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OMNIBUS a Go Go Vol.85『P.E.A.C.E./WAR』

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M.D.C.のデイブ・ディクターが始めたR ラディカル・レコードから1984年にリリースされた世界各国のパンク/ハードコア・パンク・オムニバス。オリジナルはアナログ2枚組で55曲を収録し、各バンドや核軍縮、帝国主義、放射線汚染、政治的デモンストレーションについて記載された72ページブックレット付きで、タイトルはPeace, Energy, Action, Cooperation, Evolutionのバクロニムでもある。1997年にボーナストラック5曲を加え2枚組でCD化された(ブックレットは付属していない)。 CDは60曲入りで、アメリカのバンドが28曲と最も多い、ついでイタリア7曲、オランダ5曲、イギリス4曲、カナダ4曲、ドイツ3曲、スペイン2曲、日本から2曲、デンマーク1曲、スウェーデン1曲、アルゼンチン1曲、オーストラリア1曲、南アフリカ1曲(曲というかアジテーション) という各国から集められた楽曲達。 日本から参加しているのはギズムが「Endless Blockade For Pussyfooter」(『DETESTation』から)と、エクスキュート「Finale」(『Live In Hell Tape』から)の2曲。イギリスからは4バンドと意外に少ないが、クラス、コンフリクト、サブヒューマンズに、ボーナストラックでUKサブスを加え猛者を揃えている。今だとインターネットで世界中とつながりを感じる事が出来るが、1980年代にはこんなコンピレーションで世界のパンクスとの連帯を形にしていた。有名無名も、たっぷり2時間ハードコアが味わえる。アメリカ、イギリス以外だと、ドイツのアップライト・シチズンズの引き締まった演奏のカッコよさ、オランダのB.G.K.の猪突猛進、アルゼンチンのLos Violadoresのストレートなパンク・ロックなんかが面白い。中には変化球もあり。CD化の際追加された5曲はリリースしたニュー・レッド・アーカイブゆかりのアーティストのようだ。 それにしてもこのコンピ、i-TunesやAmazonでダウンロード販売されているので、ギズムやエクスキュートの楽曲がダウンロード購入出来るというのもちょっとした驚き。

OMNIBUS a Go Go Vol.84『READY STEADY GO The Countdown Records Story』

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副題にカウントダウン・レコード・ストーリーとあるが、1980年代からのモッド・リヴァイヴァル重要人物エディ・ピラー・ストーリー1982-1988ともいえる内容。収録曲は年代で並べ替えたが以下の通り。2003年ビック・ビートからのリリース。 1982年にエディ・ピラーが始めたウェル・サスペクトからリリースしたファスト・エディのシングル曲「My Babe」はウィリー・ディクソンのモッド・カバー。続いて1985年に始めたカウントダウン・レコードから最初のリリースでジャケットも非常に洒落てるコンピレイション『5-4-3-2-1-Go』から、ファスト・エディの「I Don't Need No Doctor」はレイ・チャールズ、ハンブル・パイでヒットした曲のカバー。オーストラリアのバンド、ステュピディティはオルガンやホーンも入った豪華なアレンジでパワフルな「Bend Don't Break」、ダイアモンド・レコードからシングルをリリースしていたシーンは「Inside Out(For Your Love)」、ALLJACKS「Guilty」は洗練されたアレンジでグルーヴィーな曲。非常に良い。 キック「Stuck On The Edge of A Blade」はスピーディなビート・ナンバー、 他にモーメント「Stick & Stones」。 1985年リリースのメイキン・タイムのアルバムからは「Where The Rhythm Takes You」で、クールかつサイケな演奏が魅力。1986年リリースのプリズナーズのアルバムから「Wish The Rain」で、メロディアスな曲をポップなアレンジで仕上げている。1986年リリースのキックのシングル「I Can't Let Go c/w Armchair Politician」からは両面を収録。特にA面はポップ&ドリーミィーで魅力ある曲だ。 カウントダウン・レーベルは2年程で終ってしまうが、その後エディ・ピラーはリ・エレクト・ザ・プレジデントを始め “カウントダウン” コンピレーションをリリースする。1986年に第2弾のオーストラリア・バンドを集めた『Party At Hanging Rock』を、1987年には第3弾『スマッシング・タイム』をリリースする。その『スマッシング・タイム』からは、メイキン・タ...

OMNIBUS a Go Go Vol.83『A FINE DAY…& A BRILLIANT EVENING Cherry Red Rarities1983-1985』

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Vol.82でも紹介したジェーン、グラブ・グラブ・ハドック、イン・エンブレイスの楽曲を集めたチェリー・レッドのコンピレーションで、チェリー・レッド・レアリティーズ・シリーズの1枚。2003年にリリースされた。 ジェーンは1983年リリースのシングル「It's A Fine Day」とジェーン・アンド・バートン名義のミニ・アルバムからのセレクトと、1992年にリリースされた12インチシングルからリミックス・バージョン「It's A Fine Day (A Guy Called Gerald Remix)」の計8曲。他にエンハンスド・ビデオで「It's Fine Day」のビデオ・クリップ(『Pillows & Prayers DVD』より)が収録されている。代表曲「It's A Fine Day」と違わぬジェーンの歌声と、付け加えられていてもパーカッション、フルート、ピアノくらいで、ナチュラルというか素朴なトラックが並ぶ。もちろんリミックス・バージョンは違うけど、これはこれでなかなか楽しめる。 GGHは1984年リリースの12インチEP『Three Songs By Grab Grab The Haddock』から全曲と、翌年リリースのシングル「Two More Songs By Grab Grab The Haddock」からの2曲で計5曲を収録。 イン・エンブレイスはチェリー・レッドからリリースした2枚のシングル「Shouting In Cafes」(1984年)と「This Brilliant Evening」(1985年)から計5曲を収録。いずれもゆったりとしたエレ・ポップ。ライナーノーツには「Shouting~」は12インチ・バージョンと記載があるけど、どうなんだろう。12インチ収録はロング・バージョンなのだけれど、このCDに収録されているのは長さ3分半程のもの。「This Brilliant Evening」の12インチからは「This Brilliant Evening」のインスト・バージョンが収録されている。 それにしてもこのCDの“素敵な日と輝く夕暮れ”っていいタイトルだと思う。収録の2曲を合わせただけだけど、この頃のチェリー・レッド・レコードのある一面を表しているような気がする。 

