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ましまろ「ガランとしている」

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2015年5月13日、ariola/ソニーからリリースのシングル。 クロマニヨンズの真島昌利(G.Vo)、 ヒックスヴィルの真城めぐみ(Vo)と中森泰弘(G.Vo)という3人で結成された“ましまろ”のデビューシングルで4曲入り。 メインヴォーカリストは真城のようだけど、オリジナルの3曲は真島昌利の作詞・作曲だし、バディ・ホリーのカヴァー「ハートビート」は真島の日本語詞が歌われているからマーシー・ワールドは堪能できる。ゲストでベースにハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、ドラムに岡本啓佑(黒猫チェルシー)が参加。 真島がかつて在籍していたブルーハーツは1987年のメジャーデビュー当時シングル何枚か聴いたけど、パンクロック勃興からほぼ10年たった頃で、今更初期パンク・タイプのストレートなサウンド(大雑把に言うとピストルズ・クラッシュ・ラモーンズの影響下)を聴くのもなぁ、と思っていた。私よりもう少し下の年代が聴く感じだった。1989年に真島昌利がリリースしたソロ・アルバムが気に入ってからブルーハーツの真島ソングを聴くようになったけど。 そのマーシーのソロ『夏のぬけがら』に通じるフォーキーでやわらかな「ガランとしている」は、百合、薔薇、鬼灯と植物の名前が出てくる謎めいた歌詞、それに “何もないようなふり” っていう言葉がひっかかるなぁ。隠れたメッセージがありそうな。誰もいなくてガランとしているけど、それは目には見えない何かがあるから…、っていうのは考え過ぎか…。 その他、2曲目の「公園」はガレージ感のあるナンバー。今はなくなってしまった思い出の公園の歌で、何故なくなってしまったのか、その跡地に何が出来たのかもわからないが、怒気を含んだマーシーの声からは、幼いころから通っていた公園がなくなってしまった事に対する強い憤りが伝わる。 「しおからとんぼ」はマーシーのヴォーカルから始まるが、“夕立のひとしづく”なんて歌詞、昭和で懐かしい感じだなぁ。夕立っていう言葉から受ける夏の雨のイメージは、近頃の酷いゲリラ豪雨みたいなものと違う印象だ。 バディ・ホリーの「ハートビート」は原曲のドキドキ感を日本語に意訳した少年の恋のときめき。オリジナルと同様軽快なカヴァー。 “木造校舎”って言葉がこれまたレトロ。 次はアルバムか…リリースは9月2日。

Shiggy Jr.「サマータイムラブ」

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2015年6月24日、Universal Sigmaからリリースのシングル。 このコーナーでShiggy Jr.の紹介をしたのが2014年11月だから7ヶ月ぶりか。その時にもメジャー移籍は時間の問題と言われていたが、待望のメジャーデビュー・シングル。インディでの2曲のキラーチューン「Saturday Night~」と「Listen To~」があるだけに、この2曲を超えるどんな曲がリリースされるのか、と期待は高まっていた訳だが(まぁ私の中では)。さて…。 タイトル・トラック「サマータイムラブ」は一聴してその2曲を踏襲したポップでキャッチーなディスコ・チューン。弦の流麗な響きとホーンの迫力はさすがメジャーというサウンド・クオリティ。前作ではほぼ打ち込みだったというリズム・トラックも、今回はリズム隊メンバーが活躍(ちなみにドラム・チューナーのクレジットは三原重夫)。特にベースラインが強力。ぜひMPプレーヤーのヘッドフォンだけじゃなく、ステレオのスピーカーで鳴らして聴いて欲しいなぁ。歌の内容はサマータイム制度の恩恵を受けた恋愛模様。 カップリングには相合傘ソング「keep on raining」。イントロのアコースティックギターのカッティングが良い。こちらもホーンの煌びやかな曲だ。まぁメジャーデビュー・シングルだからといって曲調に大きな変化はないけど、楽器間のコンビネーションやアレンジ、表現力はグレードアップした内容。池田の歌も丁寧に歌うところが目立っていると思う。 バックトラックの良さはカップリングのInstrumental Versionで聴いて欲しい。「サマータイムラブ」の涼しげな弦の響きがいい。「サマータイムラブ」はロロロのリミックス・ヴァージョンを収録している。 初回盤付属のDVD、若干レトロなイメージで作ってあるがMVはもう少しカッコ良く作って欲しいなぁ。バンドのイメージが明るく楽しくは分かるけどね…。 レジーのブログ LDB(仮)にインタビューあり、なかなか興味深い内容。 Shiggy Jr. 「サマータイムラブ」リリースインタビュー(前編) Shiggy Jr. 「サマータイムラブ」リリースインタビュー(後編) ナタリーでもインタビューがある。 Shiggy Jr. サマータイムラブ・インタビュー 次はアルバムか…。

