックスへ観に行った時に、エルダ・ジェンタイルと知り合い、ロージエンヌ・ロスと女性3人のトリオを組もうということになった。女性3人のリードシンガーに男性陣のバックバンド、スティレットーズ(The Stilettoes)を結成した。 練習を重ねるうちデビーはニューヨークに引っ越した。やがてロージエンヌが辞め、代わりにアマンダ・ジョーンズが加入。バックバンドのメンバーは流動的だったようだ。曲はカヴァーと数曲のオリジナルを演奏していた。スティレットーズのライヴ後デビーは楽屋でクリス・シュタイン(以前はクリス・スタインと表記されていた)と出会い、数日後にクリスはバックバンドのメンバーとなった。これが後々まで続...

遠藤ミチロウ「オレの周りは」

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情況はいつも危機一髪で ウソをつくにはもってこいの話題ばかりなのさ

THE STALIN『trash』

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2020年7月1日、ポリティカル・レコードからリイシューのアルバム。 1980年6月26日、ザ・スターリン(Vo&B遠藤ミチロウ、G金子あつし、D乾純)が渋谷屋根裏(昼の部)でデビュー・ライヴ。しばらくしてベースに杉山シンタロウが加入、フレキシ「電動こけし/肉」、5曲入りEP「スターリニズム」を自らのポリティカル・レコードよりリリース、ギターが金子あつしからタムに代わったのち、ファースト・アルバムの制作に着手、1981年9月スタジオ(MOD-STUDIO)での録音に加えて、1981年10月31日の市ヶ谷法政大学学館大ホールと11月7日の京都磔磔においてアルバム収録用のライヴ・レコーディングをおこなった。 1981年12月24日、ファースト・アルバム『trash』をポリティカル・レコードよりリリース。A面スタジオ録音、B面ライヴ録音。定価2,000円。ディストリビューションはシティ・ロッカー・レコード。当初プレス枚数限定1,000枚だったが予約殺到により限定2,000枚に変更するも発売1ヶ月で完売となった。売切れ直後には1日100人以上の問合せと、追加プレスを望む抗議と怒りの声があがったものの、追加プレスされずに早々に入手困難、コレクターズ・アイテムとなった…。それから38年後…。 2019年12月31日、THE STALIN【公式】twitterで『trash』がCD(紙ジャケ仕様)、アナログ盤で再発売されると発表。デビュー・ライヴから40年後の2020年6月26日、渋谷WWWXで開催のTHE STALIN 40執念GIG「大破産」の会場にて『trash』が先行販売される…はずだったが、新型コロナ(COVID-19)感染拡大およびその予防により40執念GIG「大破産」の延期を6月12日に発表した。 2020年5月29日、『trash』CD、LP予約開始。 2020年6月4日、遠藤ミチロウのマネージャー伊藤玲育(遠藤ミチロウオフィス)がエンドウ ミチロウTwitterに「THE STALIN『trash』再発によせて」を掲載。 長らく再発されなかった『trash』がミチロウ逝去約8ヶ月後と短期に再発決定したこと、そこにミチロウの意思はあったのかという懐疑的な意見に対して発せられたものと思われる。 2020年7月1日、『trash』再発CD(税込2,750円)、...