OMNIBUS a Go Go Vol.82『PILLOWS & PRAYERS 2』

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日本独自企画で新星堂シリウスコレクションから1984年12月にリリースされたチェリー・レッド・レコードのコンピレーション“Pillows & Prayers”第2集。前作が好評・好調だった為に日本側から続編制作を持ちかけたようだ。第1集を企画したA&Rマイク・オールウェイがチェリー・レッドを離れていた為、イアン・マクネイが曲をリストアップした。 アルバムはマリン・ガールズ「Place In The Sun」で始まる。続くジェーンの「It's A Fine Day」はジェーンのヴォーカルのみで録音されているのだが、素晴らしいトラックでこのアルバムのハイライトとも言える。このアルバム発売後しばらくたってからだと思うが、クリネックス・ティシューのCMにこの曲が使われた時に奇怪な噂が流れた事があった。 ファクトリーからも音源をリリースしていたケヴィン・ヒューイック「Feathering The Nest」は、ギターとボーカルだけのゆったりとしたナンバーだが、なかなかエモーショナルなギターソロも聴ける。ファンタスティック・サムシング「If She Doesn't Smile」はS&Gを思い出してしまう、小粒だけどサニーサイドで素敵な曲。アイレス・イン・ギャザは実験的ながらもポップな「New Risien」、モノクローム・セットはガレージというかマカロニ・ウェスタンも連想させる「Jet Set Junta」、1985年には日本に移り住んで活動をするモーガン・フィッシャー「Un Hamme Et Une Femme(男と女)」は、1983年リリースのアルバム『シーズン』からのご存知フランシス・レイの映画音楽。 フェルト「Penelope Tree」はもう完全にトム・ヴァーレインのフォロワーだけど美しい調べ。名曲。そのフェルトのギタリスト、モーリス・ディーバンクのソロアルバムからは耽美的ともいえる「The Watery Song」が収録されている。グラブ・グラブ・ザ・ハドック「I'm Used Now」は、マリン・ガールズ解散後にアリス・フォックスとジェーン・フォックスが新たに結成したグループのキュートな曲。 以上紹介した曲はアナログLPとCD(2000年に『Pillows & Prayers』との2枚組でCD化された)共通だ...

BOOWY「WELCOME TO THE TWILIGHT」

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2012年12月リリースのアルバム『"GIGS" JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』より。 ミュージック・マガジン2013年3月号でBOOWYの特集。 かつて1970年代~1990年代位まで先鋭・前衛的な音楽の紹介を核としていた感のあるこの雑誌からは想像がつかなかった事だが、近年のアイドルや邦楽の取り上げかたを見ると、おかしなことでもないのか…。興味をひかれて購入。まぁ内容はこれまで見聞きした事とそれほど変わらず、目新しいところはなかった。高橋まことのインタビューでの「俺がドラム叩けるうちに再結成を…」というコメントに同意するところはある。解散後それぞれのメンバーがそれぞれのバンドをしたがえて、かつての自分達のバンドの有名な曲を演奏している、というのは個人的にはどうかなと思っていて、それならたまに集まってやればいいじゃないか、と思うのだ。 一方では日本のロックを変え、BOOWY以前・以後といわれるエポックなバンドとして語られ、一方では、あれは「歌謡ロック」で、語る価値もなく日本のロックからは評価の対象外だ、なんて言われるバンド。ミュージック・マガジンが特集するからには、もう少し切り口鋭く多角的に取り上げて欲しかったが、むしろ“なぜ今まで同誌はBOOWYを取り上げなかったのか”を検証していたら面白かったかも。 ミュージック・マガジンの姉妹誌「レコード・コレクターズ」が2010年9月号で実施した1980年代の日本のロック・アルバム・ベスト100にはBOOWYのアルバムは1枚も選ばれておらず、30人の執筆者(選者)のうち、2人がそれぞれ『BOOWY』と『BEAT EMOTION』をリストにあげているのみ。 また同誌の増刊(2010年)『日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100』では読者が選ぶ1969~1989年のベスト100枚にも1枚も選ばれていない。この企画は読者がベスト10アルバムを選び、1位=10点、2位=9点…9位2点、10位=1点で集計したものだ。101位以下の紹介で200位に『BEAT EMOTION』が145点でランクされている。 ただこの読者投票でのアーティスト別得票ではBOOWYは552点で56位。 アーティスト別517点で60位のフリッパーズ・ギターが、アルバム『海へ行くつもりじゃなかった』の517点で4...