私の放浪音楽史 Vol.52 TOM ROBINSON BAND『POWER IN THE DARKNESS』

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1978年、EMIよりリリースのアルバム。 私のまわりではストラングラーズ、クラッシュに次いで人気のあったトム・ロビンソン・バンドのファースト・アルバム。鋭利なサウンドというよりはメロディックでパワーポップ的な楽曲に社会的なメッセージの歌詞が特徴だった。トム・ロビンソンのベースを弾きながら歌うスタイルもカッコよかったなぁ。ジャケットの握り拳もトレードマークで日本盤アナログには、 この握り拳を“POWER IN THE DARKNESS”の文字が囲んだ図柄のジャケット・サイズのステンシル・シートが付属していた。日本盤はデビュー・シングルの「2-4-6-8 Motorway」をアルバム冒頭1曲目に追加した11曲入り(UK盤は10曲)。このシングル曲のみヴィック・メイルのプロデュース、 他アルバム曲はプロデュースにクリス・トーマス、エンジニアにはビル・プライスが起用されている。 トム・ロビンソンは既に子持ちらしいが、このデビューの頃は自身がゲイということを公言し性的マイノリティだけじゃなく、人種などのすべてのマイノリティに対する差別への怒りを表明し、マイノリティの権利を主張していた。それはファンキーでパワフルなアルバム・タイトル・トラック「Power In The Darkness」に顕著だし、自分自身の為に立ち上がれというメッセージを持った「Ain't Gonna Take It」や「Better Decide Which Side You're On」でも訴えている。更にマーク・アンバーのキーボードが効いている性急なビートの「Long Hot Summer」では自分達の音楽で闘いを挑むことを宣言した。 その権利主張は“もうがまんできない!”という当時の状況があったわけで、騒動が溢れかえるストリートを描いたパンクロック「Up Against The Wall」や、住んでいる街で生き残りをかけた争いが起きている危険な状況を描いたシャッフル・ビートの「You Gotta Survive」、夢さえもが絶望的な、ダークなサウンドの都会的ブルース「Too Good To Be True」、権力の傍聴について歌った「Man You Never Saw」といった曲群で当時の状況を表現している。 1978年に1979年冬の仮想ストーリーを作り、このままいったらもっと悪く...

STEELY DAN「THE FEZ」

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2009年、Universalからリリースのベスト・アルバムより。 最近ブックオフでは、有名アーティストのちょっと古いベスト盤は輸入盤だと2枚組500円で売ってることも。『THE VERY BEST OF STEELY DAN』も2枚組、500円だったんで入手。スティーリー・ダンは凄く安く買った『Aja』のアナログ盤(1980年の国内再発)のみ持ってたんだけど、良さがわからなくて、あまりに都会的でスムーズ過ぎるっていうか…、構築的すぎるというか…。あとドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』もCDで持ってたな。 で、このベスト盤、『キャント・バイ・ア・スリル』~『ガウチョ』までの各アルバムから年代順に数曲ずつ収録されているんだけど、ハマった。1曲目の「Do It Again」から凄く良い曲。パーカッションの使い方がいいなぁ。これがスティーリー・ダンかぁ。全然印象違うなぁ。まだバンド的なノリもありつつスタイリッシュ。 他にも名曲目白押しだ。いやー、初期から聴いていくとこのバンド(ユニット)の洗練具合がわかるっていうか、『Aja』の楽曲も新鮮っていうか違って聴こえる。いい!聴き直しましたよ『Aja』のアナログも。聴かないくせに飾ってあったんだけど、ジャケが好きで。いいなぁ。特に「Deacon Blues」。私のスティーリー・ダンへの興味はイギリスのスティーリー・ダン・フォロワー(?)のプリファブ・スプラウトやダニー・ウィルソンなんかを経由してたんだけど、そのあたりの音好きにも初期~『Royal Scam』くらいまでのサウンド取っ付き易いんじゃないだろうか。まぁ今となっては全部いいんだが。 それに私がPANTA&HALのアルバム『マラッカ』のレヴューをした時にひと言もスティーリー・ダンに触れていないけど、このアルバムがフュージョン的な影響下というのを知っていたものの、スティーリー・ダンの楽曲を聴いてからだと『マラッカ』から受ける印象もなるほどなぁ、と思えてくる。複雑な曲構成とコードワーク、2本のギターの絡み、凝ったハーモニー、難易度の高い楽曲をつくり、そのサウンドに時に社会的な歌詞が歌われる。例えばスティーリー・ダンの「The Fez」(オリジナル・アルバムでは『Royal Scam』収録)とPANTA&HALの「ココヘッド」からは共通したエキゾチシズムを感じ...

江口寿史著『江口寿史の正直日記』

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2015年6月、河出書房新社刊。 江口寿史の漫画は「すすめ!!パイレーツ」から読んでた。「ひのまる劇場」、「ひばりくん」、「エイジ」、「エリカの星」くらいまでか。1980年代に出た単行本はほとんど買ってると思う。それらは幾度の引っ越しにも売られず、捨てられず、まだ我が家の段ボール箱に入っている(まぁ読み返すこともないんだけど)。 江口寿史の文庫が出ると知って本屋の漫画コーナーをぐるぐると探したけど無いので、 “正直日記”というからにはもしかして文章?と思って文庫コーナーを探したら、ありました。漫画じゃなかったんだ。1999年~2002年にかけて江口寿史のホームページで公開していた日記を収録。2005年に単行本として出版したものを一部改訂、追加収録で文庫化したもの。 年代が古い(もう10年以上前だ)ので、ソニーのアイボが出て売り切れとか、椎名林檎のデビューの頃とか、やや懐かしいモードなので、どうかなと思ったのだが、江口寿史の好きな音楽の話とかも載ってそうなので買って読んでみると面白い。江口寿史は追っかけて読まなくなってからイラストが主で漫画執筆はあまり書き込んだものじゃなく短編のみ、と思っていたけど、仕事は結構いれてるんだな、という印象。 でもこの頃はアシスタントを使わず、取材も念入りに、となるとやはり筆は遅くなり、締切は過ぎて…。この頃も落としてるんだ…連載。白いワニが出ていたころと変わらず…。徹夜、休み無しの執筆の苦悩、仕事が進まないながらも呼ばれれば酒を飲みに行く。確かに正直に書かれていて読んでる方もドキドキする。まぁ多少の誇張と調整はあるらしいが。これ落としちゃうんじゃないの?飲みいっちゃっていいの?週刊の連載引き受けて大丈夫?あーやっぱり…。作品のクオリティの追求は理解できるが、確かに山上たつひこもあきれるよなぁ…。恐るべし江口寿史、もはや職人。 他、医者に行ったとか、コンサートに行ったとか、ラーメン食いに行ったとか日常の記録、ほぼ実名で書かれていて楽しく読める。音楽的な話題もそこそこあったけど、2002年7月3日、7月18日の日記、正直だなぁ。 カフェ・ジャックス聴いてみるかな。