忌野清志郎『COMPILED EPLP -ALL TIME SINGLE COLLECTION-』

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2020年6月24日、ユニバーサルからリリースのコンピレーション・アルバム。 忌野清志郎(RCサクセション)のデビュー・シングル発売から50周年を記念したプロジェクトの第二弾で、RC以外で忌野清志郎がリリースしたソロ、ユニット、バンドのシングルを3CDにコンパイルしてリリースされた。 1982年2月14日に清志郎が坂本龍一と組んでリリースした「い・け・な・いルージュマジック c/w 明・る・い・よ」から、清志郎逝去(2009年5月2日)後の2009年6月17日にリリースされたMaxi CD「Oh! RADIO c/w 激しい雨」まで、21枚のシングル(配信含む)とカップリング曲(一部除く)を年代順に収録している。 何をセレクトしコンパイルするか。清志郎の長い活動経歴中、音源を複数のレコード会社からリリースしているから、ここは大きな問題となるが、かつてロンドン・レコード、東芝EMI、ポリドール、ユニバーサルからリリースされていた清志郎関連のシングル音源は現行ユニバーサルへ移行しているので、今回の3枚組で、清志郎がヴォーカリストとして活動したソロ、ユニット、バンドのシングルを(重要な活動のタイマーズが含まれていないが)ほぼ流れ的も網羅できていると思う。映画『不確かなメロディー』のサウンド・トラックとして清志郎自身のインディ・レーベルSWIMからリリースしたラフィータフィーの4曲入り CD「水の泡」からは、ライヴ・テイクの2曲「お元気ですかマーコさん?」と「Sweet Lovin'」が収録されなかった(シングルなのかということもあるけど…オフィシャルHPではシングル扱い)。これだけまとまって清志郎のシングル曲とカップリング曲が聴けるのはとてもうれしい。これまでいろんなベスト盤が出てるけど、個人的にこれはベストだな〜。 DISC 1トップを飾るのはYMO活動中の坂本龍一と共作した「い・け・な・い ルージュマジック」で、資生堂1982年春のキャンペーンソングとしてCMで音楽が使用され、清志郎と坂本が生放送のTV歌番組に積極的に出演していたこともあり、この曲はお茶の間に浸透、オリコンチャートで1位となった。なんといってもプロモヴィデオが強力で、大量の万札、八つ墓村、棺桶と紅白幕、軍服、二人のディープキス等々を盛り込んだ内容は衝撃的だった。 楽曲は清志郎と坂本龍一の共作と...

RC SUCCESSION『COMPLETE EPLP -ALL TIME SINGLE COLLECTION-』

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2020年3月5日、ユニバーサルからリリースのコンピレーション・アルバム。 RCサクセションのデビュー・シングル「宝くじは買わない c/w どろだらけの海」がリリースされたのが1970年3月5日。それから20枚のアナログ7インチ・シングル、1990年9月5日にリリースしたCDシングル「I LIKE YOU c/w 忠実な犬(Doggy)」まで、RCサクセションが活動中にリリースした全21枚のシングルA面曲とカップリング曲を年代順に3枚のCDにコンパイルして 『COMPLETE EPLP -ALL TIME SINGLE COLLECTION-』としてデビュー・シングル発売から50年後の2020年3月5日にリリースされた。まぁ説明するまでもないことだが、RCがキティ時代、1976年〜1980年にリリースした5枚の7インチ・シングルのA/B面曲を集めたコンピレーション・アルバム『EPLP』の拡大・完全版である。 ベスト盤というのはどうしてこうもジャケットが手抜きなのか、よくわからん。制作費を抑えるためにデザインに金を掛けたくないという魂胆なのか、プレーンなデザイン。付属ブックレットの7インチを積み上げた写真を使ったらよかったんじゃないかとも思うが、これも今時にしては古臭く懐古的なイメージか…な。 4曲入り12インチ『ノーティーボーイ』(1986年)からは収録されていないが、ミニアルバム名義でリリースされたものだし、7インチとCDシングル曲に絞ったのは個人的にはよかったと思うが、位置的には「LONELY NIGHT(ネバネバ)」と「NAUGHTY BOY」の間に入れたらちょうどいいんだな、DISC 3は収録12曲で収録時間も42分台と3枚のうちで一番少ないし(どっちやねん)。 どれもこれも名曲揃いで、DISC 2「ステップ!」から「トランジスタ・ラジオ」のシングル4枚はもちろんサイコーだ。なかでも9枚目「雨上がりの夜空に」のカップリング「君が僕を知ってる」は究極のラヴ・ソング。歌詞が大好きだしチャボのギターソロが超名演。 DISC 1に収録されているアコースティック期の4枚目「キミかわいいね」は激しいビートにのせて、5枚目「三番目に大事なもの」ではストリングス・アレンジのせて、やってられねー男女関係を歌う曲をシングルとしてリリースしているのも素晴らしい、快挙だ。名曲「スロ...