WILKO JOHNSON「WILKO JOHNSON SPECIAL PLAYING ANALYSIS」

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ウィルコ・ジョンソンが末期のすい臓癌で余命1年だという。知らなかったのだけれど1月に来日し東京と京都でライブもしていた。 この動画は「ギター・マガジン」3月号の記事と連動したもので、ウィルコ自らあのカッティングの秘密を解き明かしてくれる。右手はアップ&ダウン、左手はデッド&押弦。これがウィルコのベーシックなテクニックなのか。勉強になりました。 前半のインタビュー、ユーモアを交えながら話すウィルコの姿が悲しい。 東京のライブの様子は、 WILKO JOHNSON TOKYO SESSION 2013(Rooftop2013年2月号) にて。 少しでも良くなって、また来日してくれることを切に願う。

OMNIBUS a Go Go Vol.81『THE BEAT GENERATION AND THE ANGRY YOUNG MEN』

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1984年にウェル・サスペクトからリリースされたネオ・モッズのコンピレーション。ウェル・サスペクトは後にカウントダウンやアシッド・ジャズ・レーベルを設立するエディ・ピラーが1982年に始めたレーベルで、ファスト・エディやマートン・パーカスのシングルをリリースしていた。 ライナーによると収録されているのは、当時未発表だったデモ・バージョンやシングルのようだ。『モッズ・メイディ』でも紹介済みのバンド、マートン・パーカス(「Dangerous Man」と「You Say You Will」の2曲)とスモール・アワーズ「Underground」と「The Kids」の2曲でどちらも良い(「The Kids」はEPとは別バージョン)の他、ネオ・モッズの代表格だったパープル・ハーツはアコースティックでメランコリックな「I'll Make You Mine」とレゲエ/ダブ風味の「Concrete Mixer」(ポール・ウェラーがキーボードで参加しているという噂…)どちらもなかなか聴かせる。それから緩急のあるナンバー「Hazy Darkness…」の計3曲を収録。 エネルギッシュなサウンドのロング・トール・ショーティは「That's What I Want」、「I Do」、「All By Myself」の3曲。ハープも印象的だ。シングル1枚で消えてしまったダイレクションズはオルガンをフィーチャーしたポップな「Weekend Dancers」、キーボードのアレンジとギターのストロークが効果的な「It May Be Too Late」は名曲。ダイレクションズのボーカル、トニー・バークとベースのマーティン・ウィルソンは後にビッグ・サウンド・オーソリティを結成し、レスポンド・レーベルのオムニバスに参加している。ロケット・レコードのオムニバスに1曲参加したのみのバンド、エリートはジャムのフォロワーという印象で「Frustration」、「Get A Job」、「Carrer Girl」の3曲を収録。

OMNIBUS a Go Go Vol.80『RABID/TJM PUNK SINGLES COLLECTION』

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ヴィニ・ライリーがドゥルッティ・コラム以前に在籍していたバンドがあったというのを知ったのは、シンコー・ミュージックから出ていた『ROOTS OF PUNK ROCK』というガイド本だった。パンク・ロックの歴史や訳詞や対談、アルバム・レビューなんかともに、白黒だけどジャケ写つきで100枚のパンク・シングル・レビューがあった。そこで初めてヴィニ・ライリーが在籍していたマンチェスターのパンク・バンド、ノーズブリーズ(THE NOSEBLEEDS)のシングル「Ain't Bin To No Music School」が存在する事を知ったのだった。けれども今のように情報がすぐ手に入る時代ではない(本が出版されたのは1989年)、そんなレアなシングルはおいそれとは見つからず、カップリングの曲名さえもわからないまま時は過ぎ…。 このコンピレーションは1996年にレシーバー・レコードからリリースされ、ノーズブリーズやエド・バンガー(ノーズブリーズのボーカル)、スローター&ザ・ドッグス等の音源をリリースしたラビッド・レコードと、やはりスローター&ザ・ドッグスやヴィクティム等の音源をリリースしていたTJMレコードのシングルからセレクト、ノーズブリーズが1977年にリリースした唯一のシングル「Ain't Bin To No Music School c/w Fascist Pigs」のAB面を収録している。 個人的にはノーズブリーズに尽きる。ヴィニ・ライリーが後のドゥルッティ・コラムで繊細さの奥に秘めた激烈な情熱をここでは聴く事が出来る。シングルA面「Ain't Bin To No Music School」で、“ジャン!”とオーケストラが演奏する交響曲に被さるヴィニのギターは、ドゥルッティ・コラムの演奏ではお馴染みのディレイを深くかけた繊細な音ではなく、自らのカッティングとコード・チェンジでディレイ効果を生むような、独創的なイントロを聴かせた後、一瞬の静寂を切り裂く鋭く熱を帯びたカッティングに導かれ、ドラム、ベース、ボーカルが性急な演奏に突き進む、高速で拡散していくようなギターソロも素晴らしい至福の3分間。 B面だった「Fascist Pigs」はストレートなパンク・ナンバーで、太いヴィニのギター・カッティングが炸裂。後半ヴィニの突っかかるようなギターソロが聴け...