私の放浪音楽史 Vol.51 TELEVISION『MARQUEE MOON』

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1977年2月、エレクトラよりリリースのアルバム。 テレヴィジョンのファースト・アルバム。 1981年~1982年頃はアメリカ(ニューヨーク)のパンクってほとんど聴いてなかったなぁ。ブロンディ(パンクかな…)、ハートブレイカーズ、ジョニー・サンダースくらいか。リチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズのファーストは当時入手難だったんじゃないか。だから聴いたのはもう少し後だった。ラモーンズももっと後なんだよね、良さがわかるのは。だからテレヴィジョンの『マーキー・ムーン』はイギリスのパンクバンド一辺倒だった私へ、ニューヨーク・パンクの強力な一撃だった。神経質そうな痩せたトム・ヴァ―レインの眼差しが目を引くロバート・メイプルソープによる写真を使用したジャケット。裏ジャケットには"単純で不気味な感じのらせん状のイメージを使いたい”というトムの依頼でビリー・ロボのアートが使われている(確かにこの裏ジャケのデザインは奇妙に感じた)。プロデュースはトムとアンディ・ジョンズ(グリン・ジョンズの兄弟)で、アンディはプロデュースというよりエンジニアとしての腕を見込まれたようだ。 後々タモリ倶楽部の“空耳アワー”で紹介された(言われるまでそう聴こえなかったけどね)「See No Evil」。ぐるぐる回るようなリフが印象的。線が細いけどエモーショナルなトムのヴォーカルも一発で気に入った。ギターのパッキング・フレーズが好きな「Venus」。トムのギター・ソロもいい。“ミロのヴィーナスの腕に落ちていった”というありえないシチュエーションの歌詞もユニーク。ギターの半音階的なフレーズがビザールでガレージ・サイケデリックな「Friction」。後半のギターソロ前の“F・R・I・C・TION”ってとこが最高にカッコいい。タイトル・トラック「Marquee Moon」。絶妙のコンビネーションで曲は進む。手数の多いドラム、官能的ともいえる2本のギターの絡みとクールなベースライン、ドラマティックな展開。10分余りの長さをまるで感じさせない。そのサウンドはスリルの連続でありながら、聴く者の神経を甘美に弛緩させる作用もあるミラクルなナンバー。アナログでは9分半頃の一旦静かになり再び歌が始まるところでフェイドアウトするが、CD化の際には完奏ヴァージョンでの収録となっている。 アナログ盤ではB面の1曲目だった叙情的な「El...

私の放浪音楽史 Vol.50 BRUCE SPRINGSTEEN『BORN TO RUN』

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1975年8月25日、Columbiaよりリリースのアルバム。日本盤は1975年10年25日CBSソニーよりリリースされた。 『Born To Run』30周年盤のブルースによる解説には、こう書かれている。 (アズベリーパークの)“ボードウォークの近くのキングズレーとオーシャンというふたつの大通りが、地元の者たちがサーキットと呼ぶ楕円形のレーストラックを形成していた” (1974年)“その夏、俺は2000ドルで、生まれて初めて車を買った。57年型のシェビー。4気筒のデュアル・キャプレター、ハーストのギアシフト。 ボンネットにはオレンジ色の羽のように広がる炎が描かれていた” 公道をサーキットがわりに走ることでスピードに自暴的なスリルと生きるための僅かな希望を見出す。ブルース自身がそうしていた訳ではないと思うが、そこで行われている出来事や集う若者たちに自分との共通した感情を見出し、観察することで歌=物語を紡ぎだしていたのだろうと思う。このアルバムの事を夏のある一晩、様々な場所で起きた出来事を歌った、とブルースは語っていた。 このアルバムがリリースされたのは1975年、私が聴いたのはその6年後くらいだったと思う。友人に借りて聴いたのだが、“発見”だったなぁ、1975年にこんな衝撃的な内容のアルバムがリリースされていたとは。ロック・ジャーナリストのジョン・ランドウが1974年5月にライヴ評をボストンのリアル・ペーパーに載せている。 “I saw rock and roll future and its name is Bruce Springsteen.  And on a night when I needed to feel young, he made me feel like I was hearing music for the very first time.” そう、まるで音楽を初めて聴いたときのような気分にしてくれた。私が『Born To Run』を初めて聴いたときも全くその通りだった。 夜に隠された魔法を解き明かそうとし、無防備ともいえる若さのもとでの友情と愛情、信頼と裏切り、自由と拘束を歌い、自分たちが何者なのかを問い、ここではない何処かを目指して走りだそうとする姿を描いた。その推敲された詩/物語とデリケートに選び抜かれた音色とパワフル/リリカルな演奏ス...

私の放浪音楽史 Vol.49 佐野元春『HEART BEAT』

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1981年2月25日、Epicソニーよりリリースのアルバム。 佐野元春のアルバムを初めて聴いたのは『ハートビート』か『サムディ』(1982年)か、どっちだったか思い出せない…。けど、まずはセカンド・アルバムの『ハートビート』。ジャケットが好き。収録曲の「Night Life」を映像化したようなモノクロームのフォト。 “決まったぜ”という裏ジャケもいい。勢いを感じるなぁ。アルバム・タイトルはバディ・ホリーの楽曲からとられたいう。 佐野元春のサウンドは私が当時聴いていたパンク/ニューウェイヴとはまた違った新しさを感じさせるものだった。言葉をコラージュするように描く都市の風景、登場人物たちのユーモラスな会話や時にシリアスなモノローグ、その言葉をビートの効いたサウンドに出来るだけ詰め込んだポップチューン、イメージをたくさん盛り込んだリリカルなバラッド。クールでエネルギッシュでソウルフル。そして何より各曲ギターソロというものがない。間奏にギターを使ってない。これは個人的に画期的だった(何しろハードロックを聴いてきたからね…)。 オープニングの「ガラスのジェネレーション」は、Get Happy!と歌うカラフルでポップな曲だが、ラストに“つまらない大人にはなりたくない”というフレーズがあるため、佐野が年齢を重ねるにつれて歌う事を逡巡させることになる曲。個人的には佐野元春版マイ・ジェネレーションと思うのだが。THE WHOの「My Generation」には“I hope I die before I get old”という歌詞があるが、佐野はTHE WHOほど刹那的なフレーズじゃなく“街に出て/恋をしようぜ”と訴えるポジティヴな内容で、少年の心(=ピュアネス)を持ち続けたい、という気分を歌っていると思う。まぁこの時の佐野は気分という生易しいものじゃなく決意表明してしまっているんだが…。そして自分達とリスナーであるティーン達(ガラスの世代)の新しさを高らかに宣言し、自分達よりも少し年上の革命的ジェネレーション(1969年には佐野はまだ13歳だ)との決別を告げるセンセーショナルなポップ・ソングでもある。 続く「Night Life」。金曜の夜、精一杯お洒落した若きカップルのナイトライフ。グルーヴィーなアレンジが気持ちいいし、 “時計を気にしながら早く服を付けて髪も整えたらタクシーで1...