トレイシー・ソーン著・浅倉卓弥訳『アナザー・プラネット:郊外の十代』

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2020年6月3日 ele-king booksより出版。 『安アパートのディスコクイーン』に続くトレイシー・ソーン・二作目の著書。 帯には“ トレイシー・ソーンの自伝第二弾! ”と書かれている。が、こういうのを自伝というのかな?郊外に家族と暮らすということが十代のトレイシーにあたえた影響、ということに焦点をあて、 ルーツ探訪、またはファミリーヒストリー(by NHK)的なエッセイ、コラムをまとめたものになっている。音楽的な面の記述はそれほど多くない。 トレイシーによれば、これはイギリスの郊外に育ったトレイシー自身の成長を語る「グリーンベルト」という長いエッセイとして始まり、並行して書き起こしていたレビューや小さな記事やコラムを飲み込み、再構成、削除、書き直しをしてこの姿になった 、と本書の著者覚え書きに記している。 帯にはさらに “「これから恋人はオレンジ・ジュースだけ」” というトレイシーの日記から引用したキャッチコピーとか、“ この本に登場するアーティスト、バンド、作家、映画など ”として、デイヴィッド・ボウイ、バンシーズ、ピストルズ、ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、キュアー等々が紹介されているが、多くはジャムやコステロやドゥルッティ・コラムやエコー&ザ・バニーメンのレコードを買ったとか、バンシーズやキュアーをテレビで見たとか、マキシマム・ジョイのギグに行ったとかという十代当時の日記の短い記述であったり、ボウイやJ.G.バラードにしても彼らと郊外という土地についての考察、ジョイ・ディヴィジョンはブルックマンズパークにある電波中継塔に絡めてとりあげ、クリッシー・ハインド、スリッツ、スリーター・キニー、ビキニ・キルの行動や言動からフェミニズムを論じる、といった具合だ。 エヴリシング・バット・ザ・ガールは名前もでてこなかったよ(歌詞は登場する)。 短いエピソードを重ね、組み合わせてひとつの流れをつくり上げたように思える今回の著作は、ブルックマンズパークという地域の極めて英国的な内容を描いた部分があるものの、前作同様シニカルでユーモアもあり興味深く読むことができる。 まるでガイドブック的に書かれているブルックマンズパークの地名、建物、店名を読めば、グーグルのストリートビューで見てみたくなるし、実際見た。ブルックマンズパークの人口は約3,500、緑に囲まれた村...