OMNIBUS a Go Go Vol.79『FROM BRUSSELS WITH LOVE』

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カセットオンリーでリリースされた音源というのは、もちろんカセット・テープが現役の頃だが、1980年代には結構あった。ジャケットをコピー印刷、ダビングすれば商品として出来上がるカセット・テープは、レコードをプレスするよりは簡単で安価なメディアであったのだろう。世界各国のバンド・アーティストは手軽な発表の手段としてカセット・テープを使用していた。このページでも幾つか紹介しているアメリカのROIRはカセット専門レーベルとして、ニューヨーク・パンク、ノーウェイブ周辺の発掘・ライブ音源や、日本のミュート・ビートのカセットなんかもリリースしていた。1990年代になっても例えば日本のクローバー・レコードなんか手作りのカセット・テープ・レーベルとして活躍していたものだ。パソコンによるDTMが手軽になり、CD-Rメディアへの移行、インターネット普及による動画での発表があたりまえになる以前の話。 CDが登場する前にはメジャー・レーベルでも収録時間が長く設定できる事により、ライブ盤などアナログ・レコードとは別バージョンでのカセットリリースやカセットのみでリリースする事もあった。今やカセット・デッキを持っているという人も少数になりつつあるし、カセットオンリーの音源も売り上げが良かったり、ある程度売り上げが期待できる音源はその後レコード化、CD化されている(もちろんそのまま埋もれてしまっている音源も多数あるだろう…)。 ベルギーのクレスプスキュールから1980年11月にカセットのみでリリースされたこのコンピレーションは、初回のリリースがブックレット付き黒ジャケット、2ndエディションが通常のカセット・ケースに入れられた白ジャケット、後に数度アナログ・レコード化、CD化された時には収録曲や曲順、アートワークの変更があった。オリジナルのカタログナンバーは"TWI 007"、タイトル『ブリュッセルより愛をこめて』とともにジェームズ・ボンドへのオマージュ。 私が購入したのはオリジナル初回カセットに準拠した収録曲(収録時間の関係でA Certain Ratio「Felch」がオミットされた)で、アートワークはこれまでのリリースの集大成ともいえるブックレットとなった、2007年にリイシューされたリマスターCD。 ジャケットからも窺われるがその内容もヨーロッパ耽美的。 ジョン・フォック...

OMNIBUS a Go Go Vol.78『NEW YORK THRASH』

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1982年にカセットレーベルROIRからリリースされたコンピレーション。日本では1993年にCD化された。ライブの度に騒乱となりワシントンDCを追い出されていたバッド・ブレインズを含む、ニューヨークを拠点に活動していたハードコア・パンク・バンドを集めている。 バッド・ブレインズは1980年にシングル「Pay To Cum」をリリース、倍速のラモーンズを目指しながらも、確かな演奏力に裏打ちされた表現力で楽曲は変化に富み、パンク・ファンの度肝を抜いた。このコンピには「Regulator」と「Big Take Over」を収録。2曲とも “Alternative Versions, recorded Fall 1981” とクレジットされているが、やはりROIRから1982年リリースしたカセットアルバム『Bad Brains』収録のものと同じ気がする。どちらも素晴らしいパンクチューン。特に「Big Take Over」はその加速感に痺れる。 Voスクリーミング・マッド・ジョージ、Bイケダ・ヒサシ、Dナカニシ・ジュンという日本人がメンバーのザ・マッドは「I Hate Music」と「The Hell」の2曲。ハードコアというよりオーソドックスなパンク・チューンながらユニークな味付け。ボンズでクラッシュの前座を務めたというクラウトは、そのクラッシュ・タイプのパンクチューン「Getaway」と、ハードコアな「Last Chance」の2曲。ハート・アタックはNYHC初といわれる1981年リリースのシングルに収録されていた「God Is Dead」と「Shotgun」。ギターのトーンがかっこいい。 ミスフィッツにいたボビー・スティールが結成したアンデッドは「Social Reason」、「Nightmare」の2曲で1982年のリハーサルテイクのようだ。ノイジーなギターが聴ける。熱血ボーカルのファルス・プロフェッツはマイナーコードの「Taxidermist」が耳に残る。アドレナリンO.D.は日本のSSみたいな「Paul's Not Home」が面白い。バッド・ブレインズの影響を受けハードコアを演奏していた最初期のビースティー・ボーイズは「Riot Fight」、「Beastie」の2曲。どちらも1分に満たないショート・チューン。 その他、イーヴン・ワース、フィエンズ、ニヒ...

OMNIBUS a Go Go Vol.77『PUNK AND DISORDERLY』

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1981年にアブストラクト・レコードからリリースされたハードコア・パンクのコンピレーション。 個人的にはオリジナル・パンクからニュー・ウェイブへ移行していったクチなので、ハードコア・パンクが勃興してきた1980年代前半当時には殆どハードコアは聴いていないのだが、このアルバムは借りて聴いた覚えがある。 1970年代末に聴いていたハード・ロック/ヘヴィ・メタルの否定からパンクを経験した身にとっては、まぁ速さ、メロディ無しはともかく、音色としてハード、メタル色が濃くなっていったのは当時個人的には受け入れられなかったんだと思う。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズなんかのサイケデリックな音楽やアコースティックな音色、ジャズや民俗音楽との融合、デジタル・ビートなんかに興味が移っていた。ハードコア・パンクはずっと後になってから進んで聴くようになったのだけれど(ハード・ロックやヘヴィ・メタルもまた聴くようになった)。 右上のジャケ写は1988年リリースのCD盤のもの。オリジナルのジャケは黒地にピンクのタイトル文字だった。鋲付き革ジャン、スパイキー&モヒカンヘアのパンクス男女が佇むジャケットからもハードコアという雰囲気が漂ってくるが、内容はそれほど “アルバムまるごとハードコアの塊”っていう感じでもない。 当時は珍しかった女性ボーカルのベキ擁するヴァイス・スクワッドの1stシングル曲「Last Rockers」に始まり、キャッチーなパワーポップといってもよいアディクツの「Straight Jacket」、UKディケイの「For My Country」はバウハウス系のダークな雰囲気を漂わせる曲だが、よく練られたアレンジだ。 レッド・アラート「In Britain」やブリッツ「Someones Gonna Die」のOi!系もあり。あとパルチザンズの「Police Story」、聴かせるメロディのDEMOB「No Room For You」、アブレイシヴ・ウィールズの「Army Song」、どれも激しくもシンガロングでキャッチーなパンクチューン。このあたりもOi!系に入るのかな。 ノイズ・コアのディスオーダー「Complete Disorder」(1stEP収録曲)、カオスUKの『Burning Britain EP』に収録されていた「4 Minute Warning」。198...