私の放浪音楽史 Vol.48 浜田省吾『ON THE ROAD』

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1982年2月25日、CBSソニーよりリリースのライヴ・アルバム。 浜田省吾のアルバムとしては、このライヴ・アルバムを初めて聴いたんじゃないかな。確か貸しレコード屋で借りた気がする。2枚組でそのうちの1枚は3曲入り12インチ・シングルって扱いだった。1981年12月26日、27日、28日の広島郵便貯金ホールと浜省としては初の1982年1月12日の日本武道館でのライヴから収録。ライヴの演奏はFuseと名付けられたバンドによるもの。 サウンドとしてはアメリカンテイストでハードなロックンロールがベースだが、私が80年代前半に入れ込んでいたパンクとはまた別のストリート感を持った歌詞や、パンクやニューウェイヴでは取り上げられない “愛の追求” が魅力だった。私のまわりでも浜省好きは多かったなぁ。 ジャクソン・ブラウンのライヴ・アルバム『Running On Empty(邦題:孤独なランナー)』をカラフルに模したジャケットもよかった。今持ってるCDは1枚にまとめられ、アナログ盤2枚目のA面に収録されていた「路地裏の少年」がCD化の際に5曲めに、B面に収録されていた「Midnight Blue Train」が11曲目、「On The Road」(スタジオ録音)が12曲目に収録されている。 アルバムの始まりが1976年リリースのデビュー・シングルB面曲でミディアム・テンポの「壁にむかって」からというのも渋い。この曲のライヴ・ヴァージョンではスタジオ・ヴァージョンにあった“恋して愛され決めた彼女とひとつ屋根の下で暮らしてゆく~” で始まる2番の歌詞が歌われていない。ちょっと生活感があり過ぎたかな。以下収録順ではないが簡単に紹介。 1969年の大学闘争を振り返ったフレーズが出てくる「明日なき世代」、ロックンロールの初期衝動を歌った「終わりなき疾走」、都市の底辺を映しだした「東京」の3曲は、スピーディでハードな演奏が聴ける。特に「東京」は爆発寸前のギリギリの感情を表現したスリリングで緊張感がある優れた曲だと思う。スプリングスティーンの「Tenth Avenue Freeze Out」のアレンジをスピード・アップしたような「土曜の夜と日曜の朝」は工員を主人公にした曲。アラン・シリトーの小説に同タイトルあり。読んだなぁ、シリトーの小説。 浜省といえばバラードというイメージを持つ人もいるかもし...

リチャード・ヘル著・滝澤千陽訳『GO NOW』

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2004年5月、太田出版刊。 リチャード・ヘルが書いた小説で本国では1996年に刊行されたが、邦訳が出たのは2004年。 最近ではめっきり小説を読むことも少なくなったが、本屋で見かけ“あの”リチャード・ヘルの書いた小説か、 読んでみるか…。 リチャード・ヘルを聴いたのは1982年リリースのヴォイドイズとしてのセカンド・アルバム『ディスティニー・ストリート』が最初だったんじゃないかな。友人が持ってた輸入盤を借りた。ディランのカヴァーがかっこよかったな。当時『ブランク・ジェネレーション』は入手困難だったような気がする。そのセカンドアルバムリリース後しばらくしてヘルは音楽活動を停止、小説を書いているというのは知っていたが翻訳も出ていたんだ…。帯には町田康による“地獄のパンク文学”の推薦文。 内容はというと、バンド活動停滞中のパンク・ロッカー、ビリーと女性フォトグラファー、クリッサがカリフォルニアからニューヨークまで車を運転して運ぶ仕事を依頼される。全ての経費は依頼者持ちだ。その道中で“なにか”を探し、ビリーが書き、クリッサが写真に撮る、さらにその内容を本にする、というのが依頼者のアーティスティックな興味であり2人にとって真の仕事でもあった。 ロード・ストーリー的な内容になっているが、ビリーはヘロイン中毒で、ヘロインを打つ/調達と旅先で出会う女とのセックスによる快楽を求め続ける日々。そんなビリーが起こす様々な裏切り行為や破滅的とも言える行動、ビリーが感じる自己嫌悪、快楽を求めるがゆえに陥る自己欺瞞。だから旅の先々で“なにか”を探すなんていうのはビリーには二の次であり、優先度は最下位ほどに低い。ただ自分の欲望を満足させるため、誰かにたかり、誘惑し、懇願し、自分さえも騙し、自分と他人の心を傷つけ、満足したと思ったとたんに渇望という小さな穴が開いているのに気付き、その穴が次第に広がってゆく。それを繰り返し、繰り返し、繰り返し…。 この小説を読み進めていっても、つまり同じこと。自己の快楽追求に忠実に生き続ける姿を見続けるだけだ。 セックス・ドラッグ、それにロックンロール…はない。音楽に関しての記述は殆どない。もちろんこれはヘルの自伝ではなくビリーの物語だが、ヘルの体験に基づいてもいるという。芸術、文学、それに少しだけ語られる音楽に対するビリーのセリフや考え方はヘルに近いんじゃないか...