私の放浪音楽史 Vol.87 ECHO & THE BUNNYMEN『SEVEN SEAS』

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1984年7月6日、Korovaよりリリースの12インチ・シングル。 エコー&ザ・バニーメンのアルバム『オーシャン・レイン』からのシングルカット。 私が購入したのは輸入盤の12インチで、カップリングにはビートルズのカヴァー「All You Needs Is Love」と「The Killing Moon」、「Stars Are Stars」,「Villiers Terrace」を収録。7インチ「Seven Seas c/w All You Need Is Love」、12インチ収録曲を7インチ2枚に収録した限定盤もリリースされている。 「Seven Seas」はアコースティック・ギターの涼やかな響きで始まり、軽やかなベースラインとタイトなドラムにのせイアンのヴォーカルは高らかに艶やかに響く。チャイムが鳴り渡ると弦楽とともに盛り上がるサビ部分を持ったポップなナンバー。 この曲では各地を巡る、ユニークな寸劇仕立てのプロモ・ヴィデオがつくられ、リヴァプールのロイヤル・リヴァー・ビルディングから出発。そこにはリヴァプール・エコー紙を読むピート・デ・フレイタスが。レイキャビックではペンギンの絵をバックに歌うイアン。それにウッドベースを抱えたペンギン姿のレスが登場するが、アイスランドにペンギンはいない…のでは。赤旗たなびくレニングラードではウィルと思われる半魚人登場。これはソヴィエト映画「両棲人間」をモチーフにしたのか…な。ハンブルグではビートルズゆかりのスタークラブ前で歌い、アムルステルダムではイアンが女装姿でメンバーを誘う(!)Red Lightな雰囲気。ヴェネツィアのカナル・グランデに架かるリアルト橋を鑑賞し、カサブランカではハンフリー・ボガードの絵を前にハリボテ魚と共にメンバー退場、で終了。七つの海を渡る、というよりはヨーロッパ旅行的な感じ…か。 カップリング収録された4曲は、リヴァプール出身の元ボクサー、ブライアン・マキャフリイ(Brian McCaffrey)が営む食堂を取り上げた英チャンネル4のテレビ・ドキュメンタリー番組 「Play At Home, Life At Brian's -Lean And Hungry」のために録音されたヴァージョン。レコーディングはリヴァプール・カテドラルで録音されている。ボンゴやクラリネット、シタール、ハープシコードなど...

THE ROOSTERZ ONE WEEK PERSON TO PERSON AUG.27(MON)-SEP.2(SUN) AT SHINJUKU LOFT

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THE ROOSTERZ 1984年8月27日〜9月2日 at 新宿LOFT「PERSON TO PERSON」SONG LIST Song No. 8月27日(Mon) 8月28日(Tue) 8月29日(Wed) 8月30日(Thu) 8月31日(Fri) 9月1日(Sat) 9月2日(Sun) 1 Walking The Dog Wipe Out Come On Let's Rock(Dan Dan) Do The Boogie Four Season サタデーナイト 2 Tell Me Your Name Sitting On The Fence Waking The Dog Get Everything 気をつけろ She Made Me Cry Come On 3 フール・フォー・ユー Fade Away Sitting On The Fence I'm Waiting For The Man All Night Long Je Suis Le Vent テキーラ 4 イン・アンド・アウト ビールス・カプセル Fade Away Real Good Time Together Baby Sitter I'm Swayin' In The Air 新型セドリック 5 She Does It Right Dissatisfaction Talkin' About You Sweet Jane One More Kiss Sad Song C'mon Everybody 6 レザー・ブーツ Fly モナ Femme Fatale Drive All Night Desire ロージー 7 I'm King Bee Girl Friend Little Red Rooster Bad Dreams ニュールンベルグでささやいて Sweet Jane Lipstick On Your Collar 8 C'mon Everybody ヘイ・ガール テルスター Walk On The Wild Side バリウム・ピルス Drive All Night Let's Rock(Dan Dan) 9 テキーラ Lipstick On Your Collar Under My T...