『THE DIG Special Edition THE CLASH featuring JOE STRUMMER』

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これもジョー・ストラマー没後10年という節目で2012年12月19日発売となったムック。発行はシンコーミュージック。雑誌THE DIGの増刊というかたちだ。THE DIGはクラッシュ、ジョー・ストラマー関連ではジョー訃報時、シングルボックス発売時に続き3冊目のムックとなる。 今回はDVD『THE RISE AND FALL OF THE CLASH』にあわせて、ミック脱退後の5人組クラッシュに焦点をあててもいて、当時のインタビュー再掲載もあり。 個人的にこの頃のクラッシュについて思い出してみると、 トッパー・ヒードン、続いてミック・ジョーンズとバンドを追い出した事(もちろん当時は詳しい事情は知らなかったが)には非常に驚き、5人組になったニュースは聞いたものの、この5人組クラッシュの情報はほとんど無く、やがて発売されたアルバム『カット・ザ・クラップ』は聴いたが、そのサウンドにはがっかりしたというか、もはやこれまでというあきらめのような気持ちを持った事を憶えている。12インチでリリースされた「This Is England」のカップリングに収録されていた、 ロカビリースタイルの「Sex Mad Roar」が気に入ったくらいだった。シングルの大貫憲章のライナーノーツも新生クラッシュのサウンドに懐疑的だった。なので、なんの思い入れもなく5人組クラッシュは無かった事になっていたのだが…。 いつ頃だろうか、かなり後に『GIVE 'EM ENOUGH DOPE』というブートCDを入手、ミック在籍時の来日公演のライブと5人組クラッシュの1984年5月アメリカ公演のライブを収録したもので、アメリカ公演のトラックでは、『カット・ザ・クラップ』にも収録されていた「Are Your Ready For War?」や「Three Card Trick」、12インチの「Sex Mad Roar」、未発表曲の「In The Pouring Rain」(後に『The Future Is Unwritten』に収録)を聴く事が出来、印象は『カット・ザ・クラップ』とは大きく異なるものだった。オーヴァードライブしたギター2本のサウンドと豪快でパワフルなピートのドラミングは、クラッシュのセカンド・アルバム『動乱』に似てハードなもので、アルバム収録曲もなかなかかっこいいじゃないかと思ったものだ。 そ...

映画『THE RISE AND FALL OF THE CLASH』

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2012年12月19日リリースのドキュメンタリーDVD。 タイトルにあるように、クラッシュの成功と栄光へと昇りつめる様とその後の凋落と崩壊を描いた作品。ジョー・ストラマー没後10年という節目での発売となるが、なかなか厳しい内容だ。 メンバーだったミック・ジョーンズ、ピート・ハワード、ヴィンス・テイラー、ニック・シェパードとバンド関係者、タイモン・ドッグ、パール・ハーバー、ヴィック・ゴダードら友人により語られているのは、クラッシュのマネージャー、バーニー・ローズを軸としたグループの戦略、メンバーの対立、経済的な問題等(バーニー本人の発言は無い)。バンド結成からトッパー脱退までが前半、バンド内対立からミック脱退、5人組として再出発するもののバンド崩壊までが後半といった感じで全101分の作品。それぞれの発言は興味深いものだ。このDVDのテーマともいえる『コンバット・ロック』録音時の未発表インストナンバー「Walk Evil Talk」(トッパー作)が細切れながら随所で聴く事が出来る。 見ていて浮かび上がってきたのは、バンドが成功へと昇りつめていく過程でマネージャーだったバーニーをクビにした後、メンバー自ら主導権を握って傑作2枚組アルバム『ロンドン・コーリング』を作り上げ、さらに長大な実験作の3枚組『サンディニスタ』を安価にリリースした後、音楽的には自由な活動ができたものの経済的に行き詰まっており、ジョーは状況を打開する為、かつて成功をともにしたバーニーをマネージャーに呼び戻す事を決意、戻ったバーニーはアメリカでの認知度を上げ、アルバム『コンバット・ロック』で更なる栄光を手中にするものの、再びバンドの創作活動に干渉しており、それがメンバー間の対立を煽っていった事だ。 やがてミックをバンドから追い出す事態に至り、音楽制作的に大きな支柱を失う。マネージャーが創作活動に大きく関与する迷走した状態のままクラッシュは解散した。 面白かったのはピートやヴィンスがイエスやジェネシスが好きで、他人に見られないようフレーズを弾いていたそうだ。当時パンクスにとってプログレッシブ・ロックはほぼ全否定されていたから無理もないが。淡々と思い出をなぞるように語るミックの静かな佇まいが印象的だ。これまで幾つかのDVDでも見られたが、やはり自分の制作活動をやりきった事に対する表れでもあるのか、突然の解雇と...