Drop's「未来」

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2015年4月22日、STANDING THERE, ROCKS/キングからリリースのシングル『未来』より。 去年の12月に買った『さらば青春』が気に入ってから、それ以前のDrop'sのディスクを集めてUSBに入れて車ではずーっとほぼDrop's。なので待ってました新しいシングル。 “未来”で“春”な新曲ということで、アップテンポでキャッチーなナンバーかなぁと思っていたが、そこは軽~く裏切られ、ぼんやりとした倦怠とふわりとした春風を思わせるミディアム・ナンバー。スプリング・ブルーなジャケットが象徴してるかな。 ドラムのフィルから太い音色のギターが続くイントロ、薄く鳴るオルガン、ベースもフレーズを紡ぎながらしっかりとサウンドを支えている。中野のヴォーカルは丁寧で“ぶらりぶらり”や“じわりじわり”といった繰り返すフレーズを効果的に使っている。繰り返しを多用するのは、毎日(≒未来)が仕事や学校など決まった生活の繰り返し、という意味合いがあるかも。サビの聴き手に問いかけるような“もしもし”というフレーズが耳に残る。漠然とした未来への不安を内包しているが、三拍子というリズムの演出でジャンプアップ、飛び越えるような気配は常に感じられる。アウトロのテンポアップは、躊躇している気配を振り切り一気に駆け出すイメージか。 ただ、まぁこれまで未来という時間を棒に振ってきて、このあと大して未来も残っていないオヤジが聴くよりは、やはり演奏者と同年代が聴く曲だよなぁ。世の多くの若者達にぜひ聴いて欲しい。 カップリングはオールディーズ風でストーリー仕立ての「恋は春色」。 “おろしたての陽ざしが よく似合う白い靴”っていう出だしが上手い。続いてギターの荒谷がゼップに影響を受けリフを作ったという「Purple My Ghost」は打って変わってヘヴィなナンバー。恒例のカヴァーはキャロル・キングの「You've Got A Friend」で、この曲も丁寧なヴォーカルに好感が持てる。出だしがスリリング。ギターのダビングも工夫されていて良い仕上がりだと思う。 サウンド・エンジニアは山口州治。バラエティに富んでいるが、決して散漫ではない。 これからのDrop'sを予感させる。Play it loud!で聴きたいシングルだ。「未来」のMVは、ボタン・ドロップのスケアクロウと中野...

私の放浪音楽史 Vol.47 THE ROOSTERS『INSANE』

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1981年11月25日、日本コロムビアよりリリースのアルバム。 ルースターズのライヴを初めて見たのは1982年5月23日の明治公園反核集会だった。随分前の事なので記憶は僅かしかないが…。調べてみるとこの日は日曜日。誰と行ったのかは思い出せない。天気は良く集会日和だった気がする。当時は今とは違った政治的緊張感があって、限定的な核攻撃・報復を想定した戦術核兵器の配備問題というのがヨーロッパを中心にしてあり、限定核戦争が起こる可能性も大きいと感じた人々の反核運動は大きな盛り上がりを見せていた。 音楽的な面からみるとクラッシュやジャムやイアン・デューリーらが楽曲を提供したオムニバス・アルバム『Life In The European Theatre』のリリースや、様々なミュージシャンのCNDへの支持なんかがあったが、その反核運動の盛り上がりは日本へも波及。…そんなノー!ニュークスな志を持って私が明治公園へ行ったかどうかは今となっては不明だ。その集会ではフリーコンサートがありルースターズがタダで見られる、という情報は得ていたんだろう。 それでライヴの内容だが、どんな曲を演奏したか覚えてないのだけれど記憶に残っているのは、コンサートは野外でステージがかなり高く作られていたこと、大江慎也の着ていたジャケットの鮮烈な黄色、 “軍事費を減らして電気代をを安くして”(ガス代だったかも)という大江のMC、それに強烈な印象を残したのが「In Deep Grief」の演奏だった。青空にダークなサウンドを響かせ、大江慎也は分厚く重そうな本を抱え呟いていた。 “Out of the depths I cry to you, O Lord, Lord hear my voice” 既にアルバム『インセイン』は聴いていたと思う。音を聴いただけでは気が付かなかったが、 大江のその姿を見た時、朗読しているのは、たぶん聖書の一節じゃないかな、と思った。後々この曲が収められたアルバム『インセイン』の歌詞カードを見て調べてみると旧約聖書・詩篇の一節だったことがわかる。 アルバムのタイトルは『INSANE』。インセインなんて単語はこのアルバムで初めて知ったんじゃないかな。あとになってジム・モリソンやルー・リードなんかの歌詞やタイトルで見かけるんだけど。正気ではいられない程の内容を持ったアルバム、ってことなんだろ...