THE ROOSTERZ『LEGENDARY LIVE IN 1984 Person to Person 1 新宿LOFT 1984/9/1』

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2004年9月29日リリースのオフィシャル・パーフェクト・ボックス『Virus Security』CD-23より。 「ルースターズが8月の終わりから1週間、7日間のライヴを新宿ロフトでやるんだって」 「おー、それは見たいな。1日アルバム1枚の内容をやる感じかな」 「初日はファースト、2日目はà-GOGO、3日目インセインってことか」 「最近の曲は今年のライヴで見ているから、見たことのない初期を見に行こう」 などという会話を友人と交わし、どうなるかわからないが最初の3日間を、ということで新宿ロフトへ前売りチケットを買いに行ったのだった。 1984年8月のROOF TOPのスケジュール欄には、 27日(月)〜9月2日(日)、ルースターズ1WEEK 「PERSON TO PERSON」ー連日のスペシャル・ライヴ全150曲ー と書かれていた。ちなみに前売り1,300円、当日1,500円。 さて、夏休みも終わりに近づいた8月27日「PERSON TO PERSON」初日。 この日はファースト・アルバムの曲を中心にと思っていたがそれほどでもなく、「Walking The Dog」で始まり「Tell Me Your Name」、「ブラック・レザー・ブーツ」等の当時未発表曲やカヴァー曲、人間クラブの「サタデーナイト」を演奏、ライヴ後半では「Good Dreams」、「She Broke My Heart's Edge」という(当時の)新しめのナンバーも演奏された。大江が上半身裸になる場面もあり、もはやイギー・ポップな印象だった。 8月28日「PERSON TO PERSON」2日目。 「ワイプ・アウト」で始まり、セカンド・アルバム『à-GOGO』収録曲から「I'm A Man」と「テルスター」を除く全曲を演奏した他、「恋をしようよ」、「モナ」、「どうしようもない恋の唄」と初日に演奏しなかったファースト・アルバム収録曲を演奏、シングル「どうしようもない恋の唄」のカップリング「ヘイ・ガール」、ストーンズのカヴァー「Under My Thumb」などを演奏。 8月29日「PERSON TO PERSON」3日目。 3rdアルバム『インセイン』を中心に…と思いきや、チャック・ベリーの「Come On」で始まり、ファーストとセカンド・アルバム『à-GOGO』から数曲をセレクト...

私の放浪音楽史 Vol.86 ECHO & THE BUNNYMEN『OCEAN RAIN』

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1984年5月4日、Korovaよりリリースのアルバム(日本では1984年6月5日、ワーナー/Korovaよりリリース)。 印象的なアルバム・ジャケットは、シングル「Silver」と同じイングランド南西部のカーングレーズ洞窟の地下湖で撮影されている。バニーメンはこのアルバムの主なレコーディングをフランス・パリでおこなったが、ジャケットを撮影したブライアン・グリフィンはパンドの写真をパリではなく、風景の中で撮影したいと考えたようだ。そのおかげで息を飲むような美しいジャケットを我々は手にすることができた。 BRIAN GRIFFIN ALMUM COVERS ECHO AND THE BUNNYMEN ブライアン・グリフィンのサイトには別カットが2枚掲載されている。 そのうちの1枚は2001年にライノからリリースされた4枚組コンピレーション『CRYSTAL DAYS 1979-1999』のジャケットに使用された(よく見ると裏焼きだな…)。 アルバムをパリでレコーディングしたのは、ヨーロッパ的な雰囲気を持ったシンプルで美しいものにしたいというバンドの希望からで、フランス・パリのスタジオ・Des Dames,(デ・ダム)とスタジオ・Davout(ダブー)でおこなわれている。また、ラヴのアルバム『フォーエヴァー・チェンジズ』のような管弦楽を使用したいと考えていたようだ。『オーシャン・レイン』のストリングス・アレンジは1980年代のバンド、ザ・フラワーポット・メンのアダム・ピータースが担当している。 先行シングルの「Silver」に続く、寂寥としたダークで重厚、ドラマティックなアレンジの「Nocturnal Me」は、イアンの高音〜低音を駆使したヴォーカルもスリリング。 “ 僕らに馴染まないやりかたを清らかにし、僕らの透き通る日々を広げていこう ”と歌われる明るい響きの「Crystal Days」だが、混沌としたウィル・サージェントのギターソロも耳に残る。 いつも上がったり下がったりのヨーヨー人間というユニークな「The Yo Yo Man」は、中間にファンタジックな転調部を持った曲。もともとは「Watch Out Below」というタイトルだった。 「Thorn of Crowns」は、ウィルによれば荒涼としたヨーロッパ海賊のイメージということだが、ボ・ビート・ライクなリズム...