OMNIBUS a Go Go Vol.76『GHOSTS OF CHRISTMAS PAST』

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クリスマス・シーズン。クリスマス・ソング。 今では邦楽でも洋楽でも沢山の楽曲があり、毎年新しい楽曲が生まれているが、私がパンク/ニュー・ウェイブに夢中になっていた1980年代前期には、トラディショナルなクリスマス・ソング(例えばビング・クロスビーとか)の他にはそれほど日本人一般には馴染みがなかったのではないか。(パンクが好きで、クリスチャンでも無い奴にそんな物が必要なのかという話しもあるけど)。 ロックを聴く人にはジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」(1971年)か。日本のポップスではユーミンの「恋人がサンタクロース」(1980年)とか。山下達郎の「クリスマス・イブ」は1983年リリースのアルバム収録曲でヒットはもう少し先になる。洋楽の定番といってもよいスプリングスティーン、U2、ホイットニーやスティングなんかが収録されている『A Very Special Christmas』のリリースは1987年だ。1984年リリースのワム!「ラスト・クリスマス」やバンド・エイド「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」あたりから、日本の中でもクリスマス・ソングへのニーズが急速に高まり、定着したんじゃないかという気がする。日本では一般的にクリスマス自体、宗教的な意味を含まず、祝祭的なイメージを膨らませ、消費を促す特別な日として盛り上がっていったように思う。そのアイテムとしてクリスマス・ソングも活躍した。 『ゴースト・オブ・クリスマス・パスト』はベルギーのインディ・レーベル、クレプスキュールが1981年にリリースしたクリスマス・アルバム。こういったアルバムはキリスト教圏の彼の地では、毎年シーズンになるといろいろと出されているのだろうけど、このアルバムもジャケットや収録曲を変えて数種類リリースされている。1988年にはクレプスキュールからCD化、日本では1989年にCDリリースされた(右上のジャケ写は日本盤ジャケ、本国で1986年に再リリースしたアナログと同じデザインと思われるが、1981年リリースのオリジナルのツリージャケが一番良い)。 ファクトリー・ベネルクスから発展したクレプスキュールらしく、ただのパーティ・アルバムにはなっていない。クリスマスにしてはダークなタキシード・ムーンやキャバレー・ヴォルテール、実験的なマイケル・ナイマン等を含みつつ、注目曲は“ホワイト・クリスマス...

OMNIBUS a Go Go Vol.75『PILLOWS & PRAYERS』

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イギリスのインディ、チェリー・レッド・レコードから1982年12月にリリースされたコンピレーション。チェリー・レッドはイアン・マクネイとリチャード・ジョーンズによって1978年に創立、同年6月にThe Tightsというパンク・バンドの7インチ・レコードが第1弾リリースだった。 『Pillows & Prayers』はA&Rとしてチェリー・レッドに参加していたマイク・オールウェイが企画、1982年時点でのレーベル・パッケージといえるアルバム。彼はイアンにアルバムの売価を1ポンド以下にする事を提案、イアンはこのコンピレーション・アルバムをプロモーション・プロジェクトと位置づけ、アーティストに対する印税支払いを無くす同意を取り付けることで制作コストを安く抑える事ができた。オリジナル英盤のスリーブ右上には“PAY NO MORE THAN 99p”と印刷されている(日本盤LPはそれほど廉価ではなく定価2,000円だった)。 このアルバムを初めて聴いたのは、たぶん1984年頃、輸入盤を友人から借りたんだと思う。エコー&ザ・バニーメンやジョイ・ディヴィジョン、バウハウス、ザ・スミス、アズテック・カメラなんかのニュー・ウェイブを聴いていた時で、それらのグループと聴き比べるとハンドメイドな印象を受けた覚えがある。アコースティック・ギターやノン・エフェクトのエレキ、リズム・ボックスを使った楽曲や、小さな部屋で録音されたような(宅録的な、手っ取り早く言うとヘタウマ的、DIYな)音響を感じさせるパーソナルなイメージだった。 中でも特に印象に残ったのは、ベン・ワット「Some Things Don't Matter」、エブリシング・バット・ザ・ガール「On My Mind」で、ニュー・ウェイブを聴いていた自分がボサノヴァを意識したのってこのコンピなんじゃないかと思う(それかスタイル・カウンシルの『カフェ・ブリュ』)。アコースティックでナチュラルな録音が気に入り、チェリー・レッドから出ていたトレイシー・ソーンのアルバム『ア・ディスタント・ショア』を購入、かなり愛聴した。 他にはトレイシー・ソーンが在籍していた女子3人組マリン・ガールズ、ネオ・サイケデリックのフェルト、ユニークなモノクローム・セット、手作り感のあるサウンドのアイレス・イン・ギャザ、 ポエトリー・リーデ...