私の放浪音楽史 Vol.46 PUBLIC IMAGE LIMITED『FLOWERS OF ROMANCE』

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1981年4月10日、ヴァージンよりリリースのアルバム。 1978年1月ジョニー・ロットンは“ロックは死んだ”と言い残してセックス・ピストルズを去り、本名のジョン・ライドンとしてパブリック・イメージ・リミテッドを結成する。ピストルズのロックンロール・フォームを棄て、レゲエ/ダブからの影響下にもありつつ、反復するドラムパターンの上にフリー・フォームな演奏、ジャー・ウォブルのベースは重心低く唸り、キース・レヴィンのギターはフリーキーに切っ先鋭く、ジョンは歌うというより叫び、語り、アジテイトする。 ファースト・アルバム『パブリック・イメージ』はそれでも曲によってはロックのフォームを残してはいたが、続くセカンド・アルバム『メタル・ボックス』でさらに解体は進み、スタジオ第3作の『フラワーズ・オブ・ロマンス』ではジャー・ウォブルが脱退しベースレスとなったことから、土着的なドラムサウンド、またはパーカッシブなトラックが大きくフューチャーされ民族音楽的ともいえる内容。キース・レヴィンのギターはやや抑えめ、ジョン・ライドンはまるで祭司のような抑揚で言葉を紡ぐ。マーティン・アトキンスは「Four Enclosed Walls」、「Under The House」、「Banging The Door」の3曲でドラムをプレイしているが、その他のトラックではキース・レヴィンがドラムを担当したようだ。 冒頭の歌詞“Doom sits in gloom in his room. Destroy the infidel”にドキリとする「Four Enclosed Walls」でアルバムは幕を開け、エクスペリメンタルな「Track 8」や「Phenagen」が続く。「Flowers of Romance」はアルバムに先行して7インチと12インチでシングル・リリースされているタイトル・トラック。複数のパーカッションをダビングし、ダンサブルというか高揚感をもたらす「Under The House」、インストゥルメンタルの「Hymies Him」、シンセサイザーとドラム、ジョンのヴォイス三つ巴の「Banging The Door」、キース・レヴィンのギターの絡みがカッコいい「Go Back」、ラストは混沌の「Francis Massacre」でノイジーに終了。 “フラワーズ・オブ・ロマンス”…セックス・ピ...

私の放浪音楽史 Vol.45 JOY DIVISION『CLOSER』

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1980年7月18日、ファクトリーよりリリースのアルバム。 パンク・サウンドからスタートしたジョイ・ディヴィジョンだが、リリースを重ねるごとにサウンドを変化させていき、イアン・カーティスの遺作となったセカンド・アルバム『クローサー』に至っては、他に比べるもののないジョイ・ディヴィジョン独自のサウンドの完成形を聴くことが出来る。 ジョイ・ディヴィジョンの日本盤がリリースされたのは1984年で、前作『アンノウン・プレジャーズ』と同時発売されているが、私が『クローサー』を聴いたのはたぶん1981年~82年頃だったと思う。 ジョイ・ディヴィジョンのシングルやアルバムを輸入盤で集めていた友人に借りたんじゃないかな。ジャケットはシングル「Love Will Tears~」のところでも書いたがイタリアのジェノヴァにある墓所の写真が使われている。こんな沈鬱な嘆きのジャケットに包まれたダークなサウンドの魅力に取りつかれていったな、この頃は。イアン・カーティスの神経質な少しくぐもった様なヴォーカルが苦手という人もいたけど。歌われているのは、愛と苦悩について人間の内面に深く分け入っていくもので、イアンの死へと向かう過程で制作されたアルバムと思って聴いていると確かに息苦しく感じる事もあるが、その音楽は決して聴き手を拒否するものではない。全英チャート6位を記録。 J.G.バラードの短編からタイトルをとった「Atrocity Exhibition」は“This is the way.Step Inside.”というフレーズが耳に残る。それに工作機械のような、または捻じれたサウンドを作り出すギターが強烈だ。シンセの煌びやかな音色が印象的な「Isolation」、単調な中にもサウンドに意匠を凝らしてある「Passover」、鬼気迫るヴォーカルの「Colony」、ベースラインの印象的な「Means To An End」はジョイ・ディヴィジョン以後の典型的ニューウェイヴ・サウンドの見本と言えるんじゃないか。 イアンの深淵から聴こえてくるようなヴォーカルの「Heart And Soul」はのちのCD4枚組アンソロジーのタイトルにもなった。個人的にはこのアルバムの中で最も好きな「Twenty Four Hours」は緩急のある作り込まれた魅力的なサウンド。ピアノやシンセが使われた「The Eternal」...

『日本パンク・ロッカー列伝』

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シンコーミュージック・エンタテイメント発行、2015年3月10日発売。 雑誌『Bollocks』の連載インタビュー「The Story of Legends」をまとめた本が発売された。 雑誌掲載分(No.007~017)から仲野茂、大江慎也、遠藤ミチロウ、パンタ、難波章浩、ヒカゲ、柴山俊之、NAOKI、BAKI、KATSUTA、中川 敬のインタビューを再録、取り下ろし取材でチャーミー、平野悠、南部裕一を追加して14人のインタビューが掲載されている。新旧の写真ページ、簡単な年表とアーティストの場合はディスコグラフィを含め各人12ページから20ページのボリューム。 最年長はロフトプロジェクトの平野悠・71歳、一番若くてハイスタの難波章浩・44歳。60代が3人、あとは40代後半~50代ってとこか。生い立ちから各グループでの活動内容、現在の活動までを手短にまとめてある。あの時はどうだったとか、あの頃バンドメンバーの関係はどうだったとか、伝説の裏付けをとる、みたいな感じもあるなぁ。 他の雑誌とかで読んだ内容もあるけど、まぁ人に歴史あり、でそれぞれ読めば面白い。 パンタのインタビューで言ってた氷川丸の証言をまとめて本にしたいっていうのは実現してほしいな。映画『狂い咲きサンダーロード』を見て真面目に音楽を聴くようになったという元・鉄アレイのKATSUTAは年表になぜか逮捕歴も記載。 いちばん興味深かったのは、柴山俊之のインタビュー。 1982年末新宿ロフトでのゲスト出演時のエピソード、1983年野音でのサンハウス再結成。その頃からサンハウスのパブリックイメージを演じ続けていた苦悩、などが語られている。最後の方で“この時代に生きていると、音楽なんて誰も欲してないんだ”って言葉、何年前かに他で聞いたフレーズだが、自分のやりたいことでそこを乗り越える、と音楽に対する意欲も語っていた。 中川敬の自分のやりたいことをやってきたインタビューも突っ走っていて痛快。現役感も強烈だ。関西イベンターで現・スマッシュウェストの南部裕一のインタビューも色んなエピソードがあり面白いものだった。