追悼・DAVE GREENFIELD THE STRANGLERS「CURFEW」

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前にも書いたが、私が初めて海外のパンク・アルバムを聴いたのはザ・ストラングラーズのライヴ盤『Xサーツ』だった。そのストラングラーズのキーボード奏者、デイヴ・グリーンフィールドが2020年5月3日に逝去。 シャープなヒュー、ワイルドなジャン・ジャック、パワフルなジェット、それぞれのプレイはもちろんだが、デイヴ・グリーンフィールドのキーボード・プレイがストラングラーズのサウンドを更にスペシャルなものにしていた重要な要素、と言ってもいいだろう。 ストラングラーズの曲をポップにもカラフルにも攻撃的にもメランコリックにも彩ることができる確かな技術と表現力を持っていた。「Grip」、「Duchess」、「Don't Bring Harry」、「Nuclear Device」、「Who Wants The World」、「No More Heroes」、「Outside Tokyo」、「Walk On By」のカヴァー、「 Baroque Bordello」、それに一度聴いたら忘れられないロックン・ロールな「Go Buddy Go」等々、どれもデイヴのキーボード・プレイがストラングラーズを独創的なものにしていた。 私がストラングラーズを聴いていたのは「Golden Brown」や「Strange Little Girl」をリリースしていた頃までだったが、80年代の終わり頃にジャン・ジャックとデイヴが演っていたザ・パープル・ヘルメッツの『Ride Again』と『Rise Again』も聴いたっけ。ゾンビーズのカヴァーよかったなぁ。   1978年に放送されたイギリスのTV番組「Revolver」でのストラングラーズ。 この年リリースされたアルバム『Black And White』のA面トップに収録されていた「Tank」に続いて「Curfew」が演奏される。この曲は『Black And White』のB面トップに収録されていた。  “ Stay in your homes  Stay in your homes  Maybe I'll find love when there's nothing to do ” こんな世界状況の今、この曲を聴くと全く違った意味に聴こえる。

私の放浪音楽史 Vol.85 ECHO & THE BUNNYMEN『SILVER (TIDAL WAVE) 』

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1984年4月13日、Korovaよりリリースの12インチ・シングル。 エコー&ザ・バニーメンの12インチ・シングルは『Never Stop (Discotheque)』のあと、1984年1月にUKリリースされた傑作12インチ『Killing Moon (All Night Version)』を購入、ジャケと内容の素晴らしさに私は更にバニーメンの音楽へと傾倒していった。続いて1984年4月にUKリリースされたのが12インチ『Silver (Tidal Wave)』で、カップリングには「Silver」の7インチ・ヴァージョンと「Angels And Devils」が収録されている。7インチ「Silver c/w Angels And Devils」も同時に発売された。 「Silver (Tidal Wave)」は、イントロに流麗でパワフルなストリングス・パートを追加し、1分50秒ほど長く、5分12秒に仕上げたヴァージョン。弦の響きがまるでTidal Wave=大波のように迫りくる音像をつくりあげた。それは真新しい冒険の日々にのりだす船乗りたちの気分のように高揚した音楽だった。個人的にはもう少し長くしても良かったのではないかと思ったけど。 初期バニーメンの切っ先鋭いソリッドなサウンドからは予想もつかない、クラシカルなストリングスを大胆に採用。ストリングス・アレンジは1980年代のバンド、ザ・フラワーポット・メンのアダム・ピータースが担当しており、当時流行していたシンセサイザーを多用した楽曲に対するイアン・マッカロクのアンチな気持ちをどこかで読んだ気がするが、徹底して生のストリングスに拘ったアレンジとなっている。バンドも骨太リズム隊を核に、ウィル・サージェントのアコースティック・ギターと繊細なエレクトリック・ギターの音色、イアンのコーラスも加わり、新鮮で豊潤な響きを持った楽曲になった。 前作「Killing Moon」は全英シングル・チャート9位となるヒットを記録したが、「Silver」は全英シングル・チャート30位止まりとなった。 この曲の録音はフランス・パリのスタジオ・ダヴー(DAVOUT)で行われ(余談だけどルースターズ が後にアルバム『パッセンジャー』の録音で使用した)、プロデュースはAll Concerned(全ての関係者)となっているがバニーメン自身と...