ECHO & THE BUNNYMEN「NOCTURAL ME」

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2009年5月リリースのアルバム『Ocean Rain Live 2008』より。 イアンのソロ再発と一緒に気付いたのがこれ。 エコー&ザ・バニーメンのオフィシャル・サイトで販売されていたライブ・アルバムCDで、 2008年12月27日、地元リヴァプール・エコー・アリーナでおこなわれた、アルバム『オーシャン・レイン』(1984年リリース)再現ライブを収録。CDの販売は既に終了しているが、iTunesで配信されているので聴く事が出来た(Amazonでもダウンロード販売がある)。 異論もあろうがアルバム『オーシャン・レイン』がバニーズのひとつの到達点である事は間違いないだろう。個人的にはこのアルバムが最高傑作と思っている。 「Silver」、「Killing Moon」、「Seven Seas」という必殺のシングル3枚を含み、他にも「Crystal Days」、「My Kingdom」、タイトルトラック「Ocean Rain」というアコースティックな雰囲気の柔らかな名曲があり、変則ボ・ビートでドアーズに通じる迫力ある演奏の「Thorn of Crowns」、映画音楽のような不思議な「The Yo-Yo Man」、この2曲はネオ・サイケデリックと呼ばれたバニーズの面目躍如といったところ。 オーケストラによる弦の響きが緊張感を生む「Nocturnal Me」はアルバムでは2曲目に配され、オープニングの「Silver」と3曲目「Crystal Days」というポップな曲を繋ぐダークでメランコリックで重層な佳曲。 そう、全9曲が素晴らしく、曲の並びも含め、ジャケットから演奏の内容までパッケージされた全てに必然性が感じられる稀有なアルバムだ。イアン・マッカロクにとってもこのアルバムは特別の思い入れがあるに違いない。 再現ライブ・アルバムから選んだのは「Nocturnal Me」。これまでこの曲のライブ・バージョンは聴いた事がなかったし、緊張感のあるアレンジはそのままだ。イアン・マッカロクのボーカルは年相応の衰えを感じさせるが、それさえも枯れたものとしての魅力を感じさせてくれるライブ・バージョンだ。 他のトラックでは大合唱が起こる「Killing Moon」、「Ocean Rain」。前者は “うーん皆歌うか…”と感じ、後者は “皆に愛されている曲だ ”と思った。ただ、このライブ盤...

IAN McCULLOCH「BIRDY」

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2012年9月リイシューのアルバム『MYSTERIO Deluxe 2CD Edition』より。 イアン・マッカロクが1992年にリリースした2枚目のソロ・アルバム『ミステリオ』も前作同様ボーナストラック追加、2CD仕様で再発されている。 このアルバムを聴くのは初めて。『キャンドルランド』は気に入っていたと思うし、来日公演も多分楽しめたと思うのだが、1992年当時はバニーズ関係はもういいかなぁという感じで買わなかったんだろう。1990年にはイアン抜きのバニーズ(ノエル・バークがボーカリスト、デイモン・リースがドラム)のアルバムが出たり(一応聴いた)、イアンと他のバニーズのメンバーの確執もあったりで興味は他に移っていたんだと思う。そんなことで1990年の後購入したバニーズ関係の音源は91年にリリースされたBBCライブ、4枚組コンピ『クリスタル・デイズ』(2001年)、『ライブ・イン・リヴァプール』(2002年)、25周年のエキスパンド・オリジナル・アルバム・シリーズ(2003年)くらい。 前作『キャンドルランド』で強かったジェントルな面は影を潜め、ダンサブルでコンテンポラリーな意識もあり、打ち込みサウンドの使用も継続しつつ、バンドサウンドに戻ったように思えるが、その分かつてのバニーズとの比較をしてしまう曲もあり、焦点が絞りきれていない印象。まぁ全体的に悪くは無いが、これだといえる曲を選ぶのも難しい。 シングルにもなった「Lover Lover Lover」これが一番の気もするけどレナード・コーエンのカバーだし、 コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーがバッキング・ボーカル、ロビン・ガスリーのプロデュース、アズテック・カメラのロディ・フレイムがギターで参加している「Heaven's Gate」、これも少し弱い。 というわけでCDシングル「Lover Lover Lover」のカップリング曲で、このリイシュー盤ではディスク2に収められている「Birdy」という曲を選んだ。この曲のプロデュースはコクトー・ツインズのロビンで、前作にも通じる静謐でジェントリーでメロディアスな曲。イントロのライド・シンバルに絡まるギターの音色、深いイアンのボイス、これがやはりイアン・マッカロクの世界ともいえる。 結局ソロのイアンにはこういう曲を望んでしまうな…。この曲にもエリザベス...

IAN McCULLOCH「CANDLELAND」

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2012年9月リイシューのアルバム『CANDLELAND Deluxe 2CD Edition』より。 下のオムニバス『To The Shores Of Lake Placid』紹介の時にエコー&ザ・バニーメンの情報などをネットで見てたらイアン・マッカロクが1989年にリリースした初のソロ・アルバム『キャンドルランド』が ボーナストラック追加、2CD仕様で再発されているのを発見、早速購入。 エコー&ザ・バニーメンは多分1983年頃にアルバム『ポーキュパイン』を購入して気に入り、他のアルバムやシングルを集め、来日公演も行く当時一番入れ込んでた洋楽のバンドだった。1988年頃にイアンがバンドを離れ、ドラマーのピート・デ・フレイタスがバイクの事故で亡くなった時は、もうこの4人の演奏が聴けないのかと非常に残念に思った事を憶えている。イアンの甘美なボイス、ウィル・サージェントの鋭くも表現力豊かなギター・プレイもさることながら、ピートとベースのレス・パティンソンの鉄壁とも言える強力なリズム隊は非常に魅力的だったから…。 このイアンのソロ作はリリース時に購入、12インチやCDシングルも買ったし、その後1990年の来日公演にも行った(名義はイアン・マッカロク&ザ・プロディガル・サンズ、バニーズの曲も数曲演奏した)。今回のリイシューは『キャンドルランド』とアルバムからの7インチ、12インチ、CDシングルのカップリング曲、別バージョン、リミックス・バージョンを追加したもので、更に1984年にリリースされたイアンとしては初のソロ・シングル「セプテンバー・ソング」2ヴァージョンとカップリング曲も収録された豪華版。 1989年に初めてこのアルバムを聴いた時にはバニーズの5枚目にあたる1987年のセルフ・タイトルのアルバムの延長上にあり、ピートとイアンの父親の他界という悲しい出来事を乗り越えて静謐な中にも伸びやかさがあるという印象を持ったが、今回あらためて聴いて受ける感じは変わらなかったのだけれど、かなり久しぶりに聴いた事もあり、当時のいろいろな(個人的な)事柄が思い出されて感慨に耽ってしまった。 「The Flickering Wall」や「Proud To Fall」、「I Know You Well」、「Start Again」といったジェントルな曲が並び、中には「Fai...