VARIOUS ARTISTS『SWEETER! ROOTS OF JAPANESE POWERPOP 1971-1986』

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2015年2月18日、ポップトラックス/クリンクからリリースのコンピレーション・アルバム。 パワーポップというと連想するのは、まずニック・ロウ「Cruel To Be Kind(邦題:恋するふたり)」。それとブラム・チャイコフスキー「Girl of My Dreams」かな。キャッチーなメロディ、 アコースティック・ギターのジャングリーな感じ、コーラス・ワーク、 やや手数の多いドラム、ギターソロもメロディアスに作ってあったり。ボトムを効かせたリズムがありながらも、爽やか&甘酸っぱいイメージも少々。アメリカだとリアル・キッズ「All Kindsa Girls」が思い浮かぶ。日本だと…。 このコンピは1970年代中頃に活躍した日本のバンドのレアな音源を中心に旧東芝EMIのカタログから選ばれた18曲を高木龍太がコンパイルしたもので、10年越しの企画がようやく実ったということだ。“日本のパワーポップのルーツ”と題されている。どうやら諸々の事情でパーフェクトな選曲となっていないようだが、素晴らしい内容に変わりはない。 このCDの曲順ではなくバンド毎にブックレットからの情報をもとに内容を紹介 (収録曲名の後の数字はリリース年月日)。 リンドン ・「陽気な雨」(1974.5.5)シングルA面 ・「タンポポ・ガール」(1974.5.5)シングルB面 ・「悲しき想い」(1974.10.5)シングルB面 ・「赤いドレスは着ないでおくれ」(1975.12.1)シングルA面 の4曲を収録。 このCDを購入する大きな理由がリンドンの楽曲を聴きたかったから。リンドンは、 田中信昭(Vo,B):のちにTHE BADGE 田中一郎(G,Vo):のちにARB 伊藤薫(Ds,Vo):のちにチューリップ というメンバーのスリーピース・バンドで1971年に結成。1974年5月にシングル「陽気な雨 c/w タンポポ・ガール」でデビュー。同年10月セカンド・シングル「夏の日の恋 c/w 悲しき想い」をリリース。1975年12月に3枚目のシングル「赤いドレスは着ないでおくれ c/w 雨の日にさようなら」をリリース。アルバム制作の動きもあったようだが実現せず、1977年初頭に解散している。今回はリンドンの残した3枚のシングルから4曲が収録された。 収録された4曲は全て田中信昭の作詞作曲で、やはりのちにザ・バッヂに...

GLIM SPANKY「MOVE OVER」

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2014年12月8日、ヴァージン/ユニヴァーサルからリリースの配信シングル。 スズキの軽自動車ワゴンRスティングレーのCMを見たとき、水原希子の真っ赤なドレス姿に見惚れてはいたが、使われている音楽はジャニスだなぁと思っていた。ジャニス・ジョプリンのアルバム『パール』を購入したのはいつ頃だったろうか。1980年代の後半かな。ニュー・ウェイヴからルーツ・ロックやソウルなんかにも少しずつだが興味が出てきた時期だった。ソウルフルな「Cry Me」やアカペラで歌う「Mercedes Benz」なんかが好きだった。もちろんアルバムのトップでキャッチーなナンバー「Move Over」も。 スティングレーの宣伝を見てるうちに(ってテレビでしょっちゅう流れるわけじゃないが)これジャニスが歌ってるんじゃないな…と思うようになって、ネットで調べてみると、あーやっぱり違うんだ、日本人なんだ。ということでグリム・スパンキーに辿り着く。 グリム・スパンキーは松尾レミ(ヴォーカル)と亀本寛貴(ギター)の男女2人組ユニット。もとはベースとドラムを加えた4人組バンドだったようだが、2010年に2人組のユニットとなりサポート・メンバーを加えライヴ活動を続けている。音源としては自主制作盤を経て2014年6月にミニアルバム『焦燥』でメジャーデビュー。2014年11月に7インチ・アナログ「焦燥 c/w Move Over」をリリース。同年12月に「Move Over」を配信リリースした。 “私と付き合うの?私の愛を受け入れるの?はっきりしてよ!”って感じで、優柔不断な男に“消えちまいな”と啖呵を切った気っ風のいい歌詞をシャウトする松尾レミ。なるほどハスキーなジャニス的なヴォーカルだが、このカヴァーではジャニスよりシャープな印象。ヴォーカルとユニゾンでメロディを奏でるギターは原曲と同様だが、原曲でフューチャーされていたキーボード類は無し、その分ギターが活躍している。またドラムの音色やギター・ソロ以降のリズム、ベースフレーズなど現代のカヴァーならではの工夫がされている。トレブルが効いた好カヴァーだ。 CMのオンエアは終わっているのだろうか。 SUZUKI ワコンRスティングレー TVCM「15秒の誘惑」編 改めて聴いてみるとCMとヴァージョン違うな。

私の放浪音楽史 Vol.44 ARB『指を鳴らせ!』

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1981年11月21日、ビクター/インビテーションよりリリースのアルバム。 前作から8ヶ月後という短いインターバルでリリースされたARB、4枚目のアルバム。 ドラムのキースが胆石で入院し、元ダウン・タウン・ブギウギ・バンド(当時サッキング・ルージュ)の相原誠、元サンハウス(当時トランプ)の浦田賢一、アナーキーの小林高夫がヘルプでドラムを叩いている。なので、“KIETH (IN THE HOSPITAL)”とクレジットされている。渋いモノトーンのジャケットは井出情児によるもの、裏ジャケットのメンバーの写真もいい。歌詞カードの各曲をモチーフにしたイラスト(Rのサインがあるから凌が描いたものだろう)も楽しい。一目惚れ“Love at first sight”という英語を知ったのもこのアルバムだなぁ。 その“Love at first sight”が歌いこまれた「イカレちまったぜ!」、緊張感のあるサウンドの「13番街のワル」、一目惚れの後日談のような「I'm Jumping」は、“この一瞬をずっと待っていたんだぜ”というフレーズがとても印象的。「Hip,Shake,Hip」はアルバムタイトルに通じる“フィンガー・スナッピング”も歌いこまれたブルージィなナンバー。田中一郎のB.B.キングばりのブルース・ソロも聴きものだ。老いも若きも魅了するR&Rの「教会通りのロックン・ロール」。 スピーディかつややハードなロックンロール「Standing On The Street」、渋くジャジィな煙草ソング「PALL MALLに火をつけて」。えぇ買いましたよ“PALL MALL”。あの頃は高かったけどね(あ、今も高いのかな)。ロカビリーな「シティ・ギャング・シャッフル」。パブ・ロック風な“お楽しみはこれから”「Well Well Well」、石橋凌の実兄や友人をモデルにしたという「さらば相棒」は、ARBのアルバムに1曲は収録されていた物語仕立ての楽曲。この曲をモチーフにして1年後の1982年11月に宇崎竜童監督、石橋凌主演で映画化された(ディレクターズ・カンパニーが制作したピング映画3本立てのうちの1本で、 他の2本は高橋伴明監督「狼」と泉谷しげる監督「ハーレム・バレンタインディ」)。ピンク映画(死語かな…)という事で予算は3本で1,000万円、撮影4日間、各映画の時間も5...

私の放浪音楽史 Vol.43 ARB『BOYS & GIRLS』

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1981年3月21日、ビクター/インビテーションよりリリースのアルバム。 ARB、3枚目のアルバム。 薄手のPコートの石橋凌、プリントTシャツの上に濃い色のジャケットでギターを抱えた田中一郎、おなじみサングラスに革ジャンのキース、PILの缶バッジをつけたライダースにベースをぶら下げたサンジ。険しい表情の4人が赤をバックに立つジャケットが目を引く。 ARBの代表曲のひとつでもある“狂えない/笑えない”時代の少年・少女達に語りかけた「Boys & Girls」。 久留米から博多へ演奏するために通った国道の思い出を描いた「悲しき3号線」。少女の死をテーマにした「Just A 16」は小さな記事にインスパイアされた曲だという。今だったら弦楽を入れて編曲したくなるような曲だが、バンドだけで演奏しているのが潔い。それでもクラシカルな要素を入れたギター・ソロが聴きどころでもある。 「発(ハッパ)破」、「Believe in R&R」、 “昔の傷も今は忘れちまい”というフレーズが今も効いてる、召集令状をラブレターに見立てた「赤いラブレター」、セカンドラインのリズムがイカしてる「“エデン”で1・2」、柴山俊之作詞の「Mr.ダイナマイト」、 トム・ウェイツ(石橋凌が好きだという)をモデルにした「ウィスキー・マン」、これらは田中一郎が作曲したゴキゲンなロックンロール・ナンバー。 個人的に好きなのは、スカビートを取り入れた「ダディ―ズ・シューズ」とレゲエ・ビートの「Naked Body」。この2曲はサンジのベース・プレイが光る。「ダディ―ズ~」は楽しげに動き回るベースフレーズが、「Naked Body」はブツブツと刻むベースが魅力的だ。このアルバムを聴いていた頃、おやじの靴は小さくて履けなかったが、おやじが着なくなっていたコートはちょっと短かったが学校に行くときも遊びに行くときも着ていた。幾つか缶バッジを付けてね。 私のまわりではそんなおやじの上着を着ている奴が結構いたものだ。皆「ダディーズ・シューズ」という曲が好きだったからだと思う。 「ダディーズ・シューズ」はアルバムに先駆けてシングル・リリースもされており、B面にはアルバム未収録の「シェリーは昼間死んでいる」がカップリングされていた。

私の放浪音楽史 Vol.42 THE MODS『NEWS BEAT』

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1981年10月21日、エピック・ソニーよりリリースのアルバム。 デビュー・アルバムから4か月後というスピードで制作/リリースされたザ・モッズのセカンド・アルバム。バンドにしてみたら『FIGHT OR FLIGHT』の音質はきれい過ぎたらしい。もっとラウドな音質で、ということと『FIGHT OR FLIGHT』をロンドン・サイド、『NEWS BEAT』を東京サイドという2枚でひとつというイメージで短期間で制作された。曲のストックは沢山あったのだろう。「ゴキゲンRADIO」や「夜が呼んでいる」、「熱いのを一発」なんかは博多時代から演奏している曲だ。 当時聴いた印象では、ファーストの緊張感を持った音作りとはやや違い、ラフな録音で歌の内容も“Leave Me Alone!”な印象を受けた。アルバムの1曲目はシングルとしてもリリースされた「ゴキゲンRADIO」で、そんな“ほっといてくれ!”といった内容が歌われるタイトなティーンエイジ・ロックンロール。この曲がアルバム『NEWS BEAT』のムードを象徴していると言ってもいいんじゃないかな。ジャケットはコラージュとメンバーのイラスト。これはあまり好きじゃなかった。コラージュ・ジャケっていいジャケ無いんじゃないの。切り貼りってところでは、ピストルズの脅迫状を模したレタリングの影響は大きいだろうけど。 個人的には、高速ロックンロール「記憶喪失」と「ご・め・ん・だ・ぜ」、クラッシュ・ライクな「夜が呼んでいる」、ワウワウ・ギターで始まり、アコースティック・ギターも効果的に使われた「ハートに火をつけて」は、 “死人のような冷たい体さ でも俺の心はカラッポじゃない”というフレーズがカッコ良かった。ピストルズみたいにボトムの効いた「All By Myself」、 これぞ森山節のマイナー・ビート・チューン「Crazy Beat」。このあたりが好みだった。 他には、やや軽いノリの「熱いのを一発(HOT STUFF)」や、元サンハウスのドラマー浦田賢一が作詞したニヒルな歌詞のスカ・ビート・ナンバー「イヤな事さ(EYANACOOTA)」、ニュース・ビートと言うからには時事性を持ったものも目指したのかな、そんな一面が感じ取れる「Do The Monkey」。 “ポリスとコソ泥”、“テストチューブ・ベイビー”といった単語が並んでいる。「Do The M...