OMNIBUS a Go Go Vol.74『TO THE SHORES OF LAKE PLACID』

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イギリスのインディ、ZOOレコードから1982年3月にリリースされたコンピレーション。ZOOはビル・ドラモンド、デビッド・バルフによって1978年に創立され、 2人が関わっていたビッグ・イン・ジャパンを皮切りに、ティアドロップ・エクスプローズ、エコー&ザ・バニーメン、ロリ&ザ・カメレオンズ、ゾーズ・ノーティ・ランプス等リバプール周辺のバンドのレコードをリリースしていた。 このコンピレーションはZOOがリリースした楽曲やビル・ドラモンド&デビッド・バルフ達が制作に関わっていた楽曲(当時の未発表曲を含む)を集めたもので、個人的には1980年代に入れ込んでいたエコー&ザ・バニーメンの曲を目当てに、確か雑誌DOLLかなにかに載っていたバニーズのディスコグラフィ(それも1ページにまとめたもの)にこのコンピがあると知って、探して中古で購入。このままでのCD化はされていないと思う。アナログのフロント・ジャケットの“ZOO”の文字はエンボス加工されていた。 バニーズはまだイアンとウィル、レスの3人とドラムマシーン“エコー”を使用している最初期の録音で、ZOOレコードからリリースしたバニーズの1stシングル「The Pictures On My Wall c/w Read It In Books」の両面を収録している。このシングル・バージョンは今では再発もされてるし、4枚組『Crystal Days 1979-1999』でも聴けるけど、当時なかなか目にしたことは無く、あっても結構な値段していたので、ドラムレスでイアン達の青白い炎が揺らめくような演奏の「The Pictures~」と素朴なドラムマシーンの音色の「Read It~」が聴けた時はうれしかった。バニーズは他に「Villiers Terrace」のBBC“John Peel Session”のためのライブバージョンが収録されている。このBBCライブも3人と“エコー”のバージョンでデビッド・バルフがピアノで参加している。 ここに収録されているバニーズの「Read It In Books」はティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープとの共作曲だが(エクスプローズも録音している)、そのエクスプローズはシングルB面曲「Camera, Camera」と当時未発表だった「Take A Chance」、おそらく準備されながらZOOか...

OMNIBUS a Go Go Vol.73『CONCERT FOR THE PEOPLE OF KAMPUCHEA』

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1979年12月26日~29日にロンドンのハマースミス・オデオンでおこなわれた、カンボジア難民を救済するためのチャリティ・コンサートの模様を収録したライブ・アルバムで1981年3月にアトランティックからアナログ2枚組でリリースされた。2012年11月現在でCD化はされていない。 このコンサートの出演者は、 12月26日:クイーン 12月27日:イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ、マトゥンビ、クラッシュ 12月28日:プリテンダーズ、スペシャルズ、ザ・フー 12月29日:エルビス・コステロ&ジ・アトラクションズ、ロックパイル、ウィングス、ロッケストラ だったが、マトゥンビの演奏はアルバムに収録されていない。他は各組1~4曲を収録。 最終日のロックパイルにはロバート・プラントが、ロッケストラにはプラントの他、ジョン・ボーナムとジョン・ポール・ジョーンズがゼップから参加した。 パンク/ニュー・ウェーブに嵌っていた当時は、オールド・ウェイブ勢のクイーンやウイングス、フーといった音源には全然興味なし(とはいうもののパンクを聴く前はクイーンもフーも聴いてた)、最初クラッシュ目当てでこのアルバムを手に取って(誰かから借りたと思う)「Armagideon Time」1曲のみというのは寂しかったものの、その選曲や演奏には満足した覚えがある。トッパーの繊細なドラム・ワーク、ミッキー・ギャラガーのキーボードも素晴らしい。 他にはオリジナル・メンバーでのプリテンダーズの3曲 「The Wait」、「Precious」、「Tattooed Love Boys」がどれも勢いがあって気に入ってたかな。その頃あまりなじみの無かったイアン・デューリー「Hit Me With Your Rhythem Stick」や、コステロ「The Imposter」、スペシャルズ「Monkey Man」なんかに興味を持って聴いたような気がする。ロックパイルは「Crawling From The Wreckage」と、もう1曲ロバート・プラントをゲスト・ボーカルに迎えた「Little Sister」を収録。プラントがエンディングをトチったのはご愛嬌。 自分であらためて購入したのはザ・フーに入れ込んでた頃(1990年代の中頃と思うんだけど)で、アナログA面全部を占めていたのが気になり中古で購入。「Baba O...